「赤い糸って、どうして“赤”なのかな?」

 

Blood  Thread  赤い糸

 

伊万里と俺が密かに付き合いだして、もう半年になる。

俺の部屋で2人でいることが多いんだけど。

「ねえ、沢村?」

「ん?」

「赤い糸って……どうして“赤”なのかな?」

確かに。

別に、黒くても白くても紫でも、はたまた青くたって構わないと思う。

なら、何故なんだろう。

「……お互いの血が通いあってるんだよ、きっと」

「あ、そっか。そうだね。運命の人だもんね」

伊万里は笑って納得したようだった。

俺たちは、赤い糸で繋がってるんだろうか?

俺がそんなことを考えている間、伊万里は赤い糸について夢中で考えていた。

「あたし考えたんだけどね」

「何を?」

「赤い糸なんて、最初から存在しないと思うの」

じゃあさっきの質問は何だったんだよ、と聞きたくもなったが、少し抑える。

「それで?」

「うん、それでね。1人の人に赤い糸が繋がってるんじゃなくって、世界中の人全員と、白い糸で結ばれてるの」

沢村とも、茜とも、萌黄とも。と付け加えて。

「……その中で、運命の人とだけ、白い糸を通って血が通いだしてね。最終的に赤い糸になるの」

つまり、“赤い糸”は存在しなくても“運命”は存在する。

そういうことなんだな。

「……沢村との糸は、赤くなってるかな」

「……………」

伊万里がそう言うから、俺は無言で白い糸とカッターナイフを持ち出した。

「……やってみよっか」

「へ?」

きょとんとしている伊万里の左手の小指と、

自分の左手の小指を白い糸で結ぶ。

「何……するの?」

「赤い糸で、繋がっていたくない?」

「………」

これからやることが分かったようで、伊万里は静かに頷いた。

糸は、指の根元に結んである。

その糸を切らないように、そして神経を傷つけないように。

けれど深く、俺は伊万里の小指と薬指の間をカッターで裂いた。

「痛ッ!!」

赤が溢れ出して、糸を伝わっていく。

「ほら、伊万里も」

カッターを渡し、糸の巻いてある左手を差し出す。

温かな手で、きゅっと左手が握られる。

ちきちきちき。

カッターの刃を押し出す音が聞こえ、彼女も同じように。

俺の左手の小指と薬指の間を裂く。

「っつ……」

やはり痛い。

伊万里の方はもう痛みは引けたようで、虚ろな瞳で糸が赤く染まって行くのを見ていた。

「……痛いね」

「……心の痛みだよ、多分。誰しも痛い想いをして結ばれるんだね」

だんだんと痛みに慣れて行く。

「……あ、糸が……」

1、2分ほど前まで真っ白だった糸は、

俺と伊万里の血で赤く染まった。

中央部で血が交わって、青いベッドシーツに滴る。

「……赤い糸だろ、伊万里」

「うん」

傷口からの血の流れは、まだ止まってはいないが緩くなってきている。

「みんな、こうやって繋がってるんだな」

「あたしと沢村も?」

「バカ。今、こうやって繋がってるんだろ」

「……運命だしね」

視線と、指を絡ませる。

「傷、残るといいな」

「どうして?」

「だって、それがあたしと沢村がいつも繋がってる証拠になるもん」

「傷じゃなくても」

痕ならいくらでも残してやるよ――――

そういう意味を込めて、俺は繋がっていない右手で、肩ごと伊万里を引き寄せる。

「っ……!」

望み通りに痕を残してやる。

誰にも奪われないよう、首筋に。

「……傷だって、ほしかったらもっとつけてやるよ?」

「……うん」

伊万里はまだ、呆然と糸から血が滴っていく様を見ていた。

「あたしと、沢村の血」

「そうだよ」

言って、口づける。

「……愛してる」

 

例えそれが、歪んだ愛し方だったとしても。

 

 

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<毎度恒例懺悔のコーナー。(何)>

……アライヴ書きたかっただけなの。

けど、ギャグってどうしても書けないの。

ぼーっとしてたらこのネタが浮かんで、構想的に大好きだったし。(爆)

グロかったですか?

いや、あたしは普通に……(待て)

でわ、これ以上長くなるとウザいので。(元からじゃ)

付け加えあとがき。(何)
裏に置いてもらってたのに、普通にここでいいのか。
しかも1番最初でいいのか。

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いいのか、私よ!!
いやダメだぁあああ!!(爆)