LOVE ~Destiny~
――永遠なんてないこと
私はいつから 気づいていたんだろう――
「ついにお別れですねっ、鳴海さん♪」
部室で、最後の他愛も無い話をして、校門まで見送った。
いつも校門は開け放しだったけれど、……随分と広く感じる。
「……なるみさん?」
かのじょがいなくなるなんて、とうていかんがえられないことなのに。
「……なあ」
「はい?」
白いリボンが巻かれた、黒い筒。
彼女は嬉しそうにそれを抱きかかえていたけれど、俺にとっては……複雑の塊。
「頬、抓ってくれないか」
「……はい?」
先程とは違う、明らかに疑問を示すイントネーション。
その証拠に彼女は訳が解らないと言った表情をしている。
訳がわからないのはこっちの方なのに。
「……ユメか、ゲンジツか。よく自分でも解ってない」
「鳴海さん……」
名前を呼ぶその声も、苛立つくらいにつきまとわれたことだって、全部が愛しいんだ。
気づくのが遅かったのかもしれなかった。
気づきたくなかったのかもしれなかった。
気づいたら、それが“終わり”になってしまう気がしていた。
ずっとこのままの関係が永遠に続くような気がしていた。
そんなのはただの空想というか想像であって、現実には有り得ないことくらい承知していたはずなのに。
「……親を恨むよ。“どうしてもう1年早く産んでくれなかったのか”ってな」
「そんなに私と卒業したかったですか?」
「卒業したいんじゃない」
ただあんたといっしょにいたいだけなんだ。
「……鳴海さん」
「……何だ」
「……現実ですよ」
「……、そうだな」
夢であることをまだ願っている自分がいた。
けれど、彼女の言葉で現実だと納得する自分もいた。
ただ確かなのは、今まで過ごした日々というものが嘘ではなかったということ。
「……あんたが好きだったんだ、多分」
「……ええ。知ってました」
「何で知ってるんだ」
「そりゃあ、月臣学園新聞部の部長さんですから」
告げるのが遅かったのかもしれなかった。
告げたくなかったのかもしれなかった。
告げたら、それが“終わり”になると知っていたから。
「……じゃあ。達者でな」
「今時“達者でな”なんて送り文句はないですよ」
「うるさい。せっかく人が見送ってやってるのに」
帰るなら、早く立ち去って欲しい。
そうしたら、俺も彼女の後ろ姿が見えるうちから背中を向けて歩き出すことができるのに。
「……これ、あげますよ」
「……何だ」
「第2ボタンです」
「……バカか」
言いながらも、そんな行動のひとつひとつに彼女らしさを感じ、嬉しくなる。
小さなボタンを受け取って、握り締め、離すことなんかできなかった。
「では、今度こそ本当にさよならです」
「ああ。またどっかでな」
「その時はまたパフェ奢ってくださいね♪」
「それだけはゴメンだ」
最後に、笑った。
2人で一緒に笑ったのは、初めてだった気がした。
その後は、ただ。
2人同時に背を向けて歩きだすだけ。
++++++++あとがき。++++++++
い、今頃卒業ネタって……!!!!
いえ、そういえばこの2人って学年違うなぁとか思って。(遅)
タイトルは浜崎あゆみの曲から。
歌詞見た瞬間から、「コレは鳴ひよだろう」と。
けど終わり方は某ギャルゲーのバッドエンドから。(うおぃ)
入学シーズンに卒業ネタなんてぇえええ!!!(うっさい)
とりあえず書きたかっただけの代物―。
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