パッティングでは垂直なスウィングプレーンが可能 (03.04.09)
-パッティングにおける振り子運動の身体運動特性-
日本ゴルフ学会誌「ゴルフの科学」Vol.13,
No.3
December 2000の中で上記命題について
<パッティングは垂直なスウィングプレーンが可能>と言う私論を述べたが、再びより深い考察を加えてみる。
先ず最初にプロのパッティングスタイルの写真を見て頂きたい。
このスタイルを取っているプロがかなり多いと思います。このスタイルの中に私は以下に述べるような、或る骨格面からの特性があると考えました。
パッティングはスウィングの原型・振り子運動(頚椎からグリップに至るダイヤモンド型・菱形或いは三角形の骨格固定)・飛ばす事より方向性を重視した回転運動主体で捻転運動は僅かな躯幹部の捩れのみ・下半身(骨盤より下)は磐石の固定が必要と言う特殊な動作である。以下に述べるような、或る一定の骨格的条件を満たす事により、垂直なスウィングプレーンが可能となる。
1) できるだけ高い姿勢を保ち、頚椎・胸椎上部が直線状になるように頭を水平にする。長時間の練習に耐え腰痛防止のためにも大事なことである。
2) 両目をボールとターゲットラインの上に位置付ける。予めラインを見るために両目をカップ方向に向けるときに、その動作がターゲットラインから外れない。スウィング・ボトムは眉間の真下に位置することとなり、ヒッティングポイントがほぼこの位置となる。
3) 頚椎・胸椎上部を水平かつターゲットラインに直交するように保つことによりスウィングセンターが水平軸化してスウィングプレーンを完全に垂直にすることが可能となる。頚椎からグリップに至るダイヤモンド型を崩さずに振り子運動することを心掛けることにより理論上パターヘッドはストレート・ツー・ストレートの軌道を作りうると考える。
両肘は躯幹部のねじれに影響されぬ様に僅かに離す必要がある。
図は頚胸椎部脊柱から肋骨、胸骨、鎖骨、肩甲骨を介して上肢部分の付け根である肩関節までの骨格性連絡を示している。
実際の骨格図も参照。
躯幹部・胸郭と肩甲骨はコンパス様の役目を果たす鎖骨でしか骨性連絡が無く、後は筋肉で両者間の位置関係が保たれている。
アドレス時の位置関係を受動筋力(関節の位置を固定する為に外力に対応して必要に応じて働く筋力)でしっかり保持した振り子運動をすることにより、再現性の高い正確なパッティングストロークが可能となるであろう。
パッティングの場合、骨盤部以下の下半身はがっしりと固定され、上半身の躯幹部の捻転のみで対応している。
4) パターのロフトが平均4°程度あるためややハンドファーストとなる。
当HP研究論文「3.パッティングにおけるスウィングプレーン」の項も合わせて参照頂きたい。
参考までにショートゲームを科学的に研究されたアメリカの有名なDave
Pelz氏の著書PUTT LIKE THE
PROSの邦訳本「パッティングの科学」によるとトム・ワトソンのパッティングフォームの様に両手が肩直下型のストロークが好ましいと推奨されている。
氏はパーフィーと言う人体の骨格に模したパッティングロボットを作成しその動きからその合理性を述べている。
私は2002年7月 セント・アンドルーズで行われた第四回世界ゴルフ科学会議に参加しそこで直接Dave
Pelz氏が指導するジュニア向けのレッスン会を見学する機会を得た。
Pelz氏はそのレッスンの中で両方の肩関節をタージェットラインとパラレルとして、両肩をそのライン上で回転させる事によってパターヘッドがストレートな動きをする事を強調されていたが、脊柱との関連性については言及されていなかった。
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