貴重品

2003/01/31UP


今から軽く20年以上前のことです。
場所はブラジル、リオ・デ・ジャネイロ市内のあるスーパーマーケット。
その日も私は当時のお気に入りのぬいぐるみ、「クロスー」
(このHP内の「ぬいぐるみ」のページに「ぬいぐるみNo.5」として出ている、
ボロボロぼろ雑巾のスヌーピー)を携えて、家族でスーパーでお買い物。

スーパーに入るや否や、入り口に立っていた警備員のおじさんが、
私のクロスーを指差し、「それをクロークに預けろ。」とニコリともせずに言いました。
当時ブラジルは治安が悪かったせいか、
スーパーでも、貴重品を預けてお買い物するためにクロークがありました。

『おぅ。そうさ。クロスーは
貴重品さ。オッサン、話が分かるやないケー。』
などとは思いません!
当時、片時もクロスーを離すことのなかった私にとって、クロスーを預けるなどということは、
大事な我が子を
人質にとられるも同然。
「ど、どうしよう・・・。」
不安と緊張で私は顔面蒼白になり、体中が冷え切ってゆくのを感じました。

ふるえる足でクロークに行き、クロスーを受付け嬢に手渡そうとしたその瞬間!
受付け嬢の顔が異常なまでにゆがみ、
「そんな汚いもの持ってこないで!」と言わんばかりの表情で、
“あっちへシッシッ!”と手をふって追いやられてしまったのです。

『失礼だね。警備員のオッサンは見る目あったのに、アンタ、ダメね。』
などとは思いません!
クロスーを預けなくて済んだ!
私の顔には安堵の表情が浮かんでいました。

でも、あの受付け嬢の
ゆがんだ顔は、今でも忘れません。
そんなこともあったっけねー





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