カブたち、カツオ屋はしごとお茶碗の神秘
今日の目的。
「カツオのたたきを喰うこと」
甘かった。
お盆でした。
どこのカツオの定食屋も閉まってる。
地図を片手に色んな人に聞きながらカツオのたたきを食べさせてくれる店を探す。
「ない、ねぇ。」
「なさそう、だねぇ・・。」
ちょっぴりがっくりしているうちらに、一人のおじさんが声をかけてきた。
!!!!!
うちらの目が一点に集中して見開かれる。
(このおっちゃん、デカ箱乗っけた赤カブに乗ってる!!!)
「君たち、何か探してるのかい?」
「あ、あのカツオのたたきを食べれる店を探しているんですけども。」
「そうか、ついてきなさい。」
!!!!!
みかとこいちは顔を見合わせた。
これはもしかしなくても、カブ3台連なってミニ・ツーリング!?
みかカブが緑、こいちカブが青、おやじカブが赤。
ワンダホ−−−−−
ぴーたー大満足でおやじカブの後を走っていく。
地元の人しか知らないような、港の中の道も走っていく。
「ここだよ。」
おやじが連れてきてくれたのはみやげ物も兼ねてる海産物屋。
たしかにレストランってあって、やってるっぽい。
「おじさん、ありがとうございました。」
心を込めて礼をいうとおやじは言った。
「君ら、東京からきたのか。僕も東京からこの高知が気に入って移り住んだんだよ。
いつもはこんなことしないけど、君たちはカブ愛好家のようだからね。」
おやじ・・・。いいこと言ってくれる。
手を振って去っていくおやじの姿を見ながらみかが呟いた。
「うちら、カブ愛好家に認められちゃったね・・。」
「うん・・。」
おやじが去ったあと、二人はそのみやげ屋のレストランに直行。
そして硬直。
{当店は5時半より営業}
今は15時過ぎ。
「待てないよ。」
「今日のテン場、まだ確保してないし、昼メシはカツオのために抜いてあるし。」
実際、お腹はグーグーだった。
そのときおやじの意見を思い出した。
確か、買って自分らでやった方がうまいし安上がりだと言っていた。
「よし、魚屋を探そう!」
この海産物屋には売ってなかった。
ならば、さっき通った商店街でゲット作戦だー!
食べ物パワーは激しい。しかも今日の目的でもある。
二人は走った。
「1軒発見!!!くぁーー、閉まってる!次ぃッ!」
「お、またまた発見!!!今度はやってる!」
二人は息せきってカブを止め、魚屋に駆け込む。
入った瞬間、ガラー−−ン・・という印象を受ける。
諦めるな!
「すいません!カツオのたたきってありますかッ!?」
「うーーん、あるけど、それは・・」
「ください!!!」
魚屋のオヤジの言葉をさえぎって叫ぶ。
「いいよー。ただ今は、お盆だからちょっと古いよ。量もほら、そこに出てるだけだー。」
古い?んなこたかまわねぇ。
ただ、確かに量は少ない。オヤジ曰く、1・5人分だそうだ。
足りねぇ。
でも、とりあえず喰うさ。
買って帰ろうとすると、オヤジが言った。
「ちょっと待ってろ。今味付けしてやっからー。」
え!?
そんなことしてくれんの?
すかさずみかが言った。
「おじさん、ついでにここで食べてっていい?」
ナイス・みか!
おじさんはニカっと笑って「奥入って座ってなー」と言った。
「あ、ついでにそこにある揚げ物もいくつか下さいー。」
これで腹はおさまるだろうと思ったが甘かった。
「うんめーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
えれーうまかった。
みか風に言うと、「バカうま」。
カツオのたたきを皿に乗せ、その上からポン酢らしきもの(機密らしい)をばしゃばしゃかけ、
さらににんにくをどっさり乗せ、生姜も乗せ、万能ネギをこれでもかとかけてある。
おさまらなかった。
腹はおさまったが、たたきへの欲求が満たされなかった。
「もっとたたきを・・・」
そこの魚屋のオヤジに別れを告げると、次なる魚屋を探す。
「はっけーーーーーん!!!」
お、今度の店は魚が大分残ってる。
さっきの店は大半売り切れ、この店は残ってる。
ちょっと味に不安はあったけど、たたきはたたき。同じはず。
「すいませーん。カツオのたたきくださーい。ついでにここで食べさせてくださーい!」
今回は最初からわがままに言ってみた。
「はい、いいよー」
2・5人分頼み、少し時間がかかるというので待つことにした。
魚屋のおばちゃんがきて言った。
「あんたら白いご飯はいらんの?」
二人は顔を見合わせ、頷いた。
「欲しいねぇ。」
「だったらそこのスーパーにパック詰めのご飯売ってるから買ってき。」
たたきまでのお散歩タイムということで、カブをそこに置いたままテクテクと歩いて買いに行った。
ご飯とコーラを買い、魚屋に戻るとたたきが出来上がってた。
「おばちゃん、このご飯、チンしてもらえますか?」
おばちゃんにチンしてもらいあったかいご飯で食べることになった。
ご飯が来るまでの間、コーラで乾杯。
「ほら食べな。」
と持ってきてくれたおばちゃんを見て、大歓喜!
「お茶碗に注がれてる−−−♪」
白米とお茶碗。
ただお茶碗に注がれただけなのにこんなに白米が光って見えるのはなぜ?
お茶碗の神秘に感動しながらたたきを喰う。
「やっぱうめーーーーーーーーーーー!!!」
うまかった。
その店もまた味付けは機密らしく、最初の店とは味が違った。
正直、最初の店のほうがおいしかった、というよりカルチャーショックを受ける味だった。
でも、うまかった。お茶碗のご飯がまた、うまさを増してくれた。
二人で魚屋の店先でお茶碗片手にたたきを堪能した。
今日もまた良き日でした。
17日の旅日記にGO