神を感じた日



8月15日 晴れ


7時半起床。

朝メシを食べ、朝のぴーぴータイム(リコーダータイム)を終え、ふにゃふにゃと河原出発。

高知はでかい。 そして広い。
その割に寺が少ない。
だからある意味高知は、遍路にとって
精神力を問われる土地なのだ。

出発して1時間半、
35番清滝寺到着。
ものすごい勢いで持鈴(南無太師のありがたい鈴)をちりちり鳴らしながら般若心経を怒鳴り散らし、去る。

前回のときは、えーと、なんだっけ。
言い方忘れたけど、寺の判子押してもらって、小坊主さんに納経を書いてもらってたんだけど、(もっち有料)
今回は別に遍路オンリー目的ってわけじゃないので、パス。
納札もさりげなくパス。

1時間後、
36番青龍寺到着。
暑い。クソ暑い。皮膚が
じゅーじゅー焼けてるみたいだ。

走ってる間、何人か歩き遍路さんを発見した。
つれーだろうな。ちょこちょこ寺があると、気分的に楽だろうけど、
高知はただただ、
8割以上歩くだけだもんな。

昼飯を終え、また走り出す。

一時間経過。。。
!限界到達!


「こいちゃん、あったよ。チャプろう!」
前を走るみかが、不審な動きを見せる。
10秒後、こいち絶叫。
「隊長ーー!ナイス川です!チャプチャプターイム!」

そう、マジで燃えてた。暑いっつーよりも、焼けてた。こげてたっ。
熱レベル限界だったのだ。

カブを止め、土手を転げるように下っていく。
ずばしゃーん
「うっきー!生き返るー。」
そのままジャブジャブ川に入って、浮いてみる。
ぷっかりぷかぷか
「幸せだー」
どっちが言ったかわかんないため息が洩れる。
服と肌の間を水が通る感覚がめちゃ心地よいのだ。
マジで
旅チャプは最高だよ。

もちろん
女のロマンもばっちり。
(女のロマンに対しては書くことが憚れるので気になる人は直で聞いて。)
「へい、みか。昨日に引き続き、また四国の川ひとつ、制したね。」
「そうだね、こいちゃん。うちらの目的がもう一つ増えたね。」
(何をどう制しているのかも憚り事なので気になる・・以下同文。)

川からじゃぶじゃぶ上がり、そのままカブにまたがり出発。
びちゃびちゃの服のまま走ると、気持ちいいのだーー!
熱風も心地よい風に、灼熱の太陽もやわらかい日差しに、
なによりもリアルタイムで、
みるみるうちに服が乾いていくのがすげー楽しい。


そして今日最後と思われる寺、
第37番岩本寺に到着。
この寺はあんま雰囲気よくなかったな。
風情ってのがなかった気がする。
入り口で変なオヤジにメンチ切られるし。

!事件はその後、起きた!

今日のテン場を探すために、山を越えようと町から出た矢先。
こいちは異変に気付いた。

我、波打ってる!?

前方を走るみかに視線を向ける。
「へい、隊長!へい、みか!」
気付かねぇ。
「へーーーい、みかー!みーかー!・・・・・おらーーーー!」

ビービ−ビービービー

クラクションを鳴らしても気付かねぇ。
「ちっ。しかたねー。」
しばらくすれば気付くだろうと思い、カブを止める

うちらのカブは後ろに、めちゃめちゃ重い荷物を積んでいるから止めるとカブが
ウィリーをする。
つまり、前輪が完全に宙に浮くのだ。

浮いた前輪を軽く蹴る。
「前輪おっけー」
ベタ付きの後輪を蹴ろうとして、足が止まる。
「はい、どーーん。つぶつぶぅー。」
みかも見えなくなり、誰もいない田んぼの真ん中でこいちの声だけが響いた。

つぶつぶぅー
つぶつぶぅー

めっちゃ、パンクしていた。

それから3分くらいして、みかが戻ってきた。
つーか、気付くのおせーよぉ。さびしーよぉ。
と、ぶーぶー言いながら、現状報告。

と、その時。
「あらあらどうしたのー?」
ほとんど人は通らないと思われた田んぼ道の向こうから、車に乗った30過ぎくらいのおばちゃんが来た。
事情を説明すると、今来た岩本寺の方に、チャリ屋があるらしい、ということを教えてくれた。
すると、そこへ、もう一台トラックが!

このトラックのおっちゃんがまたナイスな人で、
なんとなぜか
地元民完全網羅的な電話帳を持っていた!
しかもそれを見て、なんとおばちゃんが、電話して事情を説明してくれるという。

あの時のおばちゃんの電話っぷり、忘れないだろう。
「あー、もしもし?
今ね、バイクで旅行中の女の子らが、タイヤパンクして困ってるのよ。
直しに来てくれない?
あたしね、ただの通りすがりの人なんですけどー。
もう一人の通りすがりの人に番号聞いてかけてるのよー。」


なんて、簡潔!なんてストレート!
しかも自分の紹介も怠っていない。
そしてわざわざおばちゃんが掛けてくれた意味もどこにも見当たらない。

話もつき、去り行くおばちゃん達に手を振りながら、みかが呟いた。
「高知の人は熱いねぇ。ゆっくり修理屋を待つかー。」

そして修理屋のおっちゃんもいい人だった。
小粋な高知弁で、何言ってんのか実はほとんどわかんなかったけど、楽しかった。
しかも素敵な情報を聞いてしまった。
って言っても単語だけリスニングだけど。
それは
今日のテン場候補だ!

なにやらおっちゃんに言われた通りに行くと、浜があるという。
みかと顔を見合わせる。
浜、ということは海。海、ということは太平洋。
「今日のテン場は、砂浜だ!」

そしてほぼ2時間後、暗くなる前になんとかポイント発見!

この夜は素晴らしかった。
ぴーたーが
スキルアップした夜でもあった。
神の祝福を感じた夜でもあった。

それは、今日のドラマで・・・。



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