白バイとぴーたー



みか宅を出発して走ること2時間ほど。

うりゃもうすぐ港の方かな・・・という頃。
それは起こった。

右折しようとして、みかの後にくっついてたこいちは、横にあるものがスルっと来たのを感じた。
(おっ、白バイだ。)

うわ、そばで見るの初めてっ、と軽く興奮しながら白バイのしくみを見ようと身を乗り出したとき、
おまわりさんの方から話し掛けてきた。

「君ら、何しようとしてんの?」
???
「へ、右曲がろうとしてんですけど。」

「曲がっていいの?」
とおわまりさん。
「へ、曲がっちゃいけないんですか?」とこいち。

「じゃぁ、右曲がったら、そこにちょっと止まってね。」
みかと顔を見合わせる。

なんかヤバイんかい!?
なんかマズイんかい!?
ぽぴーーーー
おい、サイレンならしてんぞ!?
3人揃って右折。

「君達、二段階右折って知ってるかい?」
「知ってますよー。」
はい、じゃあ、免許証出して今んとこ、3車線ね。」

「えっ、えっ、だって標識出てないですよ!」
とこいち。
「教習所で習わなかった?3車線以上は50ccは二段階右折なんだよ。」
と、おわまりさん。

どっかーーーん。知らねー。
なんか言わなきゃ。なんか言わなきゃ。
みかは素直に免許出してる!
ダメなんか?

「あ、あのー、実は今まで車にしか乗ったことなくて、カブって今日が
初めてなんですよ。
だから次からは気を付けますから、初回免除ってことでー。」
ウソは言ってねー!!!

「そうなの?」
とおわまりさん。
ん?つかんだか??

「君もかい?」

みか、うんと言えーーー!
「え、あー、そっすね。」
とみか。
ナイス!


だが、じんべえでカブ。
しかもカブにくくってあるデカ箱は尋常ではない。

あからさまに頭の悪そーな、2人連れだ。
疑問に思ってくれ!ツッコんでくれ!

「これからどっか行くの?」

よっしゃ、きたーーー

「あ、今年の夏休み中、四国をカブで回ろうということで、こんな荷物作ってきたんですぅ。
だから、私達、カブをゲットしてまさに今日、(強調して)
初カブっで港にむかってるんですよぉ。
すいませんでしたぁ。車で慣れてるものだから、甘くみてました。
今回だけは、見逃して下さい。
船の時間も迫ってるし。おまわりさぁん。」
一気に
上目遣いでまくしたてた。

こいちがやぃやぃ言ってる間、みかは黙って聞いていたが、
あとから聞いたら、白バイは絶対許してくれねーんだそうだ。
みかも何度か捕まってて、諦めてたらしい。

「じゃぁ、とりあえず免許見せて。」

だめか・・。

渋々うちらは免許を渡す。
おまわりさんはじっと免許を見つめたあと、
うちらの方へ返した。

???

受け取ってぽんよりしてると、
「今回はいいから。次は気を付けなさい。もう、行っていいから。」

ブラー−−ボー−−−!!!!!

みかと笑顔で興奮度を伝え合う。
「くぴっくぴぴゅるっ」
抑えきれない喜びが二人の唇から漏れて奇声に変わる。

早く立ち去ればいいものを、調子こいて道を聞き出す。
「ところで、今、このへんなんですよ。どう行けばいいんですか?」

ナイス、みか!
道は任せた!
だってこいちは方向音痴だし!

「ツイてるツイてるーーーー♪」
「ツイてるツイてるーーーー♪」

いつものように歌いながらカブ発進!!!

素敵な今日のドラマだった。


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