「……よっ、セレインちゃん。
……どうした? 何だか元気がねえようだが」
「……また、貴様か。貴様には関係ない。どこかへ行け」
セレイン・メネスとリッシュ・グリスウェルの、
いつものような、いつもの如くの会話の始まり。
ここでリッシュがセレインの言う事に素直に従う事は、まず、ない。
「まあ、そう言わずに。……話してみろよ。
何の解決にもならんかも知れんが、
ひとしきり言葉にするだけでもスッキリする事もあるもんだぜ」
「うるさい。
…………私をスッキリさせたいのなら……貴様は私の前から消えろ」
鋭い視線を向けるセレインに、やれやれ、とでも言いたげにため息をつくリッシュ。
「何があったか知らねえけどよ、お前にそんなに元気がないと俺………」
リッシュは立ち止まり、セレインの目線に背を屈める。
「お前を襲っちまうかもな」
「……っ、貴様! 言わせておけば……!!」
自分の頬に向かって跳んで来た少女の右手を、男は素早く受け止める。
そして……。
男は、そのまま大きな手で握り締め、それにそっと口付ける。
かーっと、頭に血が上る思いのするセレイン。
そして、次の瞬間。
しなやかな少女の右脚が、男の脛に見事にヒットする。
「……ってえ……! そりゃないぜ、セレインちゃん。
も少しこの甘い雰囲気を味わわせてくれても良かったのに」
「馬鹿者! いくら手を封じ込めようと無駄だ!」
「フッ…そんなつもりじゃなかったんだがな。
まあ、いいさ。おかげで、少しは元気が出たようだし」
確かに瞬間、
自分が何を考えあぐねていたのかを忘れてしまっていた事に気づき、
ハッとするセレイン。
「……! ……馬鹿だな、貴様も」
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…みたいな。
この流れを本当は漫画で描いてみたかったんですが、これで精一杯でした。
ちなみに背景イラスト加工前はこちら→☆
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