源泉の宿・宿泊記

奥山田温泉/満山荘(★★★★★)
客室や露天風呂から北アルプス連峰が望める


標高1500メートルの高原に広がる山田牧場。その広々とした高原牧場の中にある温泉、それが奥山田温泉です。山田牧場では、春から秋にかけて牛を放し飼いにしていて、満山荘の玄関先にも放牧された牛が遊びにやってきます。建物は、平成14(2002)年10月に改築。北アルプスを一望できるので「満山荘」。

●料 金

1泊2食 展望館(旧新館)¥15,000/歓山館(新本館)¥17,000(いずれも税別)

●所在地 長野県上高井郡高山村山田牧場奥山田温泉
●電 話 026-242-2527
●交 通 上信越道須坂長野東I.Cより45分。
●食 事

夕食(創作和食)・朝食(バイキング形式)/いずれも食事処にて

●風 呂

内湯2 露天風呂2

●施 設

和室10室

●イン/アウト

イン14:00/アウト10:00

●宿泊日

2004.10.29〜30


■温泉 男女別に内湯と露天がひとつずつあります。夜の10時には男女が入れ替わりますので宿泊客は両方楽しめるようになっています。内湯は男女とも岩風呂風の湯船。なんでも館主自ら岩を組み上げて作ったものだそうです。内湯のつくりは男湯と女湯とほとんど同じと思われます。内湯は真ん中で2つに仕切られ、熱めの湯と温めの湯に分かれていました。お湯はちょろちょろ注がれているといった感じで、湯船内のお湯もため置かれてしまっているという感じがして、この辺もう少し工夫してドバドバ系とは言わないまでも、目に見える掛け流し状態にできないものかと正直思いました。露天は男湯の方は1m×6m程度の木枠の付いた湯船となっています。女湯の露天は岩風呂風で木枠は付いてませんが、男湯と比べると広めで、概ね4m×5mの長方形程度の広さ(正確には長方形ではないけど)でした。お湯は薄っすらした乳白色。においは硫黄っぽいにおいと土っぽい温泉特有のにおいが合わさった感じのにおいですが、舐めても味はほとんど感じられませんでした。源泉は96度(約2キロ引き湯しているので、注ぎ口では60数度にまで下がっている)と高温なので加水有りですが、小さな湯の華がお湯の中にたくさん浮遊していました。露天の温度は幾分ぬるめでいつまでも浸かっていられる感じ。男湯も女湯も露天からは遠方に北アルプスの山並みが見渡せ、ロケーション的にはかなり高評価です。ただ、露天は肩まで浸かっている分にはいいのですが、立ち上がると宿のすぐ前の道路から丸見えになってしまうので、特に女性は不用意に立ち上がらないほうが良いと思います。24時間入浴可ですが、深夜の露天は真っ暗です。そのせいか「事故防止のため夜11時〜翌朝5時までの間の入浴は2人以上で(男女合わせてでも可)お願いします」との貼り紙がありました。
(内湯(男湯)) (内湯(女湯)) (露天(男湯))
(露天(女湯)) (露天(女湯)) (浴室入り口)
■部屋

満山荘には旧新館(展望館)4室と2002年10月に建替えした新本館(歓山館)6室があります。新本館は地上2階地下1階で、地上2階が客室、地下1階は男女別風呂になっています。そして旧新館は3階部分にあたり、客室になっています。今回泊まったのは旧新館の一番奥の205号室「燕(TSUBAKURA)」という部屋。角部屋で広縁部分4畳+本間12畳にトイレ・洗面付きで、最初部屋に通されたときは、その広さにびっくりしました。旧新館の他の3室を覗いてみると、広縁4畳+本間8畳にトイレ・洗面付きとなっていて、「燕」が旧新館の中で一番広い部屋だったようです(ラッキーでした)。角部屋なので和室に窓は3つ。ただ残念なことに正面の大きな窓から見える景色の一部を新本館の2階の屋根部分が邪魔していました。でもその屋根部分の上方に山々を見渡せ、晴れていれば遠方に北アルプスも望めます。また窓から見える夕焼けはとても美しかったです。広縁部分も畳敷きでソファーも置かれており、くつろげました。部屋は広々としていて小奇麗で快適。洗面部の板の間も広く、ゆったりと気持ち良く過ごせました。ただひとつ難点を言えば、トイレが少し狭かったことくらいです。また浴衣の代わりにオリジナル作務衣が用意されていました。館内はスリッパなしで歩きます。このため作務衣と一緒に足袋も用意されていました。廊下も綺麗に掃除されていますから、スリッパなしでも全然不快に思うようなことはありません。むしろ、そのほうがこの宿には合っているといった感じです。また、部屋には最初から布団が敷いてあります。滞在中は思う存分ゆっくりして欲しいという宿の配慮からです。このためチェックイン時の部屋案内の後は宿の人が部屋に出入りすることはありません。

(205号室「燕」) (広縁部分) (部屋の窓から見た夕焼け)
■料理

朝・夕とも食事は1階の「Food風土」という食事処で頂きます。ここがまた素晴らしく趣のある演出をされた部屋で、テーブルごとにお洒落に仕切りもされていて、プライベート感覚で食事を楽しめました。また料理を盛る器には「なかむらじん」(http://www.jin-n.jp/)の器など作家ものが使われていて、見た目にも皿、料理ともに鮮やかで食欲をそそります。どれも秘湯とは思えないような素晴らしい創作和食でしたが、なかでも特に美味しかったのは若女将が揚げたてを1品ずつ出してくれる熱々の季節の天ぷら、黒コショウがきいた冬瓜と牛ヒレのお吸い物、とろけるような馬刺し、とろーりチーズが入った茶碗蒸し、そして焼き梅茶漬けにデザートの柚子シャーベットでした(夕食のお品書き)。飲み物としては、地ビール3種のほか、地酒も10種ほど用意されていて、特に地酒はカウンターに並べられた一升瓶の見本を見ながら選べるのが楽しいです。夕食の始まりには若主人が何席かずつまとめて料理の解説をしてくれます。そして食事も中盤頃、創業者の主人(自分で「おっちゃん」と言っている)が、1席ずつ回ってきて、初めての客には宿のことを書いたおっちゃん手作りの資料のコピーをくれたり、いろいろ話をしてくれます。朝食は朝7時30分〜9時までのバイキング形式になっています。バイキングといっても卵焼き、シャケの塩焼き、山女の甘露煮、ウインナ−など手作りの温かな料理が並び、どれも美味しいです。特に卵焼きとおっちゃんが漬けたという梅干はとっても美味しくてオカワリをしてしまいました。また食後のデザートにフルーツ入りヨーグルトやコーヒー、紅茶も用意されていて、とっても満足感のある朝食でした。また朝食時もおっちゃんがやってきて、いろいろ、話しかけながら各席を回っていくのが印象的でした。

(「Food風土」入り口) (席はこんな感じ) (生湯葉、牛乳豆腐、馬刺しほか)
(エシャロット錦糸瓜溜漬ほか) (チーズの茶碗蒸し) (岩魚の塩焼き&舞茸の包み焼き)
(焼き梅茶漬け) (柚子のシャーベット&巨峰) (地酒10種品揃え)
(朝食はバイキング形式) (どれも美味しい手作り) (朝食)
■接客

満山荘は創業者であるご主人夫妻と若夫婦2世帯の家族経営の宿です。チェックイン時の2時より少し早めの1時45分頃訪れたところ、帳場で出迎えてくれたのは大女将でした。きどらない素朴な対応は田舎のおばあちゃんの家に行ったような暖かさを感じます。ロビーで蕎麦茶を頂きながら、宿帳を記入しました。チェックイン時には掃除に来ている女性何名かに出会いましたが、それ以降はご主人夫婦と若夫婦だけになります。食事は主に若女将が作り、若主人が料理の説明や配膳、そしてご主人が親しげなトークで各テーブルをまわる‥といったチームワーク?の良さで客をもてなしてくれます。この宿はチェックイン後、部屋に案内された後は、宿の人が部屋に入ることはなく、プライベート空間が守られます。また、普段帳場には人がいないため、宿の中を歩き回っていても宿の人に会うことはほとんどなく、やはりプライベートが守られています。その一方で、夕朝の食事の時間になると、ご主人がいかにも親しげなトークで1テーブルずつ話をして回る‥結果的には、この絶妙なアンバランスさが妙に心に残り、温泉や料理や景色などの良さと相まって「また今度訪れてみたい‥」と、そんな気分にさせる不思議な魅力を持った宿です。

(廊下の様子) (ご主人のカメラコレクション) (写真や資料が展示されている部屋)
(満山荘の愛犬ペロのおうち) (ペロの横顔) (ロビーの様子)


秋の山田牧場(たまたま見つけたページ)>>http://www004.upp.so-net.ne.jp/new-Mitiko/bokujo1.htm
■源泉チェック■
薄めの乳白色
泉質 単純硫黄泉
源泉温度 96度
湧出量 30リットル/分
PH 7.8
飲泉 不可