温泉わんだらあ 源泉の宿・宿泊記

白骨温泉/小梨の湯 笹屋(★★★★★)
白樺林に囲まれた静かな宿


この宿を選んだ理由(わけ): 「日本秘湯を守る宿」のスタンプが10個たまったため、それまでに泊まった10軒の宿の中から笹屋を選択。白骨温泉は、何年か前、入浴剤投入で話題になったところですが、ここ笹屋は秘湯の宿でありながら、料理、接客、部屋、温泉と上品で雰囲気の良さから好印象に残っていて、リラックスして心身ともに休めるには再訪してもいいなあと思ったからです。


●料金

1泊2食 平休日・休前日とも15,900〜28,500円(税・サ込み)

●所在地 長野県南安曇郡安曇村白骨温泉
●電話 TEL.0263-93-2132
●交通 長野自動車道松本ICより国道158号線県道白骨温泉線約40キロ約60分
●食事 仕切りの個室、囲炉裏の間
●風呂 男女別内湯各1、貸切専用露天風呂1
●施設 10室(うち特別室3室、離れ3室)
●イン/アウト イン15:00 / アウト10:00
●宿泊日 2008.4.25-26
●URL

http://www.shirahone.org/sasaya/index.html


■温泉

男女別内湯が1つずつとと貸切露天風呂が1箇所あります。入浴時間は内湯が5:00〜24:00、貸切露天風呂が7:00〜22:00までとなっています。内湯は2m強×3.5m程度の湯船。男湯も女湯もほぼ同じ造りと考えてよいと思います。浴室の2面は外に面していて、大きな木製のガラス戸になっているので、内湯に浸かりながら外の白樺林が見えます。たぶんこの内湯から見える白樺林はちょうど宿の裏側にあたる部分にあるものだと思います。戸を開放してしまえば、ほとんど半露天のような感じになってしまいそうなそんな浴室です。お湯はうっすら青みのある乳白色。薄っすら硫黄の匂いもする柔らかな極上のお湯です。浴槽は、もともと木製だったんでしょうか、木の湯船に白いセメント?を塗って固めたような感じでした。浴室の壁は一面木張り、天井も木の梁が剥き出しになっている総木造りでなかなか良い雰囲気を醸し出していました。湯の温度は42〜3度くらいでしょうか、けっしてぬるめではありませんが熱すぎてじっと浸かっていられないというほどでもありませんでした。加温はしているそうですが源泉100パーセントの掛け流しです。静かに新鮮な乳白色のお湯に浸っているのはとってもリラックス感があって気持ち良かったです。


次に貸切露天風呂についてです。離れに貸切専用の露天風呂が1箇所あります。特に予約が必要というわけでもなく空いていれば入れます。客室数も少ないので使用中の時は湯上り処(休憩スペース)で待っていても良いと思います。30分も待てばそのうち空くでしょう。露天までのアプローチは階段と廊下が割りと長くて最初行くときは期待感を募らせてくれました。少し長めの廊下の先に突然露天風呂が姿を現すといった感じ。それほど大きな湯船ではありませんが、白樺林に面して、こちらも内湯と同様いい感じ。大人2人では少し余裕あるくらいの広さです。露天風呂というと普通は浅めに設えられたものが多いように思うのですが、ここの露天風呂は割と深めに造られていました。浸かって中で座ると顎の先端のところまでお湯が来ますから。泉質はもちろん内湯と同じ。



■部屋

今回招待されたのは、離れの「乗鞍」という部屋。母屋から渡り廊下で、大浴場のある棟から階段を上がり、さらにそこからまた階段状の渡り廊下で、離れへと繋がっています。離れは「乗鞍」を含めて、3部屋から成っていました。通された「乗鞍」の部屋は入り口のドアを開くと、2畳ほどの水屋、そして4畳の次の間に10畳の和室と続いていて、広々とした部屋でした。角部屋で2面が窓で、1面いっぱいには大きなガラス窓がとられていて、白樺林が広がっている景色が眺められ、開放感がありました。チェックイン後、まず、帳場そばの小部屋で梅こぶ茶と和菓子をいただきましたが、離れの部屋のテーブルにもまた小さな菓子が2つ置かれていました。また、水屋にはお茶セットのほか、ドリップパック式のコーヒーが4杯分置かれているのはうれしかったです。冷蔵庫にはすでに飲み物が入っていましたが、場所をつめればさらに自分で買ってきた飲み物も冷やせるくらいのスペースはあります。また、うれしいのは、洗面室にバスタオルを乾かす電気式ヒーターのようなタオル掛けがあったこと。これで濡れたタオルも割とすぐにふわふわに乾きました。



■料理

(夕食):今回の夕食場所は、(前回時のような)囲炉裏の間ではなく、チェックイン時にお茶を出された小部屋でした。これには少々がっかり。また、その小部屋は5部屋ほどに仕切られていましたが、向かい側の部屋に小さな子連れの3世帯親子がいて、そこの子供たちが廊下をドタバタと何回も走り回ったり、泣き叫んだりしていてうるさく、正直言っていい迷惑でした‥(小さい子供に罪はないのでしょうけど、こういう静かな秘湯の宿に連れてくるのなら、親がしっかりしつけておくか、そういう構成員なら、こういう宿にわざわざ来ないで、もっと相応しい旅館・ホテルに行けばいいと思うのですが‥)。メニュー的には前回の宿泊と同様だったのが、馬刺し、イワナに味噌を詰めて3時間かけて笹の葉を巻いて蒸したもの、桜おこわ。ここは前回もそうだったのですが、漬物に手を抜かず、美味しく、ボリュームもたっぷり出されるのが良いです。今回は赤かぶと大根のお漬物でした。豚肉と野菜のセイロ蒸しは、豚肉の脂身の多いのが気にはなったものの、ポン酢でさっぱりといただけて美味しかったです。また、前回と同様に女将からということで、日本酒かウーロン茶をもらえるようになっていたので、日本酒を冷酒でお願いしました。やはり前回と同じく、竹の筒に入って出てきました。あとは蕎麦がきが風味があり、もちもちやわらかくて美味しかったです。天ぷらはふきのとう、こごみ、たけのこで、サクサクと香ばしかったです。最近、お酒はワインを飲むことが割と多いのですが、この宿はワインの種類も結構豊富にあるものの、辛口の白ワインが1種類しかなかったのは残念でした。冷酒のあと、小瓶で辛口白ワインを頼みました。夕食を一通り終えて感じたのは、食事処の雰囲気のせいか、前回ほどの感動はなかったこと。前回より品数も多く、お腹は満足でしたが、メニューに意外性がないようにも思えました。きっと前回の感動で、2回目を期待しすぎていたせいかもしれません。


(朝食):朝食も夕食と全く同じ小部屋で、胡麻ドレッシングの大根サラダ、青菜のおひたし、山菜の油炒めとどれもボリュームいっぱいの野菜。茶碗蒸しも小ぶりながら野菜がたくさん入っていて、健康的な朝ご飯でした。鮎の一夜干しは、丸ごと食べられ、香ばしくて美味しかったです。ご飯は白い普通のご飯と、温泉粥を選べるようになっていたので、前回同様、温泉粥にしました。確か前回もピリ辛薬味がついていて、お粥と一緒に食べるのがとても美味しかったです。

■接客

「日本秘湯を守る会」の会員宿ということもあり、食事の配膳、部屋の案内時もこちらから話さない限り、スタッフから話し掛けられることはなく、基本的には放っておかれるタイプの接客です。素っ気無い気もしますが、慣れてしまえば、その方がけっこう気楽にくつろげます。また、夕食時の布団敷き、朝食時の布団上げのたびに部屋で使った茶碗や急須がきれいになって戸棚に入っていたのは感心しました。秘湯の宿でない2万円台の宿でさえ、なかなかここまではやってくれないものなので、こういった細かな心配りのサービスはうれしかったです。また、部屋には湯沸しポット以外に、氷入りの冷水の入った専用ポットが置かれているのもうれしいサービスでした。



総じて、この宿の評価は?

今回はスタンプ帳(日本秘湯を守る会)の招待ではありましたが、離れの、それもいちばん窓からの眺めがいいと思われる部屋に宿泊できてとても良かったです。部屋からの眺め、部屋のしつらえ、温泉の雰囲気、といずれも期待を裏切らない良い宿でした。料理については、山菜や野菜もふんだんに使ってあって良かったのですが、ただ今回の食事処の雰囲気とお決まりのメニューが何品かあったせいか、前回ほどの感動はありませんでした。しかし、客室数が少ないせいか、大浴場はいつ行ってもそれほど混んでいるということもなく、けっこう一人で貸切状態で入ることができて落ち着きました。また、朝は部屋にいながら野鳥のさえずりも聞こえて癒されました。(お気に入り度=★★★★★)*前回訪問記はこちらから。

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