一般病棟のオトボケ助産婦物語



私が今回、入院せざるを得なくなったのは“産婦人科メインの混合病棟”である。
この病棟にはオバハン助産婦が何人かいるのだが、彼女達は長年に渡ってお産に携わってきて、
そちらの方面でのプロフェッショナルだという事は理解できるし、尊敬にも値することだろう。
しかし、専門性が余りにも高く、またその(お産の)為だけに所有している助産婦免許なので、
いくらその道のベテランでも“専門外の分野”については、カラッキシなのである。
そう、いくら看護婦免許も持っているとは言え、使ってなかった洋服をタンスの奥から引っ張り出してくるのとは
事情が違うのである。
はるか昔に詰め込んだ知識を、半ば石灰化した脳細胞から取りだしてくる事は容易ではないし、
ましてや患者を目の前にして昔の知識をフル回転・・・なんて、オバハンには残酷物語ではないかと思う。

最近は出生率の低下が著名なので、この病院のように助産婦を一般病棟に勤務させるという体制を
取っている所が少なくないのは容易に予想できる。
そして助産婦国家試験の受験資格として「看護婦免許を有すること」というのがあるので、一概に場違いだと
論じることは出来ない・・・というのも充分分かっているつもりである。

しか〜〜し、このような異次元からきたような人達の存在は患者にとっては迷惑であるし、
見ていて滑稽に移ることもしばしば・・・という感じである。
「何でこんなのを現場に出すんだ!」と腹も立つけど、大部屋の室内で何人もポータブルトイレを使われては、
お馬鹿さんを相手に出来るほどの精神的な余裕などないのが実情なのだ。
オマケに4回目の手術を控えているので、自分の治療に集中出来る条件から整えなくてはならない。
従って、極力接触を避ける以外に方法はないのでそうする事にしたのだが、それだけでは(左膝に膿が溜まる
のと同様に)ストレスが溜まるだけなので発想の転換をしてみた。
こうして“異次元の生きもの”の観察日記をつける事によってストレスが少しでも緩和出来ることを願ってやまない。

そう考えると、これからどんなネタを提供してくれるのかが楽しみになってきたぞ!
整形外科病棟の2人部屋が「2月中は空かない」という答えがきているので、少なくともあと8日間はこの病棟に
入院していなければならないのだから、ネタの宝庫として利用するしか価値はないのだ。
ネタ提供のお礼として、退院したら私のホームページに掲載してあげよう。


《トンチンカンなF助産婦の巻》
釈由〇子も真っ青の“天然ぶり”を存分に発揮している彼女の逸話(golden−story!?)は、
入院翌日の2/14にやってきた。

経過概要にも書いてあるのだが、入院当日の夜は左膝の痛みが強く、ソセゴンという劇薬を使って除痛を
試みていた。夜中・・・要するに日付は2/14になっていたがAM1:20頃に7.5mgの2回目を筋肉注射して
もらったので、朝にはウトウトしていた。しかし痛みはあまり軽減せずにいたので、結局はその日(2/14)の
昼過ぎに再度ソセゴン15mgを使用することになるのだが・・・。
 2/14の朝は鎮痛剤・ソセゴンの副作用と夜間の不眠とが重なっており、頭はボーッとしていながらも
痛みは続いているという状況だった。
そんな中でナースが業務的に・機械的に持ってきた清拭(せいしき)用の蒸しタオルを「垢じゃあ死なないから
今日は要りません」と言って断ったのだが、身体を拭くよりも痛みを何とかしてもらいたかったのだ。
この位は分からないと看護婦も助産婦も出来ないんじゃないの?ねぇ・・・。

そしたら、このトンチンカン助産婦Fはなんて言ったでしょう?
「顔は洗いましたか?」だってさ!
アンタこそ、出勤前に顔を洗ってきたのか・・・っ、つうの!
形はどうであれ、私の昨夜の状態を頭に入れてBed−sideに来ているハズなのだが、それにしては
発言の意図が分からないし、脳細胞に空白がなく新しい記憶が入るスペースがないとしても・・・。
患者の方から「要らない」と言っているのだから、適当に流しておけばいいんである。
そういう小技が使えない、って事でもトンチンカンさが強く出ていると思うのだ。

まあ、このF助産婦は長年に渡って一般病棟で飼いならされているみたいだから、妊婦以外の患者も
見ていると思うんだけど・・・、なんていう期待ははなはだ見当違いもいいところである。
なんたって、釈由☆子なんだからそれなりの世界があるのだ。普通の人は入れないもんね。
お疲れ様、早く返って寝た方が周りの為にも良いと思いますよ、って感じかな。
 
ここのナース達の話を総合すると「いざ、お産」となると違うっていうんだから面白いもんだ。
柔道のYAWARAちゃん、こと田村亮子選手は試合になると頭の回転が“戦闘モード”になるという。
この言葉を借りれば、このトンチンカン助産婦Fの場合は“お産モード”とでも表現すれば良いのだろうか?
まあ、確かにヨレヨレの状態で働いているオバハン助産婦に対して、いつも全開でいろという方が間違ってる
のかもね。なんか、そう考えると思わず声援を贈りたくなってきちゃった。
なんてこと、あるわきゃないか!


《嘘つき助産婦の巻》
最初は自らパニックになって周りにも迷惑をまき散らすというだけかと思っていたら、とうとう化けの皮が剥がれた
みたいだな、こりゃ。

経過概要の2/20の所にも書いてあるのだが、一時が万事・・・という感じだと思って頂ければ読んでいてイメージ
がしやすいと思う。そして言葉の所々で必ずと言っていいほどに「ハイ」というのを挟むんである。
ほら、良くテレビのニュースキャスターが次の場面(中継等)に渡す時に「ハイ。ではスタジオの〇〇さん、
お願いします」とかいうやつですわ。それにつられて患者も「ハイ!」なんて事はないか。
それと、これは今回の担当医でもある若ドクターIと良く似ていると感じるのだが、そんなに多くのことを一気に
やっている訳でもないのに、自分でパニック状態に入っていくのか、1つの事しか見えなくなるみたい・・・。
お気の毒としか言えないわね。
そして患者が彼女の期待する答えをしなかった時「ええぇ〜、そうですかぁ?」と言うことが多い。
おいおい、勘弁してくれよ!
 
昔の看護婦にありがちなタイプで「患者は布団をかけて首から上だけを出し、真上を向いて寝ている状態で
観察に行く」のを得意分野としている人種である。
そして誰もが気付かないような背中のとても小さな発赤疹を発見することを喜びの1つとしているんじゃないかと
勘違いさせてくれるのだ。
何でもかんでも「やってあげる事」が良い仕事だと心の底で思っていたり、あるいは短時間で仕事を済ませるのが
有能な看護婦だと思ってたりするんだなぁ〜、これが。
とにかく、この嘘つき助産婦はこういう感じだと思って読んで頂きたい。

そして肝心の嘘つき場面の再現である。
おメメをパッチリと開いて読んで頂きたい。とてもリアルなドキュメンタリーなんだから・・・。
もう、取れたてホヤホヤって感じなんだもの・・・。湯気が出てるかもね。
私は口が悪いけれど、頭はボケてないので記憶がリアルなうちに書いておかなくちゃ!
では“嘘つき物語”の始まり、始まりぃ〜!

時は平成13年2月23日、夜もふけてきた23時を境にした出来事だった。
この病棟の夜間巡視は23時、1時、3時と3回に渡って行われることになっている。
「行われることになっている」という表現がミソなんであ〜る。
・・・というのは、巡視時に頼もうと思っていたことがあり、22:40頃から「今か、今か・・・」とお待ちしていた。
ところが明けても暮れても、来やしないんだな、これが。
あれ?忘れてるのかな?・・・とも思ったんだけど、23:30まで待っても来ないもんだからナースコールを
押したわけさ。見せないと分からないことだし、そういうのって訴えても「次、そうなったら」って事で流されて
しまうからね。そしたら既に深夜勤務のナースと交代した後だったらしく、深夜のナースがやって来たんだよね。
その子に「23時の巡視、来てないんだけど」と伝えた時、一緒に来てたみたい。
その子は「そんな事があるわきゃない」と思ってるもんだから、無言で首をかしげてたね。
カーテンの向こう側で2人が何やら話していたと思ったら、間もなくこの“嘘つき助産婦”が私の前に現れた。
そして「私、来ましたよ」とおぬかしになられたのだ!!!
同室に眼科の術直後の人が居たから気になってとか、私の所は枕もとの電気がついていたので「居るな」と
思ってチラッと一瞬だけ見て行ったとか、声をかけなかったのがいけなかったのかしら・・・とか、イケシャーシャー
と言っちゃうわけよ。やっぱ人生経験を積むと違うよなぁ〜!

こういう所がオバタリアン(ちょっと古い?)の嫌われる要因だよね。
ママチャリで自分からぶつかっていってんのに「相手が悪い」とどこまでも言い張る商店街のおばちゃんと似てる。
電車の中で買い物袋まで座席に置いてたりするおばちゃんとか、降りる人よりも先に乗っちゃう人にも似てるな。

じゃあ、アンタが来たと言い張る巡視の時に私が何をしていたか言ってみな、って感じ。
「私、何をしてましたか?」って、私よりも年長さんだから一応は敬語で聞いてやったんだけど、ハッキリした答えは
なかなか言わない訳よね。電気がついてたからチラッと見ただけだとか、いると思ったとか・・・。
そんな事を聞いてるんじゃなくて「アンタが巡視に来た時に私は何をしていたか」って、聞いてんの!
座ってたか横になってたか・・・ってのも、最初と最後じゃ回答の内容が違うとなると、信頼度は皆無だぜぃ!
途中でICレコーダーを出して録音していたのだが、話の終わりに「今の録音してますから」と教えてやったら
「どうするんですか?」と聞くから「退院したら全☆○(この病院と同系列の全国の病院を取りし切っている
半官半民の団体で、厚生省等の役人の天下り先にもなっている所)にでも送ります」と答えた。
まさか・・・と思ったかどうかは知らないが、フルネームを尋ねたら一瞬だけど声が上ずってたかな・・・。
ご丁寧に漢字まで聞いてやっちゃったもんだから、なおさらだったりしてね。
でもさぁ、やっぱ「嘘つきは泥棒の始まり」だよね。

私が言いたいのはここからなんである。
結局、事実はあやふやなままで終わってしまった訳なんだけど・・・。いや、あやふやじゃない!アイツは来てない!
これで仮に私がICレコーダーのデジタル録音をカセットテープにおこし、手紙と共に全☆○に投書したとしても
「看護記録の2/23、23時の所に“巡視時睡眠中”とか“巡視時覚醒している”とか書いてサインされると、
やってもない巡視がやった事になってしまう」事なんだよね。カルテ上では。
そして調査しても記録上ではやったことになっている・・・という答えしか返ってこないことになるんだな。
この嘘は闇に葬られる、ってわけよ。
何たって「看護記録は公文書」なので法的にも充分に効力があるし、国家資格を持った人間が記録してサインを
してたとしたら、外部の人間が嘘をあばくのは容易じゃなくなるんだわさ。
しかも、こっちには証拠ってモンがないし・・・。
だからその場で言ったんだけど、当の本人は「来ました」の一点張り。
金曜日の夜という時間帯だったので、その気になれば患者から投書が行ったり上司にクレームがつく前に
看護記録を書き換える事も可能なんだよねぇ・・・。
この嘘つき助産婦がそこまでやる人間かどうかは別として「やろうと思えば出来る」ってことなのよね。

患者としてはここまでが限界って感じかな。そういう意味では医療を施される側の患者は、究極の寸前まで
強気に出られても最後は立場が弱くなっちゃうんだよね。
これを読んでいるあなた、どう思う?

こういう類の出来事って他の業界でもあるんじゃないかね・・・。
裏話として投稿してもらいたいわ。期待してるわよ!そこのアナタ!


《番外編》
今回の入院時に整形外科病棟の有料病室(2人部屋)が空いてなかったので、産婦人科メインの混合病棟の
片隅にある5人部屋に入れられて「産婦人科以外の一般患者のいる所に助産婦を放し飼いにするのは良くない」
と強く感じた。そしてこの“一般病棟のオトボケ助産婦物語”を書くことを思いついたのだが、執筆している途中に
思い出したことがある。
それは平成6.7年頃、450床クラスの病院に勤務していた時のことなのだが・・・。

それまで配属されていた外科病棟から整形外科病棟に勤務交代になってから、半年〜1年は経っていたかな。
その2〜3年は何故か勤務交代がとても多く、ほとんどの病棟スタッフがバラバラになったという印象が残っている。

・・・で、そこの整形外科病棟は確かに「整形外科メインの混合病棟」であったのだが、産婦人科病棟は別にあるにも
関わらず、わざわざその産婦人科病棟から整形外科病棟に勤務交代になったオバハン助産婦が居たっけなぁ〜。
その人も確かにオトボケだったけどね。仮にK助産婦としよう。
釈由☆子型、浅田○代子型、西村知◇型・・・のどれにも当てはまりにくい“新種”という感じの人だった。
この人事移動そのものが妥当かどうか、ってことよりも、とにかく「変わった人」だったという印象しかないんである。

私が入院しているこの病院のオトボケ達は、病院のシステム上である程度は本人達も(産婦人科以外を見なくては
いけないということを)自覚していると思われるが、当時のK氏は本人の言葉を借りると「地球が裏返ったかと思った」
ということらしい。要するにビックリしたってことだろうけど・・・。
駅やデパート等の街中でマゴマゴしている年寄りがいると思うんだけど、まさにそういう感じかな。
でも実は違ってて、マゴマゴ加減を周りにアピールして誰かの助けを待ってる、っていう悪質な年寄りも中には
いるでしょう?K氏はそういうタイプの人だったなぁ。
やってくれるのを良いことに・・・というか、人任せにする味をしめちゃってからは大変だったよね。周りが。
1回ナースステーションを出たら、日勤だろうが夜勤だろうが「いつ帰ってくるか分からない」んだから・・・。
鉄砲玉か、アンタは!

反対に1度ナースステーションに入って自分の業務(看護記録等の本当に自分の業務)を始めたら、
テコでも動かないときたもんだ。こりゃあ始末におえないということになったのだが、本人は至って平然としている。
手伝わない周りが悪い・・・なんて言っちゃった時には、普段はおっとりしてるスタッフがキレてたけどサ。
そんなのに“周囲の話題についていけない自分”が嫌だったみたいで、耳をダンボにしてたのは印象的だった。
やはり、そういうのを認めたくないんだろうか?

1回だけ一緒に夜勤をしたことがあって、その時に「私、あなた(ナースのおばちゃんの事)を見てて思うんだけど、
この病棟っていうか、この病院に合ってないと思うんだよね」って言われたことがある。
はぁ?・・・って言ってやったけどね。
他のスタッフの話を聞いたらどうも共通事項があるらしいという事が判明した。
私以外にも何人か同じことを言われたスタッフが居たのだが・・・。
このK氏が上記のように言った相手というのは“知識の面でかなわないと感じた奴”に対して言っている、って事が
分かったのだ。もう馬鹿らしくなってきた。
アンタの助産婦免許はナンボのもんじゃい!



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