第91回看護師国家試験問題・午後


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次の文を読み問題1,2,3に答えよ。

78歳の女性。アルツハイマー型痴呆で要介護2。会社員の息子と2人暮らし。
物忘れは著しいが、午前11時から2時間の訪問介護(身体介護と家事援助の折衷型)を月に20回利用しながら、
日中は1人で過ごしている。ホームヘルパーとの関係は良好である。
時々、火の不始末があり、息子が「食事の用意は自分でする」と言っても
「私がしなきゃまともな食事をしないじゃないの」と譲らない。
最近、夕刻にエプロン姿で商店街に行き、帰り道が分からなくなり、警察に保護されることがあった。
親子関係は良く、息子は各種サービスを導入して、できるだけ家でみたいと言っている。
訪問看護婦は月に1回訪問し様子を見守っている。




1:訪問介護2時間の費用の額は7050円、要介護2のサービス利用限度額は194800円である。
訪問介護サービスに対する1か月の自己負担額はどれか。
@5000円
A14100円
B19480円
C42300円


2:3か月後、息子を「あの人」と言ったり、スカートの上にズボンをはこうとしたりするようになってきた。
ある日、看護婦が訪問すると、台所から煙が出ているのを近所の人が発見し、大騒ぎになっていた。
魚を焼いていてすっかり忘れてしまったらしい。本人もショックを受けたようで落ちつかない。
訪問看護婦による本人への対応で適切なのはどれか。
@「炊事は危険だからこれからは息子さんに任せましょう」
A「近所に迷惑をかけないようにしましょう」
B「同じようなことを繰り返していますね」
C「火事にならなくて良かったですね。もう大丈夫ですよ」


3:看護婦は今後のことを息子と話し合い、息子は要介護認定の再申請を行うことにした。
主たる理由はどれか。
a.息子の介護時間の限度
b.隣近所からの苦情
c.夕食を準備する時の火の不始末
d.息子を認知できなくなってきていること
@ab Aad Bbc Ccd



次の文を読み問題4,5,6に答えよ。

55歳の男性。妻と高校生の息子との3人暮らし。会社の経理部長。まじめで几帳面な性格。
仕事を生きがいに働き続け、同期入社の中では一番高い職位にある。慢性腎不全のため5年間血液透析を行った後、
本人の希望で連続携行式腹膜灌流法(CAPD)を導入する事になった。本人は一刻も早い職場復帰を望んでいる。
入院中はCAPDの操作に熱心に取り組んでいた。



4:退院後CAPDは1日4回(0時、6時、12時、18時)に行うことになった。
会社の昼休みにCAPDを行うために必要な設備はどれか。
a.実施する場所
b.透析液を保管する冷蔵庫
c.透析液を温める電子レンジ
d.CAPDの物品を保管する専用棚
@ab Aad Bbc Ccd


5:退院後2週で元の部署に戻り、その後は順調に経過し、自信を持ち始め6か月が過ぎた。
しかし、仕事が忙しく、CAPDの実施が2時間程度遅れたり、急いで操作する事も多くなった。
3日前からカテーテル出口部が発赤し、圧痛がみられるようになったため、外来を受診した。
観察項目で重要なのはどれか。
@体重増加
A出口部からの液漏れ
B努責時の腹壁の膨隆
C排液の混濁


6:その後、仕事のためCAPD管理が不充分で、入退院を繰り返し数年が経過した。3か月前、直属の上司が休職したため、
その代理を任され、さらに多忙となった。徐々に体重も増加し、高熱が持続したため、緊急に入院した。
今後の指導で最も重要なのはどれか。
@人生における仕事の意味を考えてもらう
A部署の配置転換を希望するよう提案する
B腎移植について医師と相談するようすすめる
C妻にCAPDの管理方法を指導する



次の文を読み、問題7,8,9に答えよ

Aさん、45歳の男性。1人暮らし。10年前に糖尿病を発病し、インスリンの自己注射を行ってきた。
視力低下が徐々に進行して2年前に離職したが、独居のまま通院療養生活を続けていた。
相談指導にあたっていた外来看護婦は、Aさんに針刺し傷や熱傷、打撲による皮下出血などを認めるようになったため、
独居や単独での通院は危険であると判断し、新しいマンションに引っ越したばかりの両親と一時期同居するように勧めた。
外来看護婦は母親にインスリン注射、食事療法、環境調整の方法などを指導し、訪問看護婦に連絡した。
Aさんの視力は指数弁10cm/n.d.で神経障害(ニューロパシー)も著しい。



7:Aさんの視力低下を招いた病変を示す眼底所見はどれか。
(省略)


8:図は両親の部屋の見取り図である。
Aさんが住宅内を安全に移動する為に最も指導を要するのはどれか。
(省略)


9:Aさんは市役所の福祉課に相談に行き、家族と話し合って中途失明者のための生活訓練過程のある施設に入所することになった。
そのためにはインスリンの自己注射を習得する必要があり、訪問看護婦がペン型注射器(図)の使用方法を指導した。
神経障害(ニューロパシー)を補う方法はどれか。
@針の空気抜き:インスリンを手掌に滴下させた後に臭いを嗅ぐ
A注入単位の確認:注射器のダイアル音の回数を数える
B注射部位の変更:注射器を持たない手の指を腹部の所定の位置で広げ、指の間を順番に注射する
C指への針刺し予防:広げた指の1本を注射器を持った手の小指で確認する






次の文を読み問題10,11,12に答えよ。

57歳の男性。10年前に心筋梗塞で入院し、心臓カテーテル検査で左冠状動脈の2枝の閉塞が認められた。
退院後は自己管理は良く、定期的に外来通院をしていた。5日前から息切れを感じたが胸痛はなかったため、
通常通り仕事をした。
次第に下肢の浮腫が現れ、夜間に呼吸困難が出現し、緊急入院となった。
身長170cm、体重は3、5kg増加して74kgとなっていた。「苦しくて、身の置き場がない」と苦痛な表情で頻脈。
胸部エックス線では肺うっ血が著明で、心胸比64%であった。
動脈血分析でpH7.39、動脈血酸素分圧(PaO2)70mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)40mmHgであった。



10:聴診所見のうち経過観察に重要なのはどれか。
a.湿性ラ音
b.拡張期心雑音
c.心膜摩擦音
d.V音ギャロップ
@ab Aad Bbc Ccd


11:フロセマイド、ジゴキシン及びカプトプリルの薬物療法が開始された。
治療の目標値で適切でないのはどれか。
@心胸比50%以下
A心拍数90/分以下
B動脈血酸素分圧(PaO2)80mmHg
C体重減少8.0kg以上


12:運動耐容能の低下から生じる合併症の予防で、入院後直ちに始める事ができるのはどれか。
@弾性ストッキング着用
A胸部タッピング
B四肢の自動運動
C鎮痛薬による安静



次の文を読み問題13,14,15に答えよ。

55歳の男性。会社員。妻と2人暮らし。人間ドックでC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性を指摘された。自覚症状はない。
受診の結果、HCV−RNA陽性、AST(GOT)20IU/l、ALT(GPT)30IU/l、総蛋白7.5g/dl、アルブミン4.5g/dl、
総コレステロール210mg/dlであった。約15年前に輸血を受けた事がある。身長168cm、体重64kg。
1年前から週に5日のペースで毎日約5kmのジョギングを始め、体重が約4kg減っている。若い頃から酒が好きで、
現在は毎日ビールを約700ml飲んでいる。



13:受診時の状態はどれか。
@過去にC型肝炎ウイルスに感染し、現在血液中にウイルスは存在しない。
A現在血液中にC型肝炎ウイルスは存在していないが、肝細胞の破壊がある。
B現在血液中にC型肝炎ウイルスが存在しているが、肝細胞の破壊はない。
C現在血液中にC型感染ウイルスが存在しており、肝細胞は破壊されている。


14:男性への指導内容で適切なのはどれか。
@ジョギングを軽い体操に変更する
A動物性蛋白質をできるだけ摂取する
B自覚症状はなければ受診しなくてもよい
C飲酒をやめるよう勧める


15:5年が経過し、男性の病態がC型慢性肝炎へと進行したため、インターフェロン療法が始まった。
治療開始後30日、男性は不眠になり「仕事もうまくいかないし、どうせ肝癌になるのだし、もう死んでしまいたい」と看護婦に訴えた。
対応で適切なのはどれか。
@「もう少し頑張ればウイルスを駆除できますよ」
A「気持ちが明るくなる薬を処方してもらいましょう」
B「インターフェロン療法を中止することになるでしょう」
C「気分転換になるようなことを考えましょう」



次の文を読み問題16,17,18に答えよ。

Aさん、25歳の男性。高校1年生の時オートバイ事故で受傷した。第7頚髄節支配の昨日が残存しているレベルである。
職業訓練所卒業後、自動車を運転しての通勤も可能になり、いったん家族と同居したが、両親との折り合いが悪く
独居を始め6年が経過した。
この間、褥瘡の治療のために手術を受けており、その都度プッシュアップ(両腕で状態を押しあげ殿部を浮かす)や
体位変換についての再指導をうけている。今回、脊髄損傷リハビリテーション専門外来に定期診察のため受診したが、
診察を受けるまでに長時間を要する状況であった。



16:診察前の体温は36.9℃。尿の性状は透明な麦わら色。外来でAさんを担当している看護婦が
「なにか変わった事はありませんか」と聞くと、「問題ないよ」と答えた。
診察を待つ間、看護婦が特に注意して観察するのはどれか。
@待ち時間にイライラしていないか
Aプッシュアップをしているか
B倦怠感や疲労感を示す様子はないか
C患者同士で情報交換をしているか


17:外来受診した翌朝咽頭痛が起こり、発熱した。欠勤の連絡をして、市販薬で様子をみるうち、嘔吐や下痢を併発し、
食事も摂れなくなり、1週前から寝たきりになった。心配した上司が訪れ、入院となった。
診察を受けたAさんは殿部の周辺に大きな褥瘡があり「風邪を引いたころに鏡でみたら、小さな褥瘡ができていて、
下痢で汚れるし、体がだるくて動けなくなるし。病院に行かないと危ないとわかっていたけど、
これで褥瘡ができたのは3回目だから厳しく注意されるし、もうどうにでもなれと思った」と言う。
今後Aさん自身が強化しなければならない行動はどれか。
@自分に必要な援助を他者に求めること
A好発部位を鏡で観察する習慣
Bプッシュアップ・体位変換のスケジュール化
C風邪を予防する対策


18:Aさんの体力が回復したところで筋皮弁を用いて褥瘡を閉鎖する手術が行われた。
数日後、定期の抗菌薬の点滴が開始された直後に、看護婦から「膀胱留置カテーテルを抜いて、
入院前と同様に自己道尿をしたらどうでしょう」と提案された。Aさんは了解して「カテーテルは何時に抜いてもらえますか」と
尋ねたところ、看護婦から「何時にしたらいいですか」と問い返された。
看護婦が意図したことはどれか。
@Aさんが膀胱充満感を知覚するのを待つ
AAさんの自由意思を優先する
BAさんに自分で判断できることだと気付いてもらう
CAさんが正しく判断できるかどうか確認する



次の文を読み問題19,20,21に答えよ

45歳の女性。夫と2人暮らし。猫を飼っている。夫は喫煙するが本人はしない。
35歳で気管支喘息を発病し、内服薬を服用していた。夜間頻繁に呼吸困難発作が起こり、目覚めることがある。
3日前から発熱と咽頭痛があり、呼吸困難が強くなって入院した。入院時、体温38.3℃、脈拍数110/分、呼吸数23/分、
吸気および呼気時に全肺野で喘鳴を聴取した。会話は可能で酸素飽和度(SaO2)96%であった。



19:最初に行う対応はどれか。
@起座位にする
Aタッピングを行う
B解熱薬を投与する
C酸素吸入を行う


20:2週間で喘鳴が消失した。
退院指導で必要でないのはどれか。
@吸入ステロイド薬の使用方法
A呼吸リハビリテーション
Bピークフローモニターの使用方法
C夫の分煙


21:検査の結果、アレルゲンはハウスダストであることが判明した。
指導で有効なのはどれか。
a.本棚にはたきをかける
b.布団を丸洗いする
c.猫を定期的に洗う
d.加湿器を使用する
@ab Aad Bbc Ccd



次の文を読み問題22,23,24に答えよ。

51歳の男性。喫煙歴は20年、現在20本/日。1か月前から固形物の嚥下障害が出現したため来院した。
上部消化管透視および内視鏡検査によって胸部中部食道癌と診断され、
胸部食道全摘・胸壁前食道胃吻合術およびリンパ節郭清術による根治手術が行われた。



22:手術創の位置はどれか。
(省略)


23:ネブライザー吸入をしていたが、創痛を訴えて呼吸は浅く、痰の喀出は困難であった。動脈血酸素分圧(PaO2)は80mmHg。
吸引または気管支鏡による痰の排出の前に最初に行う援助はどれか。
@腹式呼吸を数回促す
A鎮痛薬を投与する
B胸部の術創を上にした側臥位にする
Cバイブレーターで胸部を振動させる


24:術後2日、嗄声がみられたため内視鏡検査をしたところ、左声帯に麻痺を認めた。
しかし、術後の経過は良好なため、術後8日、食事を開始した。食事指導で正しいのはどれか。
a.あごを引いて飲みこむ
b.食物を飲みこんだ後に、前胸部を下方へ圧排する
c.スプーン食物を舌の奥に置く
d.寒天で固めた食物にする
@ab Aad Bbc Ccd



次の文を読み問題25,26,27に答えよ。

75歳の女性。5年前に夫を亡くし、51歳の長男と2人で暮らしている。
健康診査で高血圧を指摘され、1年前から降圧薬を服用している。血圧は130〜140/80〜90mmHgを推移している。
外来看護婦に「夜寝れなくて、昼間ボーっとしている」と訴えるようになった。生活の様子を聞くと「普段は夜9時には寝ていたが、
最近は息子の帰りを待って12時ころ寝ることが多い。なかなか寝つけず、ようやく寝ても2,3回目を覚まし、1度はトイレに行く。
朝5時ころに起きてしまう」と言う。



25:最も対応を要する状態はどれか。
@生活リズムの乱れ
A孤独感
B夜間頻尿への不安
C血圧上昇への不安


26:本人への指導で適切なのはどれか。
@「寝る前に飲むお茶の量を控えましょう」
A「親しい人に自分のことを話してみましょう」
B「息子の帰りを待たずに普段寝る時間に寝ましょう」
C「昼寝ができれば夜寝なくても大丈夫です」


27:1か月後の外来受診時、血圧は165/95mmHgであった。「相変わらず息子の帰りは遅く、疲れがひどくなってきた」と言う。
対応で優先度が低いのはどれか。
@睡眠薬を使用して眠る方法を提案する
A地元の高齢者福祉センターに通うことを提案する
B外来に息子と一緒に来るよう伝える
C降圧薬の調整を医師に相談する



次の文を読み問題28,29,30に答えよ。

80歳の男性。喫煙歴50年で、若いときは1日20本だったが70歳を過ぎてからは1日10本吸っている。
最近、労作時に息切れが出現していた。2,3日前から風邪気味となり、咳や痰が出ていた。
徐々に息切れが強くなり入院した。体温37.8℃、脈拍数120/分、呼吸数32/分、血圧168/80mmHg。
喘鳴が聴取され、口唇と手先とにチアノーゼがある。意識は清明。胸部エックス線撮影では、過膨張所見がみられる。



28:入院時の呼吸方法の指導で正しいのはどれか。
@胸式で浅い呼吸をするよう指導する
A紙袋を口に当て、深呼吸するよう指導する
B口をすぼめ、息を吐き出すよう指導する
C口を大きく開け、早く呼吸するよう指導する


29:3日後、解熱したが「体を動かすと、息が苦しくなるかもしれない」と言い、ベッド上で臥床していることが多い。
対応で適切なのはどれか。
@「もう病気は治ったので、どんどん動きましょう」
A「この病気は動くと苦しくなるので、安静にしていましょう」
B「動きたくなったら声をかけてください」
C「車椅子に乗って散歩に行きましょう」


30:退院が近付き、看護婦に「主治医から再度禁煙の指導を受けたし、自分でもやめられるものならやめたいと思っているけど、
自分には禁煙できない気がする」と訴えてきた。対応で適切なのはどれか。
a.「慌てずに、少しずつたばこの本数を減らしましょう」
b.「禁煙中は息苦しさが和らいでいたでしょう」
c.「禁煙できた人に秘けつを聞いてみましょう」
d.「吸わないように家族にみていてもらいましょう」
@ab Aad Bbc Ccd



次の文を読み問題31,32,33に答えよ

Aさん、67歳の女性。28歳の会社員の娘と2人暮らし。娘が7歳のときに夫は病死し、
その後、雑誌の編集に携わり娘を育て上げた。転移性の肺癌で3か月前から自宅で療養している。
Aさんは余命が短いことを知っていたが、最期まで病気に立ち向かうという意志が強く、
これまで治療方針などすべてを1人で決めてきた。
病状が進行し、1ヶ月前から胸水貯留に伴う呼吸困難のために酸素吸入を始め、塩酸モルヒネの持続皮下注入で
疼痛コントロールするようになり、本人の依頼によって訪問看護が開始された。Aさんは自分の意志表示ができなくなることを恐れ、
モルヒネの使用量を制限しており、十分な症状緩和が得られていない。1週間前から呼吸困難が強くなり、
Aさんの顔から眉間のしわが消える事がなくなってきた。



31:娘に対する訪問看護婦の働きかけで適切なのはどれか。
@「Aさんは自分の意志で決める方なので、このまま見守りましょう」
A「Aさんは弱ってきています。あなたがお母さんを支えましょう」
B「Aさんが苦しむのを見ているのは辛いと思います。入院を希望しますか」
C「あなたがよければ、モルヒネの量を増やすことを考えましょう」


32:Aさんは看護婦に次のように話した。「娘が『お母さん頑張ったからもういいよ。私は1人でやっていけるよ』って言うの。
もういいんですって・・・・・・。モルヒネの量を増やして楽してもらったら、あの子、1人で生きていかなければならないのよね。
わかっているのかしら」このときのAさんの気持ちで最も考えられるのはどれか。
@娘を1人残していくことへの複雑な心境
Aモルヒネの増量に対する不安
B母親としての尊厳を最期まで守ること
C自分が死ぬことについての覚悟


33:モルヒネが増量され、Aさんは眠っていることが多くなった。口を大きく開け、喘ぐような呼吸や喘鳴が出現し、
看護婦はAさんの死が近いと判断した。娘への支援で適切なのはどれか。
a.急変時の救急車による搬送について話し合う
b.死亡直前に起こる症状について説明する
c.処置を行う時は娘と一緒におこなう
d.臨終時に医師か看護婦が立ち会う必要性について説明する
@ab Aad Bbc Ccd



次の文を読み問題34〜36に答えよ

39週2日、体重2,800gで出生した乳児。出生時のアプガースコアは9点であった。日齢1で、中位鎖肛の診断を受け、
S字状結腸に2連銃型人工肛門が造設された。術後1週で母乳の経口摂取が可能になり、人工肛門にはパウチが装着された。
診断や今後の経過について説明があった際、両親は動揺したが、児の出生については常に喜んでいた。
母親は積極的に児に関わり、退院に向けた指導を良く理解し、人工肛門を管理する手技は十分獲得できていた。
人工肛門周囲に軽度の発赤は生じたが、炎症は悪化することなく、1か月後に退院することになった。



34:手術直後の便の性状はどれか。
@粘性黒緑色便
A黄色顆粒便
B白色水様便
Cタール便


35:退院指導で適切なのはどれか。
@つなぎ型のベビー服を用いる
Aパウチは折りたたんでおむつに入れる
B入浴時は腹部をラップでカバーする
Cうつぶせにしないよう注意する


36:児は5か月になり、離乳食が開始された。外来に児を連れてきた母親は「離乳食はまだそれほど多く食べないのですが、
最近、便が緩めなんです。母乳はこのまま続けていこうと思っているのですが、離乳食を進めていくときに、下痢気味になったら
どんな食事にしたらよいのでしょう」と質問してきた。児は7,200gになっている。指導内容で正しいのはどれか。
@「これからは母乳ではなく、粉ミルクにしましょう」
A「魚はイワシやサンマのすり身がいいでしょう」
B「大根やニンジンを軟らかく煮てあげましょう」
C「マカロニのクリーム煮などをあげましょう」



次の文を読み問題37,38,39に答えよ

2歳の男児。発熱5日で紹介されて入院した。近くの小児科医院で3日前から抗菌薬を処方され服用している。
昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂があり、入院時には体幹の発疹と手足の浮腫が認められた。
医師から両親へ川崎病(MCLS)との診断名が告げられた。



37:入院直後の看護で適切なのはどれか。
@発熱にはその都度、解熱薬を使用する
A心臓への負担を考え体動を制限する
B小枕を用いて四肢の位置を高くする
C食事は食べられるものを食べさせる


38:血液検査の結果、白血球12,600/mm3、血小板32万/mm3、CRP6.8mg/dlであり、
γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。開始5分後にナースコールで母親が「子供の顔色が悪くて震えている」
と訴えてきたので、看護婦が訪室した。対応で適切なのはどれか。
@「熱の上がり際の悪寒でしょうから様子をみてください」と伝える
A直ちに点滴静脈内注射を中止する
B母親に熱性けいれんの既往を確認する
C「担当医師を探しますので少しお待ち下さい」と伝える


39:入院翌日に心エコー検査を受けることになった。機嫌が悪く、母親に抱かれていないと激しく泣く。
母親への説明で適切なのはどれか。
@「泣かせたままでも大まかに検査できればよいですよ」
A「鎮静薬で眠ってから検査することになるでしょう」
B「1週間後の機嫌のよくなるころにしてもらいましょう」
C「今朝の心電図モニター上異常がないので中止になるでしょう」



次の文を読み問題40,41,42に答えよ

9歳の女児。学校の健康診断で尿糖を指摘され、今回の入院で1型糖尿病と診断された。
食事は1800kcal、インスリンは速攻型を朝食前、昼食前および夕食前に、中間型を就寝前に皮下注射し、
血糖測定は1日7回行っている。児は、血糖の自己測定やインスリンの自己注射が必要だと説明を受け理解しているが、
自分でする事を嫌がり涙ぐむため、看護婦や母親がやっている。



40:入院7日、インスリンの自己注射の指導時、児はペン型注射器を握り何度も大腿部に刺入しようとするが
「やっぱり恐い」と言ってできない。自己注射を促す方法で適切でないのはどれか。
@みかんを大腿に見たてて刺入する練習に誘う
A自己注射の必要性を再度説明する
B自己注射を他児と一緒にするのを勧める
C大人が自己注射しているところを見せる


41:インスリン自己注射が可能になり、血糖値も安定してきた。退院も近い日の23時30分頃、
児は「目が覚めちゃった。おなかが空いたよ」とナースステーションにやってきた。血糖を測定したところ、72mg/dlであった。
看護婦は児に対し、このような場合どのようにするのかを聞いた。児の理解が適切と判断できるのはどれか。
@「血糖値がよさそうだから食べずに寝るね」
A「お砂糖を1袋(10g)飲んでから寝るね」
B「ビスケットを3枚食べてから寝るね」
C「カップ麺を食べてから寝るね」


42:血糖値が良好にコントロールされたので、児、家族および学校の関係者とともに、
これからの学校での生活について話し合った。給食は1食平均600kcalである。適切なのはどれか。
@昼食前に行う体育には参加しない
A持参する砂糖は担任に預ける
Bインスリン注射はトイレで行う」
C給食は全量摂取する



次の文を読み問題43,44,45に答えよ

Aさん、30歳の1回経産婦。妊娠40週1日、午後8児ころ「トイレに行ったら、膣から水のようなものが出た気がする」と
産科病棟に電話があった。「お腹の張りは、1時間4,5回あるのですが、痛みはありません。
今は何かが流れ出ているような感じはありません」と話している。妊娠経過中、異常は認められていない。



43:受診を勧めるとAさんは「子どもとお風呂に入ってから病院へ行きたい」と答えた。
対応で適切なのはどれか。
@「お子さんと入浴してから来て下さい」
A「1人で入浴してから来て下さい」
B「シャワーを浴びてから来て下さい」
C「入浴もシャワーもしないで来て下さい」


44:Aさんが来院したときに、優先して収集する情報はどれか。
@膣分泌物の性状
A胎児心拍数
B陣痛の状況
C胎位・胎向


45:陣痛開始から6時間経過したころ、Aさんが眠気を訴え始めた。子宮口は6cm開大し、児頭はStation±0、
陣痛は5〜6分周期で約30秒の発作。努責感はない。胎児心拍数はbpmであり、徐脈はない。眠気への対応で適切なのはどれか。
@歩行するように勧める
A間欠時に話しかける
B間欠時に眠る事を勧める
C眠れるように訪室を避ける



次の文を読み問題46,47,48に答えよ。

21歳、大学4年生の初産婦。大学院生の夫と2人暮らし。大学から徒歩10分の場所に住んでいる。
「妊娠したので結婚したのですが、大学はやめたくないし、2人で子どもを育てていけるかとても心配です。
経済的にも心配ですが、分娩費用と当面の生活費は親が今まで通り送ってくれます。母乳で育てたいけど、
やっていけるかしら」と言っている。妊娠38週3日、午前7時に2,875gの女児を正常分娩した。
分娩所要時間6時間、出血量250mlであった。産褥経過は良好でバイタルサインも安定している。



46:産褥1日目。母児同室の予定であったが「よく眠れたのですが、とてもだるいんです。
赤ちゃんの世話はできるかしら」と訴えてきた。対応で最も適切なのはどれか。
@「昨晩は何時間くらい眠れましたか」
A「今日は看護婦が赤ちゃんのお世話をしますのでゆっくりお休み下さい」
B「もっと大変なお産をした人も頑張っていますよ」
C「赤ちゃんはかわいいですか」


47:産褥4日目。母乳分泌は良好で、1回授乳量は40〜50gである。
「3か月後に子どもを保育園に預けて復学したいのですが、こんなに母乳が出ているので、大学に通うときは
どうしたらいいのでしょうか」と言っている。最も適した方法はどれか。
@「休み時間に自宅にもどって搾乳し、冷凍保存する方法がありますよ」
A「自宅にいるときだけ直接母乳を与えていると、徐々に出なくなりますよ」
B「復学後は母乳を与えず搾って捨てていると、自然に出なくなりますよ」
C「復学後は乳房を圧迫しておくと、母乳はすぐに止まりますよ」


48:「夫は実験が忙しく、帰宅が遅いんです。退院後は子どものことは全部、私がやらなければならないと思うと憂うつです。
実家は遠い上に、両親ともに働いているので手伝いには来てくれません。保育園に預ける予定ですが、
それまで1人でやれるか不安です」と話す。対応で最も適切なのはどれか。
@育児に自信が持てるようになるまで入院する
A夫への育児指導を定期的に計画する
B福祉事務所に相談に行く事を勧める
C親子3人の生活について夫と具体的に話し合うよう勧める



次の文を読み問題49,50,51に答えよ。

28歳、二卵性双胎の初妊婦。妊娠25週0日。本日(平成13年10月15日)妊婦健康審査に来院した。
2週前の血液検査の結果、Hb11.4g/dlであった。本日の結果は、子宮底長30cm、血圧120/70mmHg、
尿蛋白(−)、尿糖(−)、浮腫(−)であり、2児ともに頭位で心音は良好であった。
「職場では立っていることが多く、3日前からおなかが張るようになりました。痛みはないのですが、かなり硬くなります。
腰も重く、立っているのがつらいですね」と話している。



49:この日までの健康審査の結果から、現時点で起こりやすいのはどれか。
@妊娠中毒症
A切迫早産
B羊水過多症
C双胎間輸血症候群


50:産前休業を取得できるのはいつからか。
@平成13年10月22日
A平成13年11月19日
B平成13年12月17日
C平成14年1月14日


51:その後、順調に経過し、妊娠37週0日、午後8時に2,570gの女児を、午後8時20分に2,330gの男児を分娩した。
いずれも頭位であった。午後、8時25分に、2児の胎盤が同時に娩出した。会陰裂傷はT度である。現在、午後8時30分である。
今後、最も起こりやすいのはどれか。
@子宮頚管の裂傷
A子宮の内反
B子宮の破裂
C子宮の収縮不全



次の文を読み問題52,53,54に答えよ。

Aさん、22歳の女性。両親と3人暮らし。短大卒業後、就職したが長続きせず、閉じこもりがちな生活になった。
半年前から家の中が不潔だと言い、消毒薬で畳やドアを拭き始めた。最近では、他者がさわった物は汚いと言い、
自分のやり方を強要するようになった。例えば、Aさんに洗濯した衣類を渡す時には、母親であっても、まず手を洗い、
衣類の端を持ってAさんが差し出した手の上に乗せると言うものであった。その手順や乗せ方が気に入らないと
「不潔になってしまった」と泣き叫び、洗濯し直すことを母親に要求した。
対応に疲れた両親は、Aさんとともに精神科外来を受診した。



52:下線部の行動の解釈で適切なのはどれか。
@清潔の保持
A不安の軽減
Bコントロール感の充足
C妄想に基づく行動


53:Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
@自分の納得のいくようにやりたい
A相手の反応を期待して行っている
B不合理だとわかっているが止められない
C自分のとっている行動を認識できない


54:Aさんは納得の上で入院したが「ベッド柵を消毒してほしい」「シーツを取り換えてほしい」
「トイレのドアノブをさわれないのでついて来てほしい」などと次々要求した。病棟まで一緒に来た母親は
どうしたらよいかとオロオロし、看護婦の方を見た。対応で適切なのはどれか。
@当面、母親に付き添ってもらうことを頼む
AAさんは納得して入院しているので母親にはすぐ帰ってもらう
B病院が不潔でいられないなら、治療は困難と伝える
Cすぐには要求に応じず、Aさんの反応を待つ



次の文を読み問題55,56,57に答えよ。

62歳の男性。会社員の妻と2人暮らし。40年間会社に勤め、60歳で定年を迎えた。
それまでは毎日、日本酒3合の晩酌をしていた。定年後は妻が仕事に出た後、暇にまかせて朝から飲酒し、
1日中、飲み続ける生活をしていた。1週間前から食事も摂取できなくなり、
極度にやせて歩行もおぼつかない状態で妻に伴われて受診し、入院した。入院直後てんかんを起こした。



55:入院時に最も留意すべき項目はどれか。
@飲酒量
A意識レベル
B手指振戦
C睡眠障害


56:入院2日から発汗、動悸および手指の振戦が激しくなり、不眠となって入院3日目に入った。
最も考慮すべき状態はどれか。
@てんかんの再発作
A嫉妬妄想の出現
Bせん妄への移行
C痴呆状態の出現


57:入院3週が経過し、断酒指導が開始された。男性は「体がだるい」「眠れない」「集中できない」と再三訴え、
薬を処方してもらえるように看護婦から医師に頼んでほしいと言った。
そして「看護婦の態度や言い方が妻と良く似ていてイライラしてくる」と批判した。
この時期の看護婦の対応で最も適切なのはどれか。
@男性の訴えの内容と酒害とを結びつけて説明した
A批判を聞き入れ、看護婦の態度や言い方に注意することを伝えた
B男性の言動は飲酒への欲求が高まってきた徴候と受けとめた
C早期の離脱症状の再燃と考えた



次の文を読み問題58,59,60に答えよ。

Aさん、18歳の女子大生。大学入学と同時にアパートで1人暮しを始めた。
なかなか友人ができず、焦りと不安を感じ、6月下旬からは食欲が無くなった。不眠のため朝は起きられず、
学校を休み始めた。「みんなが私のうわさをしている」「テレビで私の考えが勝手に流されている」と
家族に電話で訴えたため、心配になった母親がアパートを訪ねた。
Aさんの様子の変化に驚いた母親は、Aさんを説得して精神科を受診させ、入院となった。
入院後は幻聴があるらしく、ぶつぶつ言いながら廊下を歩いたり、硬い表情でベッドに座っていることが多い。
同室者の患者との交流はない。食事、洗面および入浴は看護婦に促されて行っている。
看護婦に「私は病気ではない。早く家に返して」と訴えるが、処方された抗精神病薬は服用している。



58:入院5日後、同様の状態が続いている。
最も優先すべき観察項目はどれか。
@排泄
A活動と休息のバランス
B人とのつきあい
C自傷他害の恐れ


59:精神症状をアセスメントするためのアプローチで適切なのはどれか。
@Aさんの横に座り、黙って様子をみる
A心理テストの結果を活用する
B「聞こえてくる内容を詳しく教えてください」と声をかける
C「困っていることを話してみませんか」と声をかける


60:今後の看護婦の働きかけで最も適切なのはどれか
@レクリエーション療法への参加を促す
A生活援助場面を活用して頻繁に接する
B根気よく入院治療の必要性を話す
C孤立しないように同室の患者に協力を依頼する


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