ACT4 MIDNIGHT KLAXON BABY
〜月の無慈悲な夜の女王〜

                                                        4.ダークヒーロー

新たなダークヒーローは誕生するのか。そして”悪魔憑き”たちの戦いの日々は終わらない。


■戦闘佳境

GM:「素晴らしい!やはり”悪魔憑き”は最高だ。アニエス、君の力を、『レッドアイ』の効果をもっとみせてくれっ!」と大友製薬の役員。彼は陶酔したように、この殺戮劇を奏でる指揮者の如くに、指揮棒をふるような仕草をとっている。
京馬:ちょい役ぽかったが、キャラが立ち始めたぞ。

GM:ターン開始タイミングですね。アニエスは2dで現在の『衝動』以上の目を出せば<マイト>に戻れますよ。つまり6以上ですね。
アニエス:早く覚醒しないとマズイわね。(ダイスを振って)9で成功!私はめでたく目覚めますよね?ごめんね、大友製薬の役員さん。
GM:「どうしたアニエス。奴を殺せ」とブラジオン・サンクション。
京馬:…。様子を見ている。
アニエス:『レッドアイ』の効果が薄れて、本来の意識が戻ります。そして、目の前の3mを超える巨人が私に話かけている。あれ?マネージャーの声?やっぱり、マネージャーが私を操っていたのね!ということで、真の敵はコイツだと気がつきます。

…いいえ、死ぬのはあなたよ!

GM:「く…。残念だよアニエス。しかしこれが<ヴィシャス>の力だ!まとめて始末してやる」。
京馬:様子の変わったアニエスを見て、高貴な造形の龍の顔がニヤリと笑う。
GM:ではターン開始タイミングの行動はありますか?ブラジオン・サンクションはありません。
京馬:私もない。
アニエス:う〜ん、京馬の攻撃を援護したいけど、そういえば京馬というかドラグーンが仲間だという認識はないわね。今回はターン開始の行動はしません。
GM:そのままアニエスの行動順ですよ。どうぞ。
アニエス:通常行動で『衝動』1点蓄積して≪電磁外殻(プラズマソーサー)≫。肩の外殻に電磁気を貯めます。そして攻撃は≪電盾射撃(シールドシューティング)≫。肩の外殻が外れて激しく回転しながらブラジオンに射撃攻撃します。電磁気を帯びているので当たれば+1dで3dのダメージです。(ダイスを振って)18か、ちょっと心配ね。『衝動』1点蓄積して振り直します。(ダイスを振って)今度は28!これは避けられないでしょ?
GM:それはキツい。(ダイスを振って)16っていうか、致命的失敗ーっ(涙)?!
アニエス:(ダイスを振って)ダメージは15。これも『衝動』1点蓄積して振り直して(ダイスを振って)特殊攻撃ダメージの21です。
GM:ちょっ…まって…。防御点がつかえない。21ダメージそのままいただきました。「この裏切り者め!超本気だっ」。ブラジオンは通常行動で≪威力強化(パワーセイブ)≫肉弾攻撃のダメージに+2d。攻撃行動で≪範囲肉弾攻撃(ブランディッシュストライク)≫で半径5m以内の敵全てに肉弾攻撃、アニエスと京馬を捕える!
京馬:くるぞっ!
GM:(ダイスを振って)出たーっ!効果的成功っ!≪生体兵器(バイオウェポン)≫があるから、な、なんとダメージ6dで修正加えてMAX51だーっ!
京馬:まずい。「暴走」か。
アニエス:待って、GM。先ほどの振り直しで、私、衝動3段階に突入してました。最終能力≪復讐の剣(ソードオブメネシス)≫使います。
GM:うっそー!!また使えるのー?!
京馬:振り直しをしていてよかったというところか。まさにギリギリだな。

肩の外殻が鏡のように黄金の輝きを放つ!ブラジオン・サンクションの渾身の一撃のエネルギーを反射した!

GM:ブラジオン・サンクションは反射したエネルギーに貫かれて倒れました。しかし京馬には攻撃が行きます。
京馬:仕方ない。(ダイスを振って)致命的失敗ではなかったが、エナジーはマイナスになった。「気絶」だな。
GM:戦闘終了です。お疲れ様でした。

アニエス:終わった…。身体の力が抜けて変身が解けます。目の前には巨人と巨大な龍が横たわっている訳ですね。じゃあこの2体から≪魔種吸引(キャプチャー)≫します。
京馬:こら。
アニエス:うそです(笑)。ではブラジオン・サンクションに歩み寄り≪魔種吸引(キャプチャー)≫。マネージャー、悪夢はもうお終いにしましょう。
GM:経験点50点の魔結晶と特殊能力≪生体兵器(バイオウェポン)≫の魔結晶を2つ手に入れました。
アニエス:そして、傷ついたドラグーンに近づき再び≪魔種吸引(キャプチャー)≫しようと手を伸ばして、はっと気がつきます。この人、さっき私を助けてくれた…?
京馬:…。


■マイト誕生

GM:では場面を変えましょう。京馬はベッドの上で目を覚ます。その傍らにはアニエスが座っている。
京馬:てゆーか。ホテルを散々破壊しておいて、こんなにまったりムードでいいのか。
GM:まあまあ。
アニエス:おはよ。でもまだ夜ですけど。ところであなたは何者なの?
京馬:ふ…。君崎美佐くん。君に助けてもらったというわけだな。礼を言う。私は君と同じ”悪魔憑き”だ。その力を正しく使う<マイト>だ。
アニエス:あはは、私、今まで大変な過ちを犯していたみたいね。<ヴィシャス>でたくさん人を殺したし。これからどうしたらいいの…。闇夜に浮かぶ東京タワーを見てつぶやきます。

美しい少女の瞳から一筋の涙がこぼれる…。

京馬:それでもいいんじゃないか。その過去を背負ってこれからは<マイト>として生きていけばいい。
アニエス:え?
京馬:…。
アニエス:そうね。私はできれば普通の女の子でいたかったけど、それは無理みたいね。ちょうど今失業したし、正義の味方もいいかもね。
京馬:ふ…。端正な顔にうっすらと笑みを浮かべて、中指で眼鏡をくいっと上げる。では、行こう。

京馬の身体は再び巨大なドラゴンへと変貌する。その背中にアニエスは乗る。そしてドラゴンはホテルの窓から東京の摩天楼へと羽ばたいた。

GM:ちなみにドラグーンだからって全てに飛行能力はないよ。
アニエス:ちょっとーっ!
京馬:演出だ。
GM:兄弟そろって同じオチつかうなーっ!

裏コメント:ACT1リプレイのラスト付近を参照願います。

アニエス:そういえば、あの大友製薬の役員はどうなったの?
GM:彼はもうこの部屋にはいない。
京馬:悪の芽は絶えないということか。
アニエス:これが次回への伏線ということね。
GM:ホントは忘れてただけなんだけどね。
京馬&アニエス:おい。


■終章

桃ノ花学園。昼休み。
教室で女子高生が集まっておしゃべりをしている。
「アニエスさあ。モデルやめたんだってね」
「事務所がつぶれたんでしょ?繭、あんたのブレイク予想外れたね」
「ぶー。残念でした。今はこっちでブレイクしてますよ」
と言って取り出したのはダンス系の雑誌。そこには君崎美佐の名前で活躍する女性ダンサーの記事が載っている。

GM:アニエスはこれからどうするの?
アニエス:そうね。今はアニエスの名前でブログを運営していて、”悪魔事件”に関する情報を収集してます。そこには毎日、身近に起こった不思議な出来事のコメントが寄せられています。なになに、街を獣が走った?代々木公園で謎の落雷発生?!
GM:なるほどね。<ヴィシャス>ハンターなわけだ。
アニエス:まあ、そんなところね♪

裏コメント:アニエスのブログの内容はACT1の最終戦闘の模様です。

GM:次は京馬です。見事な庭園が見える座敷で紅虎組組長、伴宙次と対座している。「今回は御苦労だった」と宙次。
京馬:朱雀組の暴挙により、いたずらに妖蛾会との溝が深まってしまいました。
GM:「朱雀組単独の謀とは思えんな。背後にどのような組織が蠢いているのか…」。

京馬の携帯電話に着信がある。鏡弁護士からだ。

京馬:失礼します、と言って電話にでる。私だ。
GM:「京馬様。大馬様が覚醒されました。恐るべき力を秘めたヴォージェです」。
京馬:そうか。それで大馬はどう言っていた?組にもどるのか。
GM:「いえ…。『この力は好きに使う』と言って今まで通りの生活を続けるようです」。
京馬:ふ…。大馬らしいな。それもいいだろう。
GM:「なあに、俺がそばで見ててやるさ」と低音のしわがれ声が背後から聞こえる。「しばらく様子を観察してまた報告します」。

裏コメント:しわがれ声の主はシリーズの主人公ビスマルクです。

京馬:よろしく頼む。電話を切る。
GM:「…大馬はやはり組には戻らんのか」と宙次。
京馬:はい、そのようです。
GM:「しかし、しかるべき時には大馬の力も必要になる。その時は…」。

カン、カン、カン。

アニエス:某ビルの非常階段をハイヒールで駆け上がる。私の中のヴァンブレイスの能力、≪悪魔分析(デモンスキャニング)≫が”悪魔憑き”の存在が近いことを報せる。屋上だ。

カン、カン、カン。

アニエス:私は<ヴィシャス>ハンター。過去がどうであっても未来は変えることができる。今日も<マイト>として<ヴィシャス>を狩る!鉄の扉を開け放って屋上に転がり込む。岩を削ったような外骨格の<ヴィシャス>が咆哮を上げる。私はそのまま”悪魔化(デモニックフォーム)”する。


■転章

街は喧騒に溢れている。パトカーや消防車のサイレンの音がけたたましく響いている。
「おいおい。ヤクザのビルに車が突っ込んだってよっ」
「まじかよ。また朱雀組か。どうせヤクザ同士の抗争だろ」
「ばっかやろう!ビルの4階だぜ。4階に外車が突っ込んでいるんだよっ」
「うっそだろ!ありえねーって」

激しい喧噪に背を向けて一人の男が歩いている。プロレスラーのような巨体にトレンチコートを肩に羽織っている。
全身から発する獰猛な気配に、すれ違う人々は自然と道を譲る。
その道を遮るようにすらっとした優男が立っている。

「派手にやってくれましたね。伴丈馬さん」
「ふんっ。花形…。俺流の落し前だ。受け取ってくれや」
獰猛な笑み。
「自分のビル壊されといて。さて…、どうしましょうかね。先日は京馬さんにもやられたようですしね」
「知らねえな…。やるかい?いいぜ、ここでも」
「ふふふ…」
花形の異様に爽やかである分、怖い笑み。

丈馬と花形の身体がざわざわと揺らめき始める。周囲の空間がぐにゃりとゆがんだ。

デモンパラサイトACT4 MIDNIGHT KLAXON BABY〜月の無慈悲な夜の女王〜 END


■セッションを終えて

niga:久しぶりの1ON1セッションで、88ちゃんとオレがやりたかった演出をふんだんに盛り込んだね。もっとやりたいことはあるけどね。お気に入りは地下鉄の場面かな。念願の伴一族も登場させたし。
88:いつもそうだけど俺たちのやるシナリオって、「場面」から入るよね。例えば「地下鉄で銃の乱射いいね」みたいな場面を演じたいとか。俺もあの場面好きだよ。
niga:88ちゃんの進行で京馬とアニエスが戦うことになったのには驚いた。でも盛り上がったからよかったね。

88:まずこのセッションの根底にあったのは「サイバーパンク」だったよね。FEARの「トーキョーN◎VA」でキャラ作って、結局やらなくて。で、いつものように、「これってデモンパでできないかな?」て感じで始まった。
niga:俺もデモンパラサイトって近未来のイメージがあってサイバーパンク的なものができないか?とずっと思っていたんだよね。最近のサプリメントもずい分近未来的傾向が強くなってるしね。
88:サイボーグやミュータントとかね。

niga:今回はシリーズの外伝で、大馬の兄の京馬が主人公を務めたりしている。実はこのセッションは元になった「幻のACT4」が存在するんだよね。実際にセッションもしたし。サイバーパンク色を濃く打ち出したんだよね。リプレイとして発表せずお蔵入りになっているけど。
88:アニエスは元々、インターネット上を縦横無尽に徘徊する電子トカゲのイメージで、事件に関する情報とかを京馬に提供する役割だったのがいつの間にかヒロインに抜擢されて全然違った今回のストーリーになった。
niga:あれはあれで面白かったけどね。プロットは別ゲームに持ち越して日の目を見ました(笑)。アニエスは”悪魔憑き”に覚醒していない設定で、ヒーロー誕生譚というありがちなストーリーにする予定だったんだけど、普通のヒーロー誕生譚はACT1でやっていたからね。デモンパラサイトのオフィシャルサイトのFAQか何かに「<ヴィシャス>が<マイト>になることもある」という一文から今回のストーリーを膨らませた感じだね。一風かわったヒーロー(ヒロインだけど)誕生譚になるんじゃないかとね。

88:俺が今回意識したのは「現実と仮想」、「現実と夢」の境界だね。アニエスのオープニングのホテルでの惨殺シーンとか。現実の出来事か夢なのか曖昧な世界を表現したかった。アニエスが載ってる雑誌を繭が見てるシーンでも、「芸能界=夢」の存在のアニエスが、最も庶民的なマックで食事してて、意外と「現実」に近い存在だったりとかね。
niga:ほう。そこまで考えていたか。何気にサイバーパンクの影響が残っていたのね。
88:地下鉄のシーンでも、「パソコンの画面を通して写る情景=仮想」が実は自分自身に起きている出来事だったりとか。ニュース報道は現実の出来事だけど、実際に自分が体験しないとイマイチ「リアル」に感じられないよね。そんな状況を表現したかったんだよね。
niga:あと、今回は若干アダルト指向を目指したよね。R18くらいの内容にしたかったけど、できあがったストーリーは。PG12くらいだったね(笑)?

88:ゲーム的にはヴァンブレイス凄く強くて楽しかったよ。特に最終能力は反則でしょ?どんな状況でもひっくり返せる程の効果があるね。
niga:あれはそうだね〜。ドラグーンはまだ力を最大限にまで発揮できなかったけど。潜在能力は高いよ。いつもより高いレベルの戦闘も楽しめたよ。

88:まだ大馬&ビスマルクほどキャラは立ってないけど、愛して行きたいキャラたちになったね。また続きやろうよ。
niga:そうだね。また機会があればアニエス&京馬に会いたいね。脇役で登場させるのも面白そうだ。



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