ACT1 BARK AT THE MOON
〜月夜と犬と銀豹と〜

                                                       1.二人の悪魔憑き

二人の”悪魔憑き(ディアボロス)”の物語が始まります。


88:ルールブック購入後しばらく放置していたゲームが多いので、少しずつプレイしていきましょう!今回はデモンパラサイトを始めます!このゲームはPCは”悪魔憑き(ディアボロス)”という変身ダークヒーローになって戦うゲームです。
niga:よし、実験的に始めてみますか。GMも流動的に。基本的には88ちゃんがGMだけど、88ちゃんのPCの場面では俺が一時的にGMやるよ。
88:1ON1プレイの新しい試みだね。

裏コメント:普通の1ON1プレイはマスター1人対プレイヤー1人、そしてPCの仲間はNPCという形式。さすがにこの形式は回数を重ねると物足りなくなってきました。2人ともPC気分が味わいたくなったので、場面毎に流動的にどちらかがマスターをして、もう一人はPCをする形式をとりました。”デュアルマスターシステム”とでも申しましょうか。場面毎にマスターが変わり、勝手に演出をするのでストーリーがどう展開するかわかりません(まあ、ある程度のプロットはメインGMの88ちゃんが決めていたようですが)。その辺りのTRPGの要素は残しつつ。


■キャラクター作成

88:PCだけど、デモンパラサイトの売りの一つである動物キャラをやってみたいね。大型犬のアフガンハウンドにした。共生生物はカラドボルグ。どうやら最強の存在になることを目指しているらしい。
niga:へえ〜、いいな。ということは、俺は人間にしないとな。一応、主人公だしね。
88:現代が舞台のTRPG業界では学園モノが主流らしいぞ。で、主人公は女子高生♪
niga:うい。

裏コメント:本当か?

88:デモンパラサイトのオフィシャルリプレイもそうだったしね〜。
niga:よし決まった!共生生物はヴォージェだ。銀の体毛の豹の獣人だぞ。
88:おー!かっこいいじゃん。
niga:で、PCはメタボリック症候群のくたびれた中年&禿げ&加齢臭オヤジ。
88:…。
niga:…(笑)。
88:おいーっ!そんなんで成立すんのか?!誰もそんなオッサンの物語に興味ねえよ。
niga:そんな駄目オヤジが、”悪魔憑き(ディアボロス)”になることで惚れ惚れするようなタフガイに再生する、という感動のストーリーだ。
88:大丈夫なの?
niga:まあ、見ててよ。

88:ダイスを振った結果、俺の犬PCの飼い主は弁護士だ。
niga:俺のPCの生まれは暴力団幹部だって。ヤクザの家系の三男で堅気になっているという設定にしようかな。
88:いいね。そして俺の飼い主はそのヤクザの専属弁護士ということにしよう。
niga:おお!つながったね。

裏コメント:何となくPCの設定もできあがっていきました。


■伴大馬

GM(88 or niga):年に一度の会社の健康診断の日。最後の問診で若い女医は伴大馬(ばん だいま)に言う。「伴さん。この一年でずい分節制なさったんですね〜。体重も標準ですし、見た感じメタボリック症候群の心配もありませんね」。
大馬(niga):はあ、そうですか。
GM:「何か運動でも始められたんですか?」女医は大馬の社員証の写真と、目の前の実物の大馬を不思議そうに見比べている。
大馬:い、いえ。特に何も。

確かに私はこの一年で変わった。女医が社員証の私の写真を不思議そうに見るのも当然だ。そこにある写真は海外出張前(今から3年前)に撮ったものだ。そこに写る私はどうみてもくたびれた中年オヤジだ。頭も少し禿げ上がっているし、ダサい眼鏡もかけている。しかし今の私は違う。変身…、そう言ってもいいかもしれない。

GM:「伴さん。今日はお仕事何時頃に終わりますか?あの…、お食事でも」と女医は少し大馬にすり寄って言う。
大馬:い、いや。わ、私は。あの…、失礼します。慌てて職場に戻る。

GM:職場に戻っても身体の引き締まった大馬を見て、「ねぇ、最近、伴係長ってよくない?なんか感じ変わったわよね?」とOLが噂する。「でも、あれってヘアーコンタクトじゃないの?あの身体も、変な薬とかやってたりして?」と別のOL。すっかり噂の的な訳だ。
大馬:うつむいて真っ赤な顔で自分のデスクに向かう。

GM:「係ちょー、ジム行ってるんすか?どこ行けばそんな身体になるんすか?」と若い男性社員からも声をかけられてたりする。
大馬:と、特に何もしておらんよ…。パソコンに向かって一心不乱に仕事をする。
88:まだ引込思案の中年サラリーマンって感じだが、大馬に変化が徐々に現れてきているわけね。

私、伴大馬。38歳。一年程前から、私の身体はなぜか若さを取り戻し始めた。今は心身共に全盛期の20歳前後の自分になったかのようだ、いや、それ以上かもしれない。以前は私の顔を見れば「臭い!加齢臭オヤジ!」と言って嫌がっていた16歳の娘も、今は休日には腕を組んで出かけるようになった。毎日つまらなそうにしていた妻も、今は私と家に居る時でも化粧などして、結婚前の付き合い始めた頃のような瞳で私を見る。会社のみんなの私を見る目も明らかに変わってきている。


■ビスマルク

GM:「ちょっと、ビスマルク!待ちなさい!!」大声で叫ぶ女性が大型犬アフガンハウンドに引っ張られる形で代々木公園内を走っている。
ビスマルク(88):こいつは俺のペットシッターで小柄だが根性のある奴だ。随分前から俺の飼い主に雇われていて、ハードな俺の散歩に毎日どこまでも付き合ってくれるいい奴だ。公園内の数箇所で土木工事が行われていて俺はその全てを回る様なコースどりで公園内を疾走する。
GM:「はあ、はあ、ちょっと…ビスマルク。きゅ、休憩にしようよ」息を切らせて女が言う。
ビスマルク:女の目を見てコクリと頷く。
GM:女はその場にへたり込み、持ってきていたペットボトルをグビグビ飲んで喉を潤す。

さてここからが俺の仕事の時間だ。俺は女から離れるように遠ざかり、人目のつかない木陰に回る。首に下げてあるPHSは俺の居場所を飼い主が確認するためのものだが、俺は本来の通信機器としての機能を十分に活用させて頂いている。電話帳機能より飼い主の名を選び、通話ボタンを押す。呼び出し音が数回コールされた後反応がある。

GM:「ビスマルクか。現場の様子はどうだ?」とPHSの相手の声。
ビスマルク:今のところ何の異常もないぜ。そう、しわがれた人間の声で!
大馬:おお、しゃべったー。
GM:「そうか、ご苦労だったな」と通話が切られる。
ビスマルク:尻を地面につけ胡坐をかくような格好で終話ボタンを押しため息をつく。ちっ、相変わらず肉球じゃボタンが押しずらいぜ。あ〜、煙草がすいて〜。
大馬:そんな犬か(笑)。

ビスマルク:登場シーンはこんな感じ。笑いはなかったな。
大馬:全体的になんとなく笑える感じではあるが。


■紅虎組

GM:「ご主人様がお呼びよ。これから伴さんのお屋敷に寄るわね」戻ってきたビスマルクに女は言う。
ビスマルク:鏡め。早速、俺を呼び出しやがって、人使い、いや、犬使いの荒い奴だぜ。

鏡正和(かがみ まさかず)は俺の飼い主だ。鏡はまだ30代前半という若さだが、黒いものでも白にする敏腕弁護士で、始末の悪いことに関東圏で勢力を伸ばしている暴力団「桜神会(おうしんかい)」の専属弁護士をやっている。俺たちは渋谷区松檮にある、桜神会系の紅虎(べにとら)組組長の伴宙次(ばん ちゅうじ)の屋敷に向かっているのだ。

GM:伴組長の屋敷の一室。「よう、ビスマルク。今夜、若の様子を見にいくぞ。そろそろ時期らしい」と鏡。ビスマルクと鏡は伴組長の三男が勤める人材派遣会社”オレンジ”のある六本木へ行くことになった。ビスマルクと鏡と2人だけの会話だ。
ビスマルク:心置きなくくつろげるな。ふう、この一服がたまらないな〜。革張りの黒いソファーに腰掛けて紫煙を吐き出すアフガンハウンド。
大馬:なんちゅー犬だっ!
ビスマルク:あいつの退社時刻は18時。あんたと俺でヒルズを夕暮れ時の散歩か。まあ悪くないな。


■左門

GM:「ちょっと伴君。先週、造園作業で派遣に出した左門君、君んとこが担当だろ?彼、一昨日から無断欠勤してるって先方から苦情の連絡がきてるぞ」と課長。大馬が勤務している会社は土木作業系の肉体労働者を派遣している。「庶務の百合子ちゃんが電話連絡してくれたみたいだけど、通じないんだよ。今日の帰りに様子見に行ってくれないか?」と課長。なにげにアットホームな会社だったりする。
大馬:はい、課長。では帰りに寄ってみます。左門の電話番号や住所をパソコンで調べとく。
GM:左門の住所はすぐに分かる。渋谷区千駄ヶ谷の「あけぼの荘」というアパートの1階だ。千駄ヶ谷は地理的に言うと、代々木公園と新宿御苑に挟まれている場所だ。電話番号も分かった。自宅電話の欄は空白で、携帯電話番号欄に記された番号が分かる。

大馬:グループミーティングを17時半きっかりに終わらせて。自分のデスクで本日の仕事のやり残しがないかチェック。そして明日の仕事の準備をしているうちに定時の18時になった。
GM:真面目なサラリーマンだなー。
大馬:休んでいる人間に仕事関連の資料を渡すのは余計に気が滅入る可能性があるな。左門君には今月の社内報だけ渡してあげよう。では、お先に失礼します、と言って退社しよう。
ビスマルク:堅実に仕事をこなしてるね〜。


■追跡

GM:ビスマルクは鏡と一緒に大馬の会社が見えるオープンカフェで時間を潰している。鏡はパソコンでなにやら仕事をしている。
ビスマルク:俺は寝ている。

GM:では、大馬が退社したという事で、寝ているビルマルクは【感覚】か【幸運】で大馬に気がついたどうか行為判定してください。ビスマルクは寝ているから難易度は12でお願いします。
ビスマスク:しまった!迂闊な事を言ってしまったか。寝ながら焦る俺。まあいい。ところでGMよ。俺の【感覚】は3、【幸運】に至っては1しかないが、技能の「直感」で判定しても良いか?
GM:いいですよ。「何かを感じて起きた」という感じかな。

ビスマルク:よし。「直感」は初級ある。それでも2dで7以上か。結構厳しいかもな(ダイスを振る)達成値は10だ。熟睡している俺。
GM:おい!寝てるなよ!ここで気付いてくれないと先に進まないだろうがっ!『衝動』1点蓄積して振りなおす事が出来るぞ!
ビスマルク:そこまで言うなら振りなおしてやろう(ダイスを振って)達成値は13、成功だ。安心したかGMよ。
GM:世話のかかる奴だ。
ビスマルク:鏡よ。どうやら出てきたようだぞ。ん?昔と少し雰囲気が違うような気もするが…。動物の感で気付く俺。寝ている格好から片耳だけむくっと起き上がって気付いたイメージ。しかし振りなおしルールは面白いね、効果は大きいし。
大馬:振りなおしは楽しそうだな♪

裏コメント:デモンパラサイトのルールの大きな特色が、この『衝動』を蓄積させてのダイスの振りなおしです。振りなおす度にダイスの数が増えるので達成値の期待値は高くなります。しかし、1の目が2つ以上出ると致命的失敗になります。また、『衝動』が溜まりすぎると思いもしない副作用が発生することもあります。その辺りの駆け引きがゲームを面白くしています。

GM:ところで大馬は千駄ヶ谷までどうやって移動するの?
大馬:私は電車で千駄ヶ谷へ向かうよ。
GM:電車で移動するなら六本木から大江戸線で代々木、JRに乗り換えて千駄ヶ谷というルートだね。

ビスマルク:実は俺は犬なので電車には乗れん。あえなく追跡失敗!というか、大型犬は建物に入れないぞ。ハンデ大きくないか!?某オフィシャルリプレイの子猫のようにどこでも潜入できるといいのだが…。
GM:犬を選択したあんたが悪い。鏡弁護士は発信機とか持ってないのか?某オフィシャルリプレイのように2万円消費して持っていた事にするか?
ビスマルク:犬は所持金ないぞ。食費に費やしてエナジー回復もできんな。実に困った。ちょっと考え中。しかし、犬のハンデはマジででかくない?
大馬:嬉々として自分で犬キャラ選んだんじゃないか(笑)。
GM:悲しいことだが、現代は”人間社会”なのだ。

ビスマルク:俺は大馬が東京メトロの入口に入っていくところまで追跡し、これ以上追えない事に気付く。ちっ、どこへ行くつもりだ?
GM:大馬は普段バス通勤という事にしよう。電車に乗るという事は帰宅する訳ではないと分かる。

ビスマルク:俺は鏡の上着の裾を引っ張り、傍にあった公衆電話へ連れていく。おい、やつの携帯電話にかけてくれ。本人から行き先を聞き出すぞ。
GM:どうするんだ?
ビスマルク:「もしもし、あなた?今日は何時に帰ってこれるのかしら?真っ直ぐ帰ってこられるの?」と大馬の妻の声で話す俺。カラドボルグの能力≪音声変化(コピーボイス)≫だ。ビスマルクは大馬の家族の事は知っているという設定です。
GM:設定を後付けすんな!

大馬:ああ、おまえか。何で公衆電話からかけてるんだ?携帯電話忘れたのか?まあいい。今日はこれから千駄ヶ谷のうちの派遣社員の家に家庭訪問してから帰るから、少し遅くなるよ。
ビスマルク:お疲れ様。お風呂暖めて待ってるわね♪と言って電話を切る俺。やつの行き先が分かったぞ。俺は鏡と一緒に車で千駄ヶ谷まで先周りする。



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