第87回  現代女性の二極化現象

読売新聞の<人生案内>の相談に、
30代の男性から「異性に好感が持てなくなった」という悩みが寄せられていた。

その相談内容。
「2年前頃から恋愛感情ではないが、男性が気になるようになった。
男性と話したり、そばにいるだけで嬉しい感情が湧く。
30歳ころから女性が苦手になり、異性として好感が持てなくなったので、
職場でも人間関係に悪影響が出てしまい、今後どうしたら良いか」

これを読んだとき、現代における男女の関係が、
世相に反映しているのではと思った。

同性愛者は幼いころからしてすでになにかしらそのような傾向が見られるというが、
悩みを寄せた男性は、昔は他の男性と職場の女性を奪い合ったというから、
男性としての意識も意欲も充分だったはず。それが30歳になって急に変った。

なぜ?

女性に対して幻滅したからではないかと、ネット姫なりに分析した。

混み合った電車の中でも平気でお化粧をし、
コンビニ弁当を広げて食べる恥らいのなさ。
男言葉を使い、ついでに態度や所作までも男仕様。
ブランドやグルメを異常に好み、
贅沢三昧ができる玉の腰のセレブ゙生活を渇望する現代女性の姿。

テレビドラマや小説の世界では、
女性の優しさや一途さが強調された恋愛ストーリーが展開されるが、
現実の世界に目を向ければ、まるでそれらは空想としか思えないような、
目の前の女性たちの生活態度。

女のわたしでも、相談を寄せた男性が逃げ出したくなる気持ちがわからなくもない。
わたしが男性に生まれていたとしたら、とっくに逃げ出しているだろう。

今、社会では富の格差が問題になっているが、
女性の立場にも格差が拡がっているのではないのだろうか。
男を男社会に逃げ込ませる強い女性がいる一方で、
男の暴力による弱い立場の女性の被害も拡大している。

かなり前になりますが、新聞には<監禁・虐待容疑42歳逮捕>の記事があった。
大阪府茨木市のマンションで女性が5ケ月間監禁されていたという内容である。
女性は食事も満足に与えられず、救出時には38キロにやせ細っていた。
虐待の痕跡も見られるという。
これら女性監禁事件は昔は見られなかったが、今はその数を増やしている。
これも現代の世相を反映しているのではないの。

女性を監禁して虐待をするなどは、
昔なら苦界から逃げ出した遊女に与えられたお仕置きだが、
現代では暴力団関係がらみは存在しても、
普通の市民生活を送っている人間にはありえないことだった。
しかし、現実にはこの手の犯罪が増え、弱い立場の女性が犠牲になっている。

ネットやコミック雑誌、或いはテレビ゙等の無分別な映像によって刺激された
気の弱い男が、さらに弱い立場の女性をターゲットに網を張り、
挙句の果てにはその命さえ奪っている現実。

たしかに現在の女性の立場には、
強者と弱者の二極化が現れているように思えてならない。

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