おもしろいコラム 女は商売になる


第8回  女は商売になる!

突然、夫が悲痛な声をあげた。

「もう、男はダメだ!」
「あら、どうしたの?」
「男は、もうオワリだ!」

そのとき夫とわたしは小鳥(大鳥?)のツガイのように
仲良く肩を並べてテレビに見入っていた。

「女は商売になっても、男は商売にならん。なぜだ!」

夫がはき捨てるように言った。

そのときテレビのナレーション。
「次は若いOLに好評のスポットをご紹介します」

えーとその前のナビゲーターは
「中高年のミセス御用達のレストランを・・・」

そして画面が変わった今は
「女子高生の間で人気沸騰の・・・」

うーん、世間はいつでもオンナのオンパレードか。

そうか、夫は男性の存在危機に恐怖をおぼえたのかもしれない。
たしかにテレビ番組を筆頭に
「サラリーマンに好評の、若い男性に、中高年男性に」は、
ほとんど登場しない。

その日のテレビ番組「ガイアの夜明け」のタイトルは
「団塊の世代を狙え」だったが、番組の内容を正しく表現すると
「団塊世代の主婦層を狙え」だった。

登場したのは、全編において主婦層が主役である。
この世代はローンも払い終え、子供も手を離れ、蓄えもそれ相当にあり、
退職金も年金もまだセーフで「逃げ切りの世代」といわれている。

お金と暇があれば、もう使うしかないということなの?

新規オープンの丸ビルに大挙して押し寄せるのも彼女たちである。
そこで高級食材が売り物の香港料理店で35000円のランチを食べる。
わたしの感覚では35000円のランチをオーダーできるのは
富豪クラスのお金持ちと思っていたけれど、
外見は普通のオバサンたちがそれを当たり前のように食べている。

びっくり仰天した。

わたしならお値段を聞いた段階で、
喉が締め付けられて食べられなくなるような豪華版のご馳走である。

○○バス旅行でも主役は彼女たちである。
通常は一見さんは受け付けない高級料亭ツアーに押しかけるのも彼女たち。
他の宿泊ツアーにしても女性専用旅行の感さえあるほど、
ほとんどが中高年主婦層で占められている。

リポーターが4人の主婦グループにマイクを差し出した。

「なぜ、女性ばかりで参加されるのですか?」
「だってぇ、お友達との方が楽しいものぉ。うっぷん晴らし、
 ストレス解消よぉ、アハハ・・・」

うっそだぁー!

それってテレビやなんかの「妻はストレスを抱えている」なんていう
情報番組の受け売りじゃあないの?
あなたのその感じでは家での生活態度もさぞデッカイだろうと想像できちゃうから、
ストレスの世界とは無縁に思えるけど。

定年を控えた夫は最後の力を振り絞って働き続ける一方で、
ストレス解消を言い訳にせっせと消費に励む妻たち。
そんなオクサンを持ったダンナさまの方がよほどストレス感じているかもよ。

究極は「12万円の日帰りツアー」

近々○○バスツアーに登場するそうだがその企画段階で、
4人の団塊主婦がモニター旅行に参加する様子が放映された。

ヘリコプターで箱根へ飛び、高級ホテルで昼食をとり、
彫刻の森の美術館見学をしてそこでティータイム。
ティータイム時で使用した高級食器をお土産に考えているとか。

それにしても12万円、日帰り!

モニターの主婦が言った。
「妥当なお値段だと思いますよ」

ほんと? タダで行けたからでしょ? 自分でお金を払うときもそう言える?

高級ホテルは1泊2食で45000円。
ツアーはこのホテルで昼食を取るだけであるが、
昼食の内容は通常メニューより豪華にするそうだ。

「自分で行って泊まった方が、2食で45000円ですむから得じゃないの?」
「あんなに腹いっぱい食べて、すぐティータイムでケーキかよ?」
「高価なお皿なんていらないわ」
「12万円もかけてバタバタ日帰りなんて、アホか!」

我が家では酷評のツアーでも、世の中は広い。
蓋を開けたら満員になるかも。

12万円の日帰り旅行。

その特異性に価値を感ずる人もいる。
その多くが女性であることも事実。
それらを念頭に商業主義が女性をターゲットに血道をあげている。

やっぱりオンナは商売になる・・・



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