第50回  コニー・フランシスのヒットソング

NHKの衛星放送で、なつかしのポップスのヒットソングを放送した。

中尾ミエさん、伊東ゆかりさん、岩崎宏美さんがメドレーで、
1060年代の人気歌手、コニー・フランシスのヒットソング特集を歌った。
その中に、当時はそのまま素直に耳に入った歌詞が、
今聞くと「おや」と思わせるものがあった。

邦題は「大人になりたい」
(歌詞を正確には覚えていませんが・・・)

夜遅くに帰ると ママからお目玉
いつも10時に寝るの それが決まりよ
Too many rules Too many rules 早く大人になりたい
お星様にそう祈るの・・・

「大人になりたい」の原題は「Too many rules」で、
直訳すると「あまりにも多すぎる規則」でしょうか。

つまり、当時の子供は大人からいつもたくさんの規制をかけられていた。
夜遅く帰ることも「それは大人になってから」と叱られながら育った。
だから子供はみんな、早く大人になって自由になりたいと懇望していた。

「大人になりたい」は、そんな思いがこめられた流行歌であったに違いない。

当時の子供は多くの規則に縛られながらも、
早く大人になることを夢見ながら素直に育っていた。
「鉄は熱いうちに打て」が功を奏していたのだと思う。

だが、現在はどうなのか。

子供を不自由に縛っていた規則の自由化は「子供の人権」の御旗のもとに、
躾という分野までも入り込み「野放図」という王国を造りあげてしまった。

今の子供は決して「早く大人になりたい」などと思わない。
それどころか「絶対に大人にはなりたくない」と言い切る。
なぜなら大人と同様に何でもござれの状態にあり、
さらに「責任」も問われないとなれば誰だってそう思うのが当たり前。

かつては、社会に出る事を嫌う大学生に
「モラトリアム症候群」なるものが存在したが、
今ではそんなご大層な名前をつける必要もないほど当たり前になっている。

かなり前に衝撃的なニュースを発信した「小学生の監禁事件」の被害者のなかに、
茶髪に染めた女の児童がいた。
小学生が髪を染めている状態に、
両親や先生は一体どのような対応や教育をしていたのか。
「児童が髪を染めてはいけない」も「うるさい規則」になるの?

子供の「人権」を擁護するならば、
子供の「義務」も大人がきちんと教えるべきである。
子供から「大人が染めているのになぜ子供はいけないのか、
 子供にも人権がある」と言われると、
大人はぐうの音も出なくなるのが現状です。

なぜ、もっと毅然と対応ができないのか。

テレビの知識人や無責任な親の中には、
子どもの「義務」には目をつぶり「人権」だけに迎合し、
理解者のであるかのように勘違いしている人たちもいる。

子供には窮屈で都合が悪い規則でも、
大人がそれをきちんと守らせることにより、
我慢をするという忍耐を覚えることになる。

躾を「人権侵害」にすりかえて子供を放縦に育てた結果が、
自分の自由にならないとすぐにキレる子供を増産させてしまったのでは?

子供が社会の規則を習得するという「義務」をきちんと果たせない原因は、
大人がその「義務」を果たしていないことを反映しているのではと思っています。


HOME TOP NEXT