第47回  何でも請け負いますの真意

何があってもおかしくない最近の世の中ですが、
それでも「そんなバカなことが本当にあるの」と注目したのが、
以前ニュースになった女性救急隊員による不倫相手の妻殺害依頼である。

ここまでなら、似たような話は過去にもあった。

しかし、この32歳の女性救急隊員は、
殺人依頼相手に1500万円を支払ったのに、
それが実行されなかったことを不審に思い「騙されているかも」と、
警察に相談に出向いたというから、
頭の構造はどうなっているのと呆れてしまった。

何から何まで非常識な人物が大切な人命救急の重要な任務を負っていたことが、
今さらながらぞっとする。

消防署職員は公務員ということになるが、
公務員の採用基準に日ごろから大いに疑問を持っている。
教員や警察官による犯罪の多さ、とくにワイセツ関連の犯罪の多発を思うと、
いかに職種に対する人物の人格、適正がペーパーテストの点数にも勝る
大切な要素であるかを物語っている。

今回の事件の詳細は、女性救急隊員が不倫相手の妻が妊娠したことを知り
「裏切られた」と思い、インターネットの殺人請負サイトに
その妻を殺すことを依頼したものだが、
依頼費用の1500万円の一部は消費者金融まで利用したというから、
その執念の愚かさの度合いは超がつく。

一方で、女心とは哀れなものだと思った。

「裏切った」相手は当の不倫相手の男性であり、その妻には何の罪もない。
それでも女心は、自分の愛する人を傷つけたくないばかりに、
その怒りの矛先を第三者の妻に向けたのか?

しかし、この哀しい愛の心情は今回の事件に限らない。
当の相手ではなくて第三者を傷つける女心は、
不倫や男女間の三角関係では珍しくない心情のようである。

名作にも登場するように、いつの世にも恋愛がらみの事件では
、昔から踏襲されてきたパターンのようでもあるが、
不倫相手の妻こそ怒りの発散の場に苦慮することだろう。

一夫一妻制の国で愛人を持った夫に「裏切られた」のは妻の方である。
その論理からすると、不倫相手である女が「裏切られた」立場ではないはず。
夫婦関係で妻が妊娠するのは当たり前であるが、
邪念で頭が飽和状態の女に言い聞かせても、所詮は無理な話であったのだろう。

最近では「自殺関連サイト」がらみの殺人が話題になったが、
わたしが疑問に思ったのは「殺人請負サイト」という物騒な存在が、
果たして「公序良俗に反しない」のかということ。
権利の自由、表現の自由、言論の自由のもとに、
悪でも何でもあり状態の昨今ですが、
取り締まるべきものは厳しく対処して欲しい。

名古屋市で会社員の男性が殺害されたが、
これは妻が出会い系サイトにあった「何でもやります」の書き込みを利用し、
書いた主の工務店従業員の男に報酬を支払い、殺害が実行されたもの。

最近でも、この手法で実の親の殺人を依頼したとんでもない息子と孫がいた。

テレビの番組で「殺人請負サイト」の管理者に電話インタビューをした。

その管理者の回答は
「ウチではそういった(今回のような)内容で成立したことはありません」
と断言したが、それには続きがあった。

「ウチに来るのは20万、30万と極端に値切ったものばかりで、
 それじゃあ赤字になっちゃいますよ」

裏を返せば「赤字にならない高額な報酬では請け負うのか」と、
疑念を持ってしまうような口ぶりだった。

警察は「殺人を請け負う、という具体的な表現がなければ取り締まれない」と言うが、
「何でも請け負います」の表現の元で「あなたの復讐をお手伝いします。
 会社にいられなくなる、身体の一部を傷つける、 生命の・・・」と続いている。

このように、犯罪を助長したり示唆するような表現を堂々とタレ流している
サイトの管理者に何ゆえに配慮が必要なのだろうか。

これまでの警察や法律は、
何か重大な事件が起きて犠牲者が出てからでないと動かない体質があったが、
昨今は犠牲者が相次いでいても、その態度は変わらないようです。



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