第4回 ただ今、人間カマキリ増殖中 朝、新聞を開くと毎日のように凶悪事件の内容が更新されている。 その凶悪ぶりは殺伐とした世相を反映しているようです。 子供が平気で親を惨殺する、親が子をなぶり殺す、 妻が夫を謀殺するなどはその典型ですが、 わたしが注目するのは妻たちによる夫の殺害である。 この人と結婚したいと決めたときは、世界でいちばん愛する人、 いつも一緒にいたい、片時も離れたくないと思ったはず。 だから結婚したんですよね? それが時間の経過とともに、顔もみたくない、同じ空気を吸いたくない、 殺してしまえと、いとも簡単にエスカレートするものなのか? 尊い命を救う使命を担う職業の看護師の女性たちが、 共謀して同じ仲間の女性の夫を殺す! ある女性は夫の心臓に針を突き立て、別の女性は愛人に殺させた。 昆虫のカマキリは交尾の後にオスを食い殺すとの通説がありますが、 このような女性たちは、言ってみれば<人間カマキリ>ですか? 昆虫のカマキリが、なぜ交尾後にオスを食い殺すのかは知りませんが、 人間カマキリはその目的の多くが「保険金が欲しかった」と実に明確。 一方のテレビでは東京の表参道に進出した、 ルイヴィトンの八階建てビルのオープンの様子を伝えていた。 なんでも世界一の規模であるとか。 ビルの前の歩道には、過去のブランド店のオープン時と同様に 長い行列ができていた。 (あーあ・・・) オープンのかなり前から長い行列をつくっていたらしい彼らは、 疲れ果てたのか道路端にだらしない様子で座り込んでいる。 これまでと違い若い男性(ほとんど男の子)の姿も多く見られ意外に思った。 それにしても、Tシャツにスニーカーが目立って多いが、 これが噂のブランド店の客層なの? 企業のコメントは「これからは若い世代をターゲット」とのこと。 なるほど。 さて、行列のニュースのインタビューに答えていたのは、 こちらもブランド店にはちょっとふさわしくない印象の、 かなり所帯やつれした感じの茶髪の中年女性。 疲れているのか、インタビューには無愛想をとおり越して、 けんもほろろな状態。 「いつから並んでいるんですか?」 「おとといから」 「なぜ、そんなに早くから?」 「限定品が欲しいから」 おや、限定品ってそんなに魅力があるものですか? 商品を売るときの戦略方法のひとつに 同じ商品でも<限定品>とつけると売れ行きが良くなるそうだ。 「だから限定品でない場合も、そう表示することがあります」 ある日のテレビのドキュメンタリー番組で、 商法の裏側をご披露していた人物のコメントです。 限定品の価値って<自己満足?> それとも他に持っている人が少ないから<自慢の種?> 余計なお世話かもしれませんが、 自分が限定品(他にあまりないものの価値)となった方が、 よほど人生を豊かにしてくれると思っていますが、いかがでしょう。 保険金欲しさに夫を殺害したある中年女性の動機は 「ブランド品が欲しかった・・・」だとさ! ブランド品ばかりに目がくらんでいると、なれの果ては人間カマキリですか? 今や、夫の価値はブランド品より下がってしまった・・・ そういうことなのね。 HOME TOP NEXT |