第37回  世界のトラ狩り事情

運転中の携帯電話を取り締まる法律に当初は罰則規定がなかった。
人間の常として罰則がなければ自分に甘くなるのは否めない。
せっかく規程を設けてもどれほどの効果があるのか、
わたしは当初から疑問と不満を持っていた。

その後違反が一向に解消されないので、
短期間のうちに運転中の携帯電話使用が罰則の対象となったけれど、
一般の主婦さえ最初から予測していた結果を、
優秀な専門家が寄り集まって検討しながら、見通しを誤ったということなの?

飲酒運転にしても、悪質な違反者が大きな事故を引き起こし、
社会問題となっていたのでもっと厳しくと望んでいたけれど、
改正道交法に伴い従来の罰金額の上限が一気に5,6倍に引き上げられた。

改正直後のある日の読売に「飲酒運転こりごり」の記事があった。
改正法の適用を受け罰金を科せられたドライバーのコメントが掲載されていた。

28歳会社員(罰金20万円)
「いくら何でも高すぎる」
(いくらならいいの? 文句を言える立場かしら?)

25歳会社員(罰金15万円)
「段階的の引き上げなら納得がいくが・・・」
(そう? あなたはどんな場合でも納得できないと思えるけど)

21歳男子学生(罰金10万円)
「素直に反省、これまでもちょくちょく飲酒運転していた」
(あなたがいちばん効き目がありそうね)

40歳主婦(罰金15万円)
「高いとは聞いていたが、それにしても高い。これだけ集めていったいどこへ使っているのか教えて欲しい」
(さすがオバサン、すごい開き直り!)

反応はいろいろでしたが、取材に応じた全員が「今後飲酒運転はしない」と
語ったそうだから改正法の効果は抜群だったといえる。

1999年11月、東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが、
夫婦と3歳、1歳の姉妹を乗せた乗用車に追突し、
後部座席に乗っていた幼い姉妹の命を奪ったことを契機に
飲酒運転の厳罰化が進んだようです。

改正法に対する飲酒好きのドライバーのコメントは、
大抵が「高すぎる」と怒りや不満をあらわにしていますが、
その不満を解消するのは簡単、法律違反をしないこと。
法律を守ってさえいれば、罰金がどんなに高くても関係がないはず。

故意犯である飲酒運転で命を奪われた者やその家族、周囲にもたらす
悲しみや悲劇を考えると、飲酒運転の罰金は重くて当然。
もともと飲酒運転は法律違反をしているのであるから、
本来なら「高い」などと文句を言える立場ではない。

さらに、飲酒ドライバーが高いと思うからこそ効果がある。
その意味では再犯を防ぐ効果が薄かった従来の罰金額が、
むしろ、安すぎたのではなかったのかと思っています。

ニューヨークでは酒気帯び運転で捕まって有罪となると、
初犯でも車を没収されるほど厳しいといわれるけれど、
我が家では米国でレンタカーを借りる際に運転注意情報を集めるが、
その中にこんなものがあった。

<米国ではたとえ飲酒運転をしていなくても、
封を切ったアルコール類が車内から発見された場合は
罰則の対象になり得る場合があるのでくれぐれも注意>

ヨーロッパでは、宿で飲み残したワインのボトルを
移動中のレンターカーに載せることもあるけれど、
米国では無理に飲み切ってしまうか捨てるかである。

ちなみに他の国のトラ狩り事情をご参考のために。
(現在は変っているものもあるかもしれません)

トルコ
<32キロ離れた郊外に連行され歩いて町まで帰らされる>

オーストラリア
<地方新聞に自費で「飲酒の罪で刑務所入っている」と
 実名記事の掲載>

マレーシア
<運転者はもちろん結婚していた場合は妻も刑務所入り>

ブルガリア
<飲酒運転で2度逮捕されたら極刑>

エルバルサドル
<銃殺刑>

いかがです、日本のトラ・ドライバーさん。
日本はまだまだ甘いんです。


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