第36回  うーん!?

ある日の読売の人生相談を読んだ後に、さっそく夫に質問を浴びせた。

「今日の人生相談読んだ?」
「読んだ!」
「すごいね?」
「すごい!」
「びっくりした?」
「した!」

内容を要約すると投書の主は70歳代の主婦。
80歳代の夫との結婚生活は50年を超え、3人の子供を必死で育て上げたが、
最近夫が中年の女性と付き合うようなり月に1回はホテルへも行っているという。

夫が不倫相手に電話をする会話の内容がすごい。
「あんなのは、もう死ぬわ」
「早く死んだらいいんだ」
と強烈このうえない。

また事あるごとに
「家を出て行け」
「お前の世話にはならん」
などの嫌がらせを言われているようである。

長年連れ添った夫からのこの仕打ちでは、妻はたまったものではない。

お相手の女性は中年とあるが、
<中年>の定義は50代の半ばから60代の前期にかけてというから、
80歳の男性からすると女性の方はかなり若いようである。

このような相談事は初めて目にしたわけではなかった。
長寿社会を反映してか「老いてますますお盛ん」の悩める様子を、
最近では活字でときどき目にしている。

わたしはさまざまなジャンルのコラムをかなり書いていますが、
人間の性行動については一度も書いた覚えがありません。
特に高齢者の性衝動についてはほとんど無関心であり、
以前は少し偏見すら持っていました。

しかし、この種の相談や悩みを折りに触れて知るようになり、
なぜ自分が偏見を抱くのかを自問自答した結果、理由が見当たらなかった。
つまり、高齢者の性衝動を当たり前として捕らえられるようになった。

以前にも同様な人生相談があったと記憶していたので、
新聞の切抜きを捜してみた。

70歳代の男性から「69歳の妻が性交拒む」という悩み事相談が寄せられていた。

「69歳の妻が苦痛を訴えて性交を拒み続ける。8年間も関係がなく不満だ。
 どうしたら夫婦関係をうまく保てるか」と、いうもの。

この相談事に多くの反響が寄せられ、
その結果が後日の<性の意識差、互いに理解を>の特集記事となった。

特集に寄せられた手紙の内容は、
70歳代の東京や埼玉の男性が「自分だけではなかった」と打ち明け、
これまで独りで悩んでいた様子が見られた。

80歳代の神奈川や香川の男性からは
「日常的なことから愛情のこもった関係を築いたら?」
「自分だけ良ければという思いはでは、妻から拒否されて当然」と、
同性ながらなかなか手厳しい。

一方の女性からは妻への同情が多かったが、
年齢も40代50代と男性よりも若い層からの反響だった。

それについて田園調布学園大学の荒木乳根子教授は
「性についての男女の意識の違いが歴然と表れている」と語っている。

セクシュアリティ研究会の中高年世代の性の実態調査をまとめた
「カラダと気持ちーミドル・シニア版」(三五館)によると
「配偶者との望ましい性的関係」を尋ねたところ40〜60代前半の男性の
50%以上が「性交渉を伴う愛情関係」とし、
70代前半で「精神的な愛情やいたわりのみ」が36%、
「性交渉を伴う」が25%を超えている。

一方の女性は「性交渉を伴う」が50%を超えたのは40代前半だけ。
50代後半ですでに「精神的な愛情」が50%を超えている」

この結果を踏まえると、
やはり中高年層の男女間における性行動の意識の差は歴然。

ところでオタクの性の意識の差はいかがでしょうか?
「いらぬお世話、中高年なんてまだまだ先のこと・・・」

いえいえ、性の意識差は中高年にはとどまりませんよ。
わたしのファイルには黄ばんだ記事の切抜き<性の風景>がありますが、
そのタイトルは<女性からのセックス>サブタイトルは
<タブー薄れ、抑えていた欲求おもてに>

これについては、またいつか・・・


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