おもしろいコラム わけがわからん!


第33回  わけがわからん!

テレビで報道していたその殺人事件とは、
22歳の主婦が30代の愛人に自分の知人の女性を殺せと命令したもの。

目的はお金を奪うこと。

男は年齢が一回りも年下の女から命令されたことを忠実に実行し、
女性を殺してお金を奪った。
その額はわずか3万円程度。

人の命もずいぶん安くなったものですが、
これまでにも数千円のために命を奪われた事件も結構あるから、
やり切れない思いがする。

事件の主役の女と男は、携帯電話の出会い系サイトで知り合ったという。

女が男に言ったセリフは
「私と付き合いたかったら、あの女を殺してお金を取ってきなさいよ」

そこで男は、ハイハイと言うことを聞いて殺人事件となった。

テレビに向かって夫が不機嫌そうに言った。
「世の中には気の弱い男もいるもんだ。
 子供のような女に命令されて殺しまでするなんて、アホか」

「ホント、女も女だけど、男がここまで気が弱いとはねぇ・・・」
「まてよ、気の弱い男が殺人なんてするか? できっこないよな」

「あら、ホント。一体どうなってるの?」
「どうなってんだ?」

ひとまわりも年下の女に命令されて、
殺人まで実行する男は気が弱いのか、弱くないのか?

そこで恒例の我が家の夫婦討論会が始まった。

「オレは気が強いのが自慢だが(そんなものが?)
 人殺しなんておっかなくて殺されてもできないよ」

「わたしだってドラマの殺人シーンは目をつぶってしまうもの、とてもとても・・・」

出された結論は・・・わけがわからん!

近所の人の話によると、女は朝から晩まで携帯電話でしゃべっていたという。
その通信費用を月に10万円も支払っていた。
そのほとんどが出会い系サイトで、複数の男性と交際していたというが、
その電話代欲しさだとしたら何を考えているのやら・・・

さらに女は車の中から携帯で「まだやってないの、早くやりなよ」と、
逐一指示を出していたというから、ますますわからない。

ときおりタクシー強盗事件もあるけれど、
あれもわけがわからないもののひとつである。
タクシーの売上金は殺人を犯してまで奪うような額ではないと、
誰でもわかっているはず。
それでも、そのわずかなお金を目的で人の命を平気で奪う。
そんなに切羽詰まってのことかと思えば「遊ぶお金が欲しかった」と、
若い男女による強盗殺人もあった。

こういう人たちの頭の中を、一度のぞいてみたい。

人を殺してわずかなお金を奪ったその先の人生が、
どういうことになるのか考えないの?
これらの人たちの頭の中はカラッポ?
先の人生という、重要な情報がインプットされていないの?

短絡的な犯行と片づけてしまえばそれまでですが、
同じ人間としてどうしてもその心理状態が理解できない。

このごろ急増している理解不可能な安易な凶悪事件。
これらは一体何を物語っているのか?

その昔は、殺人犯といえば一見してそれなりの凶悪な面相で、
子供なら怖くて泣きだしてしまいそうな特殊な存在だったけれど、
昨今の殺人犯は優等生がキーワードでもあるかのような変わりよう。

「いつもにこやかで優しい人、まさかあの人が・・・」
「とてもおとなしい礼儀正しい人」
「間違っても殺人を犯すような人には見えなかった」等々

これは間違いなく殺人の大衆化ではないのでしょうか。



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