おもしろいコラム 宇宙旅行と胃カメラ


第21回  宇宙旅行と胃カメラ

わたしは、科学の力をどこかで疑っている。
非科学的と言われても、飛行機のような鉄の塊が空中を飛べるなんておかしいと、
未だに思っている。

数百人の人間のほかに、貨物や燃料までもが加わっているのだから
相当な重量である。
だから、ますます信じられない。

米国の実業家が25億円の旅行代金を支払い、
宇宙旅行を大いに楽しんで来たようですが、
わたしは25億円くれると言われても絶対に断るタイプ。

いくら科学的根拠を説明されても、
理性では手に負えない世界の問題だから、
未だにどっぷり不信に浸かっている状態なのである。

それにしても、最初の月面着陸の映像はわたしには衝撃的すぎた。
SF映画のシーンを見せつけられているようで、現実感が伴わなかった。
 
しかし、もっとすごいことが地球上で現在研究されているようです。

「テラ・フォーミング計画(惑星地球化計画)」

地球人が、他の惑星に移住するためのプロジェクト計画とのこと。
なんでも、他の惑星を地球の環境と同じように造り変えちゃえと言う、
壮大なものらしい。

でも、そんなことをしたら異星人が激怒しやしないかしら。
仮に先住星人がいたらの話ではありますが。
なんだか先客に申し訳ない気がしないでもないけれど。

勝手に他人のテリトリーに押し入って、
相手方を地球環境という鋳型に押し込んでしまえという、
ものすごいものなのだから。

自然に対してもそうですが、人類ってかなり傲慢なのかもしれません。
バチが当たらなければいいけれど・・・

ところで、このような計画が打ち出されたのは、
1961年、カリフォルニア大学の惑星物理学者カール・セーガン博士が
金星の環境改造に関する論文を発表したのが発端とされている。
これを機に、世界中の研究者たちが惑星の環境改造というテーマに
真剣に取り組むようになったようです。

そもそもの発端は、天才宇宙物理学者のホーキング博士が
英国エディンバラでの講演で次のように予言して、
テラ・フォーミング計画が世間の脚光を浴びたようです。

「地球上の人類はあと1000年ほどで絶滅する恐れがある。
 それを救える道は他の惑星への移住しかない」

なんとも恐ろしい予言ですが、1000年も先のことではピンとこない。
しかし、宇宙カレンダーの速さからすれば、今晩にもやってくる出来事です。

やはり、ピンときませんが・・・

同じピンとこない事柄でも、
火星を地球の分譲地にする計画は月面着陸という実績を踏まえれば、
少しは現実味を帯びて理解しやすい。
ピンと来ないなりに、ピンと来るものがあります(!?)

とにかく科学の力とは、わたしには想像を絶する存在です。

お話はガラリと変わって、胃カメラ検診を受けられた経験がお有りですか?
えっ、お有りにならない?
なんと幸せなお方でしょう。

胃カメラは、親指ほどの太さの管の先に極小のカメラが装着してあり、
それを口から挿入して目の前のモニター画面に胃の内部を
リアルタイムで映し出す装置です。

この画期的な胃がんの早期発見装置は日本人が発明したもので、
日本は胃がんの早期発見の最先端国でもあります。
だからと言うわけではありませんが、
わたしは3回ほど胃カメラ検診を受けた経験があります。

まだ未体験の方には申し訳ないけれど、その体感をわかりやすくご披露すると、
まずは御自分の人差し指をのどの奥に突っ込んで、ぐいっと力強く押し込む。
それがどんなに吐き気をもよおそうが苦しかろうが、
そのまま胃の中までズズッとひたすら押し込む感じ。
やがてそれが胃に到達したら、やおらこねくり回す・・・と、
まあこんな具合です。
 
その間に、よだれは垂れ放題、涙で目と顔面はぐちゃぐちゃ、
ついでに鼻汁までタレ流し状態になります。

そこでわたしはいつも疑問を覚えるのです。

火星を地球の分譲地にしようなんて想像を絶する科学力があるならば、
人間の内蔵の様子を映し出すことくらい朝飯前じゃないの?
もっともっと簡単に優しくできないものなの? 
高齢者や体力のない方は検査と言えども命がけの行為なのだから。

いとも平気でこんなことを言えるのは、
わたしが究極の科学オンチだから?

それとも、吹けば飛ぶようなちっぽけな人間の体の内部が、
火星を改造する大事業よりもはるかに難物で、
神秘に満ちているという証拠なの?

遠い先の宇宙計画も夢があって、それはそれで素敵だけれど、
難病等で現実に苦しんでいる多くの人々のためにも、
科学がもっともっと医学の分野の役に立って欲しいと思うのですが。

・・・と言っているうちに、
最近はカプセルカメラなる飲み下しカメラが実用化された模様。
月並みですが科学の力は日進月歩ということになります。

カプセルカメラとホーキング博士のコラムはすでに書いてありますが、
それはまた別の機会に・・・



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