おもしろいコラム 神様も途方にくれていらっしゃる


第20回  神様も途方にくれていらっしゃる?

昨今は新聞の紙面に遺伝子関連の記事が目につく。

アメリカの農務省の調査結果は遺伝子組み換え作物として、
トウモロコシは1/3、大豆は3/4にも達しているとの結果を伝えている。
これは食糧のほとんどを外国に頼らざるを得ない日本にとっては脅威です。

<この大豆は遺伝子組み換えはしていません>

この品質表示を、わたしは現在の日本では信じられない。
食品売り場で見かける大豆の<遺伝子組み換えなし>の商品量は、
生産量に比べたら多すぎると思わない?

疑えばきりがないけれど。

遺伝子操作は周知のごとく植物だけとは限らない。
読売の夕刊についに植物と動物が合体したショックな記事があった。

<ホウレンソウの遺伝子を豚に組み込み成功、
近畿大生物理工学部の入谷教授の研究チームが、
世界で初めて大型動物に植物の遺伝子組み込みに成功した>

生活習慣病の予防や治療に有効とされるホウレンソウの酵素を、
豚の受精卵に組み込むことにより、
不飽和脂肪酸がより多い健康に良い豚を作ることができるというもの。

植物と動物が登場した後には、いよいよ人間の出番である。

遺伝子操作による治療とは、
難病の遺伝子を持つ人にとっては大いなる福音となり得ますが、
その是非について未だに世界は揺れ動いている状況のようです。

遺伝子操作はビッグビジネスチャンスにつながったり、
功名をあげたい野心家にとってはまたとないチャンスのはず。
世の認知を受けないまま、驚くような事態がさまざまな裏舞台で、
見切り発車をしているのではないかと、
疑い深いわたしは思っているのです。

過去には、米国の痴呆症の女性がその遺伝子だけを取り除いて妊娠した、
という記事が論議を呼び起こしたこともある。

すこし内容は異なりますが、
日本でも少し前に夫の精子を生前に保管しておいた女性が夫の死後に、
受精妊娠した記事が波紋を呼び、法環境を整える論議の種になった。

新聞の遺伝子情報関連のワシントン支局からのリポートは興味深かった。

<米英2つのグループが相次いで遺伝子操作で、
 免疫反応を抑制できるクローン豚を作ったと発表>

豚の臓器は大きさが近いことなどから人間への移植が有力視されているが、
急激な拒絶反応があり、この数年、豚の臓器の活用は、
この遺伝子を押さえられるかどうかにかかっていたという。

つまり今回のクローン豚の成功は、
その難点をカバーできる画期的なものということになるようです。

以前にも、サルだかゴリラだったか、
動物の臓器を使った人間への移植が数例ほど存在したが、
生存日数の記録更新だけに終わってしまった感がある。

やはり、人間と動物を合体させるには限界があると思っていましたが、
今回の成功によりその最大の難関がクリアされたことになるのか。

結果として、豚の臓器が拒絶反応もなく人間の体内でその役割を果たし、
人類の延命に役立つ日がやってくることになるのでしょうか。

このようにして、科学は目覚ましく日進月歩をしていますが、
究極には人間にとってどのような結果をもたらすのでしょう。

わたしはいつも落ち込んだとき、
のっぴきならない状況で苦しんでいるときには、
自分の生まれてきた状況に思いを馳せることにしています。

宝くじよりもはるかに確率が低い数億分の1と言われる
気の遠くなるような存在の中から自分がこの世の中に存在している事実を
厳粛に受け止めることにしています。

それは、他の数億を犠牲にした存在でもあるのだと・・・

馬鹿馬鹿しいと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、
これは紛れもない事実であり、自分の存在を大切に思うことに関しては、
わたしにはとても有効に作用しています。

そして、このような偶然は、
人間の力の及ばない所にあるのではないかと。

人間の力の及ばない所?

すなわち、平素はまったくの無神論者であるわたしが、
都合の良いときにだけ手助けをお願いするカミサマです。

その全知全能の神様でさえ昨今の目覚ましい科学の進歩には
途方にくれていらっしゃるのでは? とご同情申し上げたい気持ちですが、
実際は、どのようにお感じになっているのでしょう?

・・・神のみぞ知る・・・



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