おもしろいコラム クレオパトラの鼻

第2回  クレオパトラの鼻

テレビや雑誌で美容整形の話題が多い。

韓国では美容整形がとても盛んだそうですが、
お国事情も日本とはだいぶ違うようです。

日本も近ごろは施術前、施術後の顔出しを堂々とするようになったが、
韓国のドライさにくらべれば、まだまだ発展途上の感があるようです。

先日は珍しくアメリカの美容整形の実態をテレビで放映していた。

<ハリウッドと美容整形>コチラは韓国よりもっとお盛んで
ご飯を食べるのと同じくらいの感覚らしい。

美容整形とは美しくなるためのやむを得ない手段と思っていましたが
醜くするための美容整形もあるらしい。
テレビ画面に水着姿の金髪の美女が現れた。
腰の部分が折れそうなほどほっそりしている。
彼女は日本で言うところの巨乳持ちだが、
しかし、これは生まれながらの自前である。

東洋人とは違うDNAを由緒正しく継承している彼女は
日本の巨乳美女とは美の格が違う。
巨乳と細い腰の絶妙なバランスが、ヨダレを垂らして見ほれるほど美しいが、
信じられないことに、彼女はその巨乳を整形でどんどん気前よく膨らませ
ついにはバレーボールほどの大きさまで発展させてしまった。

一個の乳房の重さは実に4キロ!

乳を欲しがる赤ん坊よりも重くなってしまった。
ツインではなんと8キロにもなるそれは
すでに乳房という美の面影を木っ端微塵に打ち砕いて
胸にしがみついている醜い巨大な肉球に過ぎない。

それでも彼女は「とてもハッピーよん」と、
満面の笑みを浮かべて心から満足そうである。
超特大の肉球の市場は、希少価値と物めずらしさから需要の方が過剰らしく、
お金がじゃんじゃん入ってくるようだ。

なんだ、ハッピーってお金のことなの!

それから、次々と美容整形が登場するがなかなかいそがしい。

頬を削ったかと思えば一方では膨らませ、顔の皮を引っ張ったり顎を削ったり、
唇を薄くしたり厚くしたり。
1グラムで何千人だか何万人だか殺せるという、
猛毒のボツリヌス菌をシワの間に注入して、
皮膚をピンと復活させるシワ取り美容。(怖い!)

加齢と共に地球の引力に負けそうな弛んだまぶたには
カツを入れてすっきりさせる、まぶた吊り上げ手術。
頬を膨らませる整形の詰め物には、
いらない部分に余計にくっついている脂肪を吸い取ってあてるというから、
これは立派な脂肪のリサイクルである。

なかなか合理的ではある。

職業がモデルの女性は、
わたしが理想とするきりりと引き締まった美しい形の唇の持ち主だが
わざわざ痛いメスを入れてタラコのようなぼってり型に変えてしまった。

「この方がセクシーでモテるのよ」

と彼女は言ったが、わたしの目には前よりも醜く映って見えた。

だが彼女の選択は正しかったようだ。
彼女はタラコ型を採用した後に、
めでたくプレイボーイ誌の表紙を飾ることができた。

素顔の彼女はどこにでもいる平凡な女子学生か、
健康的な田舎娘のような印象を受けたが
表紙の中から挑むような眼でこちらをにらみつけている濃い化粧の彼女は
すでに別人に生まれ変わっていた。
呆れるほど小悪魔的で、獲物を狙う雌豹に似ていた。

お化粧の威力って、もしかしたら美容整形よりもっとすごい?

いかにもアメリカ的なのは、
クレオパトラのような鼻を「削ってちょうだい」というものだ。

もったいない!

鼻の美容手術といえば隆鼻と相場が決まっている日本人には
うらやましい限りです。

残念なことに、がんばった末の美容整形でも
生涯にわたって美形を保証してくれるわけではないということ。
人間が生身である限りそこには厳然とした賞味期限が存在する。

期限が切れたら、また造り替えなくちゃいけないの?



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