おもしろいコラム 縮んだ脳ミソの未来は?


第19回 縮んだ脳ミソの未来は?

ニュースで、高校の教科書「生物T」から進化の記述が消える事を伝えていた。
そのときのわたしは食事の支度をしながら、
人間の進化について考えさせられたばかりだった。

わたしはニュースを聞きながら、洗濯をしつつポットのお湯を沸かし、
炊飯器でご飯を炊きながら、肉じゃがに取りかかっていた。

ピッーピッーと、洗濯の終了を告げる音がした。
洗濯室へすっ飛んで行ったけれど、
洗濯機はまだせっせとお仕事の最中だった。
ならばご飯が炊き上がったのかと確認したら、あと7分の表示。
結局、ポットが「お湯が沸きました」と教えてくれたのだ。

家の中のピッーピッーは、
なぜかみんな同じような電子音が設定されていて、
どれがどれやらわからない。

家事をこなすとは、家電の電子音に振り回されることなの?

これ以上、機械ごときに振り回されたくないから(メカ音痴?)
外出先から電話やコンピューターを使って家電類を操作をする
最新システムが話題になっても使ってみたいとは少しも思わない。
むしろ、便利過ぎる生活に疑問を感じている。

以前はご飯がどれくらいの時間に炊き上がり、
洗濯時間も、お湯が沸くのもおよその見当をつけることができた。
自分のカンや経験を駆使して物事に対処できた。
そういう生活が嫌いじゃなかった。

しかし、世の中はより便利な生活へと拍車がかかり、
変わり者の愚痴など聞いてくれそうにもない時代になった。

このまま便利すぎる生活が続いたら、人類の行く末はどうなるのだろう。
炊き上がったご飯を前に、しばしもの思いに耽ったのです。

漫画や映画の中での火星人のイメージは、
頭でっかちで手足が紐のように細いのが一般的。

なぜ、あのような姿になったのか?

一説によると、火星人は地球人よりも優れていて頭脳明晰。
つまり良く使う脳ミソの部分が発達して頭がより大きくなり、
当然のことながら使わない部分は退化するから、手足が異常に細くなった?

この論法をあてはめると、
パソコンによって漢字をすでに半分は忘れているわたしの脳ミソは、
間違いなく数ミリ、いや数センチは退化しているはず。

以前は自分の体を使ってこなしていた家事も、
現在はかなりの部分を機械やコンピューター任せにしている。
これから先も、自分のカンや経験を放棄して
コンピューターに頼る日々を送ることになるから、
退化はさらに増幅されるはず。

これを「使わない器官(不用器官)は退化する」に当てはめて考えると、
わたしの将来・・・いや人類の未来の姿はどのような変化を遂げるのだろうか?

現在の人類の姿だって太古の昔は毛むくじゃらのお猿さんだったのだから、
この先どのように変化を遂げてもおかしくはない。
目には見えなくても、それらは日々に深く静かに進行しているはず。

このように、人類の成り立ちからこれから先へとずっと続く
「進化」という大切な記述が高校の教科書「生物T」から消えるという。
進化は中学校の教科書でも扱わなくなるようです。

日本の教育は、退化を先取りしちゃったわけね?


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