面白いコラム 罪人に押した烙印だよ


第18回  罪人に押した烙印だよ

テレビで、失業率やら不景気やらの悲観的なニュースを聞く一方で、
日本人の海外でのブランド品の買い漁りは相変わらずのようです。

以前、ウイーンのブランドショップの店長が
「このままでは日本人客に商品を独占されてしまう」との危機感から、
日本人客への提供個数を制限すると発表して話題になったことがある。

不況下でもブランド品の売り上げは好調らしく、
不景気の日本へ常識では考えられない進出や事業拡張が続いた。
その背景には日本人の異常なブランド漁りがあるようですが、
日本人はなぜこれほどまでにブランドにこだわるのか?

ある日の読売記事によると、
「ブランドとはオックスフォード辞典ではburn(燃える)が語源であり、
 もとは燃え木、家畜などに押す焼き印、罪人に押した烙印などの意味が転じて
 商標の意味で使われるようになった」

おやまあ、ブランドの語源は「罪人に押した烙印」!

また記事では、日本人がブランドを好む習性について、
確固たる選択のモノサシを持てないゆえに人はブランドに走る。
ブランドだから信用できると頼る。
ブランドは商品に安心を求めた結果のお守りだと述べている。

もちろん、この場合のブランドとは海外ファッションブランドに限らず、
ササニシキや神戸牛等の幅広いジャンルまでも指すものだそうですが、
果たして安心を求めた結果だけなのでしょうか?

ネット姫の独断偏見診断では、
ズバリ「日本人の劣等意識」ではないかと考えます。

全身ブランドづくめの、女子高校生への街頭インタビューの会話。

「なぜ、そんなにブランドにこだわるの?」
「チョーかっこいいし、みんなの注目を浴びるから」

オイオイ、金髪の制服に持ち物をブランドで凝り固めたお嬢さん!
それはね、チョーかっこ悪いからみんなが注目するの。

ファッションブランドの本家の欧州では、ブランド品はそれなりの階級か、
高価なブランド品が似合う(買える)年代になってから身につけるものとは、
世間の一般常識のようです。

ゆえに、ヤングレディや未成年の生徒が全身ブランドで闊歩する日本は
「いったいどういう国?」と、欧米の人には理解できないはず。

あるオフィスレディは、食事はラーメンで我慢してブランド品を買い漁り、
新しい商品を買うために古いものを質屋に入れることを繰り返していると、
テレビで堂々の顔出し取材に応じていた。
新商品が出ると買わないではいられないというから、
哀れにも完璧にパブロフの犬状態になっているようです。

呆れるほどの購買欲の理由は
「誰よりも先に買って優越感に浸りたい、みんなをうらやましがらせたい」

他のブランド狂の女性たちは、
「みんなが持っているから持たなくちゃ」
「芸能人の○○さんも持っているから同じものが欲しい」

パブロフの犬状態の彼女は「ブランド物のための人生ですよ」と、
疲れ切った表情でつぶやいたけれど、
馬鹿馬鹿しくてその心情はとうてい理解できなかった。

他人が自分のおサイフで買うものにあれこれケチはつけたくないし、
関心もありませんが、クドクド言うのにはそれなりの理由がある。

以前、海外旅行を扱う雑誌社の企画で、
海外ブランドショップの店員の覆面対談が掲載されていた。
ローマ市内のブランド店が立ち並ぶショップで働く金髪の店員さんたちですが、
日本人客に対する悪口雑言の言いたい放題。
それはそれは侮蔑まみれの内容の記事で、
引用とは言え披露する勇気は持ち合わせないほどの凄さ。

結果として、海外ブランド品に狂奔する愚かな日本人のイメージが、
渡航をするたびに我が身にも影響が及ぶことになります。

つまり、ブランド品に興味がない身にも
「ブランド漁りの日本人」のイメージがシツコク付いて回り、
それなりの迷惑も被っているから、まったく無関心というわけにもいかない。
むしろ腹立たしいばかり。

日本人に押されたブランド漁りの不名誉な烙印は、
いつになったら消えてくれるのでしょうか?

それにしても、日本人のイメージを失墜させた人たちが血道をあげている商品が
「罪人に押した烙印」とはねぇ。

ちょっと出来すぎている感じ・・・


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