第16回 羊のゲップ 民族間の文化の相違は貴重な反面、 さまざまな衝突や誤解にも発展しかねないから厄介です。 ある日の読売記事に「温室効果ガス対策難航」の文字があった。 先進各国に温室効果ガスの削減義務を定めた「京都議定書」の削減目標値が 産業界の反発で期間内に日本の達成が難航しそうな気配だと、 当時の様子が書いてあった。 そこで思い出したのが、 2000年10月30日ニュージーランド発ニュースの「羊のゲップ」である。 愛らしい羊が、ゲップをする姿を想像するだけで、 なんだか頬が緩んできますが、これがとんだクセものでした。 羊や牛(反すう動物)のゲップはメタンガスの発生源である。 メタンガスは地球温暖化をもたらす温室効果ガスの一種で、 二酸化炭素に次いで大きい要因だとされているが厄介なことに、 メタンガスは二酸化炭素よりも温室効果が強いとも言われている。 つまり、羊や牛等の家畜のゲップが、 地球の温暖化に拍車をかけていることになる。 あの愛らしい体内に、地球の存亡にかかわる邪悪な毒素を孕(はら)んでいたとは。 ニュージーランドの場合、国全体から排出される温室効果ガスの、 なんと43%を羊や牛のゲップが占めると試算されている。 フランスでは、国中から排出されるメタンガスの15%が、 家畜の羊や牛から出ているというから驚くべき数値です。 ニュージーランドやフランスでは科学者の研究グループが、 家畜から排出されるメタンガスの量を減らす方法を探し求めているとか。 一方、わが国でも1997年11月28日の朝日新聞によると、 旧農水省・畜産試験場(茨城県茎騎町)で 牛や羊のゲップに含まれるメタンガスを測定し、 それを制御する研究が続けられているようです。 知らなかった! そこで、わたしの想像はたくましく膨張した。 ゲップ、くしゃみ、オナラ、鼻かみ。 これらの音に対して日本人はことのほか気を使う民族で、 これらをあまり堂々と人前ですると「はしたない」と軽蔑されかねない。 一方の欧米人種は、これらの音に関しては驚くほど寛容である。 映画の中でも、貴婦人や紳士がレースのハンカチで「ブワァー」と、 それこそ耳を覆いたくなるような爆音を炸裂させて、 鼻をかんだりする場面が登場するのは珍しくない。 そういう彼らが、スープを飲む時はチリほどの音にも敏感になるようです。 その結果、おソバやお茶を「ズズッ」と啜る習慣のある我が日本民族を、 まるで<軽蔑の権化のように見下す>ことがある。 そのうえ「スープは啜るのではなく<eat(食べる)>と表現するざんす!」などと、 英語の講釈までタレる。 現在はともかく、日本人ほどおしとやかで慎ましい民族はいないはずと、 わたしは誇りに思っています。 それに反し「出モノ腫れモノところかまわず」の合理的精神の欧米人は、 ゲップやオナラを我慢したら健康に良くないとばかりに、 大っぴらにやらかすのでしょうか? なぜ、アメリカは京都議定書から撤退したのか? 大国の横暴、わがままと言ってしまえばそれまでですが、 ネット姫の独断と偏見で診断を試みたところ、 最も合理的精神のカタマリであるアメリカ人が 「出るものは仕方ないじゃん!」 と、自国の文化で開き直ったとの結論に達したのですが。 HOME TOP NEXT |