第14回 日本の黒い虹 日本ほど歩道橋の多い国はないけれど、なぜなの。 一体、誰があのようなシロモノを、日本国中の道路に架けたのか。 アジアでは時おり見かけたことがあるが、 都市部に例外的にあるくらいで、日本の様子とは異なっている。 建物と建物をつなぐ歩道橋は欧米でも見たことはあるが、 歩行者に道路を横断させないために設けた歩道橋などは、 わたしの知る限りでは見たことがない。 そのような場合は、欧米では大抵が地下道になっている。 歩道橋は歩行者にとっては大変迷惑な話である。 車椅子等を使われる方々にとっては大変な障害になり、 幼児や高齢者にはシンドイし、妊婦にも負担を強いる。 唯一、問題がなさそうな身体壮健な若者は面倒臭がってその存在を無視し、 道路を突っ切って渡る。 わが町の歩道橋は、真ん中が盛り上がって虹のようにカーブを描いている。 従って冬場にアイスバーンになった歩道橋を渡るのは命がけになる。 両手で橋の手すりをしっかり握りしめ、 おぼつかない足取りで一歩一歩踏み締めながら、 それでもときどき足元を奪われ何度も転びそうになる。 身体の不自由な方や妊婦さんには、この上ない恐怖である。 そんないやらしい歩道橋が、ただでさえ景観の悪い看板だらけの町並みを、 さらにどうしようもなく悪くしている。 町並みに<黒い虹>のように覆いかぶさっている歩道橋を見るにつけ 腹立たしくなる。 一体、何のための方策なの? 歩行者に大いに負担となるからには、 その反対の立場で恩恵を受ける存在があるはず・・・ と思いついたらなおさら腹が立ってきた。 つまり、車の流れをスムーズにさせるための方策じゃないの? 要するに、日本は車優先社会ということになる。 同じ方策でも欧米方式の地下道スタイルなら、階段の数もそれほど多くはないし、 歩行者にとっては雨や雪の影響を受けないだけでも、 歩道橋よりはかなり負担が少なくなり、 体の不自由な方のためのスロープも設置しやすい。 日本という国は、どうして弱者に追い打ちをかけるような方策しか取れないの。 交通が激しい大通りならまだ理解できるけれど、 地方の小さな町で、ほとんど車の往来が見られないような通りにも <黒い橋>はそこかしこに堂々と架かっている。 先日、ドライブの途中で見た歩道橋の両側には広い田んぼが広がっていた。 一体、誰が利用するの? えっ、そんなこと知ったこっちゃない、 オリンピックと同じで架けることに意義がある? 冗談じゃありませんよ。 アナタのお金なら勝手だけれど、ゼイキンを使うのはやめて欲しいわね。 そして結局、日本中が歩道橋で覆われているような状況になっている。 それを利用する頻度は田舎の田んぼ道では無に等しい状況ですが、 ひょっとすると、これも悪しき公共事業の一環? と勘ぐりたくなるほど無意味な存在となっている歩道橋。 まさに日本国中に架けられている<黒い虹>です。 HOME TOP NEXT |