第11回 熟年カップルの胸中は? 最近、スーパーやレストランで以前はあまり見かけなかった 熟年カップルが目につくようになった。 スーパーで白髪の夫に寄り添った妻が切り身魚のパックを手に、 夫になにか話かけ、夫がうなずいている。 ひょっとして、こんな会話が交わされているのかもしれない。 「今晩のおかず、これでいいかしら?」 「いいねぇ、うまそうだ」 ほほ笑ましい光景です。 このカップルも以前は妻がひとりでやってきて、 機械的に食料品をポンポンと籠に放り込んでいたのでしょうか。 高齢者社会に突入して、人生50年時代から平均寿命が、 女性は80歳以上になり、男性も70歳後半に伸びた。 定年退職してからも相当な年月を夫婦で暮らさなければならなくなった。 それにもかかわらず、これまでの熟年夫婦の未来像は決して明るくなかった。 夫の定年と同時に、離婚を決意する熟年女性のコメントが巷を賑わせ、 一時は夫を<粗大ゴミ>と称して突き放す傾向も世間の話題になりました。 それまで仕事一筋で家庭を省みなかった夫に対して、 さまざまなすれ違いが生じてきた妻の不満が、 一気に爆発した結果なのかもしれません。 以前の新聞等の意識調査にはそれが如実に反映されていたけれど、 夫婦間のあまりの気持ちの隔たりにショックを受けた覚えがある。 当時の意識調査の設問は、どの調査もたいていが似たりよったりであった。 「老後は誰と過ごしたいですか?」 その回答に、夫は【妻】であり、妻は【友人】となる。 「旅行へは誰と行きたいですか?」の回答も前述に同じ。 「お墓に配偶者と一緒に入りたいですか?」 夫は【はい】妻は【いいえ】とあり、 【死んでまでまっぴら!】という激しいのもあった。 注目すべきはそのパーセンテージの高さである。 つまり、夫と妻の隔たりの度合いがすごく深かったのである。 結婚の最大の理由でもある 「この人と少しでも長く一緒にいたい」との思いの行き着く果てがこれでは、 結婚を夢見る若者層の夢までも奪いかねない残念な調査結果である。 つい最近、夫婦間の意識調査のアンケート結果で、 わたしは時代が変わりつつあるのを感じた。 「夫と一緒にいる時間と自分の時間について」等のさまざまな設問に対し、 その回答結果は、妻が夫に対する否定的な傾向は相変わらずだった。 しかし、その感情の開きが以前よりかなり解消されいるのが、 はっきり数字に現れていた。 妻からのメッセージに夫族が気づきはじめ、 危機感を十分に感じ取った結果であろうか? そのせいかジョギングやお散歩、催し物会場等のあらゆる場所で、 熟年カップルが仲良く寄り添った姿を見るのは珍しくなくなった。 ようやく日本にも、夫婦生活を中心とする社会が訪れたのでしょうか。 HOME TOP NEXT |