第12回 こんな女に誰がした! 昨今は食品表示の不正が絶えない。 「やっぱり・・・」と思うものから 「ウッソーそんなものまで!」と驚くやら呆れるやら。 わたしは不正がイモズル式に暴露されるかなり前から、 なぜか表示を疑っていた。 疑い深いというよりは、確認作業を厳格に行っていたと言うべきなのか。 安全性を求めて信頼のおける生協を利用していたときも、 レジでアルバイトの青年に迫ったりしていた。 「無農薬ってあるけど、どうしてわかるわけ?」 「生産現場へ行ってチエックしていますから」 「毎日?」 「いえ、年に数回です」 「年に数回ねぇ、その間に不正がないとも限らないし・・・ それはどうチエックするのかしら? 」 「・・・店長! 店長っ! こちらのお客さんが・・・」 「ハイ、私が店長です、それはもう生産者との信頼関係でなりたっていますから」 その信頼関係がなりたっていなかったらしく、 ついに生協の不正表示が発覚したのは衆知のこと。 つまりチエック体制が敷かれていても、 企業や生産現場のモラルが欠如している限り、 不正はいつでもどこでも大量生産できるということになるようです。 そんな疑念を抱いている消費者にしてみれば、 なにもかもが不正表示に思えてしまう。 だれだって疑い深い性格にはなりたくなかったのに、 こんな女に誰がした! もちろん真面目な企業や生産者にはとてもお気の毒な状況と思っていますが、 消費者にしてみれば自分や家族の命や健康にかかわる重大事。 毎日の食生活の安全が脅かされるとなると、 きれいごとを言っている余裕などないのです。 読売新聞の<食品表示の裏側>というシリーズに、 例として缶コーヒーの香料に触れている記事があった。 タイトルは<消費者の不安に鈍感な業界、無認可香料求められる説明> 記事の概要は、 <コーヒーは殺菌などの工程でコーヒーの香ばしさが失われるため、 添加物の香料で香りを再現しているが(香料だったんだ!)食品表示では ごく少量の香料は表示する必要がない・・・> つまり、それが無認可香料であっても微量であれば 表示をしなくても良いということになっているのね? 認可されていない香料を使うことが許されたうえに、 量によっては表示をしなくても良いとは! こんなわけのわからない話が堂々とまかり通っている日本の食品業界。 無認可香料をよしとする行政指導は消費者をなめているわけね! 先日スーパーで無着色のタラコがサービスセールされていた。 売り場には大きく無着色タラコとこれ見よがしに広告の紙を張り出し、 パックの表面にも無着色と太字で印刷してあった。 タラコの無着色は色を見ればわかるので一目瞭然。 これはごまかしようがないと思い、 普段は高いので買う機会が少ない無着色タラコでも、 さっそく買うことにした。 カゴに入れようと手にしたパックを何げなく裏返してみた。 添加物と発色剤の文字が・・・そんな馬鹿な! 「ちょっとスミマセン、表は無着色、裏には発色剤? これなんですの?」 「ああ、それ? タラコは無着色、うえにまぶしてある小さなブツブツの粒、 ホラ赤いでしょ、それ発色剤」 無着色をこれみよがしにアピールしながら、 どうして発色剤なんかをまぶせるの! 表できれいごとを言って、裏をひっくりかえしたら・・・ このタラコの表示法、どうやら食品業界や行政の体質そのものなのね! HOME TOP NEXT |