ネット姫のつぶやき爆弾 辛口コラム


辛口コラム 第254回 不都合な真実、理想郷に人は住めない

ある日の読売新聞の読者欄に、16歳の高校生の投稿があった。
衆院選開票日の夜、家族でテレビを見ていたとき13歳の弟が
「駅で公約のチラシを配っていた人たちは、自分には渡そうともしなかった」と、
不満を口にした。
16歳の兄は「選挙権がないのだから、もらっても意味がないじゃないか」と言った。
すると父親は「今のうちから政治や選挙に関心を持っていた方がいいぞ」と、話した。

すばらしいご家庭ですね。
家族そろって衆院選の結果を見ている様子が目の前に浮かび、
それだけでも微笑ましく思いましたが、
このご家庭の日ごろの生活態度が感じられた。
選挙結果を見るだけでなく、
さらに一歩深めた教育をされているのをうれしく思いました。

13歳のボクちゃんが政権公約に関心を持ったのはとてもすてきなことです。
それに応えられなかったのは少し残念に思いますが、
政権公約のチラシは選挙資金が投じられています。
おのずから配布先は不特定多数ではなく、
選挙権を持つ者(年齢制限)に限られてしまうのは仕方がないものでした。

この年ごろから政治に対する興味を持っていると、
選挙のときだけの甘い誘惑の政権公約を看破する洞察力が培われると思います。
検証すれば疑問を抱くようないい加減な公約
(財源を無視して、気前のよいバラマキばかりを並べ立てるような内容)に
騙される人もいますが、その中には厳しい世の中を生き抜いてきた、
よもやと思われる人生の熟達者たちがいるのも事実。

読売新聞の展望2013の経済部長、斉藤孝光さんの「<理想郷>に迷い込むな」は
わかりやすく、教えられるところが多かった。

以下は引用要約。※は独断私見です。

・「消費増税がないユートピア」の住民は十分な社会保障を得られない。
(※消費増税に反対しながら手厚い社会保障を要求し、財源は知ったこっちゃないとする無責任な人たち)

・「TPPや原発のないユートピア」の住民は、雇用不安や生活水準の悪化を覚悟する必要がある。
(※生活水準の悪化を今は考えられない、またはあり得ないと考えている。そのときがきて今の生活水準が大きく壊れると「こんなはずではなかった」と目が覚める人たち。前政権の「あるあるユートピア」で実証済)

新聞のコラムはさらに続く。

増税も原発も国際競争も目先は痛みや不安をもたらす「不都合」かもしれない。
だが、そこから逃げて迷い込んだ場所は、弱者にこそ居場所のない社会だろう。
道は険しい上り坂かもしれないが、楽な道の先に楽な生活は待っていない。
ユートピアはギリシャ語で「どこにもない場所」を意味すると言う。
その場所を声高に語るものには気をつけたいと思う。

「ユートピア(理想郷)」について、劇作家の別役実氏は「現在我々が生息する環境における不都合な要素をすべて排除することによって可能な信じられないほど好都合な環境のこと。実験的にこの種の環境を創り上げてみたところ、そこには我々はいなかった」としている。その理由は「すべての不都合は我々がもたらしつつあるからだ・・・」

わたしの思いも続く。
ユートピアを求めても、そこに住めないのでは意味がない。そろそろ理想郷と現実は相いれないものと見極める覚悟が必要かもしれない。そこをしっかり認識することにより、政治への成熟した視点が磨かれるのではないかと信じています。

エラソーなことを書いていますが、なにも言わないよりはマシでしょ?

ちなみに増税反対を書いたわたしは、
やみくもに消費税アップを反対しているのではありません。
税金の使われ方を精査、明示してほしいだけ。
国家の財政状況を踏まえれば反対はできないとの心境です。


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