辛口コラム 第245回 オマタを全開モードで晒す男の心理はいかに?

以前、海上保安庁の48歳の航海士の男が、下半身を露出するなどして
逮捕されたニュースが流れた。
その前にも、通学途中の女子高生に自宅内から下半身を見せたとして、
33歳の男性会社員が逮捕され、
甲南大生ラグビー部の学生が、寺で下半身を露出もあった。

それほどめずらしいことでもないと思うのは、
ニュースになると「またか」と思うからである。

男性は恥部である自分の股間を、なぜ女性の前に晒したがるのか。

女性が恥部を晒す痴漢行為を、ニュースで聞いたことがない。
女性がオマタを全開させて恥部を晒すのは、あくまでも営業用であり、
それらの画像は、ウンザリするほど世間に溢れているが、
彼女たちには誰にでもわかる動機が存在する。

「お金が欲しい」
「手っとり早く有名になりたい」
「落ち目の人気を挽回したい」

それゆえ、世間もわたしもそれなりに納得できるが、
男性の股間ご披露は無欲であり、ただひたすら晒すのみである。
動機がわかりにくいから、理解できないのである。

動機というものが存在するとしたら、痴漢容疑者が語っているように
「反応を見たかった」「晒す行為がキモチがいい」となるが、
ますますわからなくなる。

昔の女性なら、他人に恥部など見られたら
自殺さえしかねないほどのショックを受けるはず。
昨今の金銭目的のイケイケ女性でさえ、営業用以外の場では、
少なからずショックを受けるのではと思っている(甘い?)

それが男性になると「股間ご披露はキモチがいい」とは、
難問クイズを突き付けられた気分になる。

この手のニュースが流れるたびに、わたしの婚期が遅れたのはこのせいだと、
痴漢被害者として、当時を思い起こすことになる。

当時、痴漢被害はわたしの生活に日常的に存在した。
そのころの世間には、痴漢行為をそれほど真剣にとらえない風潮があったように思う。

電車の中でのオサワリは数えきれなかった。
住宅街で前から疾走してきた自転車がすれ違いざまに、胸を掴む。
背後から抱きつかれたこともある。

交差点で信号待ちしていると、隣りに並んだ男性が
「お茶を付き合って」と誘ったが、無視して信号を渡り始めると
「生意気な女だ」と、背後からスカートの裾をギュッとつかんだ。
逃げようとすると、掴まれたスカートが公衆の面前でまくれ上がった。

土曜の真昼の渋谷の交差点の出来ごとだったが、
さすがにそのときはハチ公の横の交番へ飛び込んだ。

股間見せつけ被害にも、二度遭っている。

夏場はまだ明るいが、冬場は暗くなっている夜の7時ころ。
家に近い住宅街の路上の前方で、フェンスに向かって立っている男性が見えた。
様子からしてオシッコをしているらしいとわかり、
彼とは反対側の道路端を歩いてその背後に来たころ
彼はオシッコの姿勢で、突然身体をそのまま振り向けた。

彼は、オシッコなんかしていなかった。
股間を全開させたまま、獲物が通るのを待ち伏せしていたらしい。

幸い、もう暗かったのでまともに見ることはなかったが
彼がニヤリと笑ったのはわかった。
薄気味の悪さとショックで、家に帰りついてから
布団をかぶって泣き続けたのを覚えている。

別件は、今思い出してもどうしても信じられない。
身動きも取れないぎゅうぎゅう詰め状態の朝の通勤ラッシュ時、
それは地下鉄の車内での出来事だった。

座って目を閉じていたわたしが、ふと目を開けたとき、
満員の乗客の脚の間にチラリと何かが見えた。
なにかしらと、目を凝らしたとたんに信じられないものが飛び込んできた。
それが男性のむき出しの股間とわかり、その反動で思わず顔を上げると、
男と視線が合い、その男もニヤリと笑った。

次の駅で電車から飛び出し、トイレに駆け込んで思いきり泣いた。

隙間なく混みあった多くの視線がある車内で、
あのように大胆な行為がどうして出来るのか理解できなかったが、
状況を考えると、混み合っていたからこそ出来たのである。

わたしの座席の前には吊革につかまった人たちがいたが
肩は触れ合っていても、脚の間は隙間が生じていた。
その男は彼らの背後にいて、位置はわたしの真正面であり、
男はわたしの前に立っている人たちの背後から
脚の隙間を縫って股間を見せつけたのだ。
その位置は、吊革につかまった人の身体が邪魔をして
わたしの両隣の席からは死角になり、真正面からしか見えなかった。

周囲の乗客は下を向くでもなく、周囲を見るでもなく
それぞれが電車の揺れに身を任せているだけであるから
まさかすし詰め状態の車内で股間ご披露が行われているとは
だれも思わなかったのは当然である。
痴漢はその隙を突いたのであるが、悪知恵に呆れた。
それにしてもあまりに大胆過ぎて、果たして本当の出来ごとだったのかと、
今でも疑うほどである。

当時の痴漢被害を思い出し、なぜ勇気を出して声を出さなかったのかと、
今さらながら無念でならない。

今度こそ被害に遭ったら、昔の仇を1000倍にして取ってやると意気込んでいるけれど、
生意気に痴漢にも選ぶ権利があるとみえ、
被害者はより若い女性と相場が決まっているらしい。

うーん、またしても無念!


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