辛口コラム 第240回 たかが携帯電話、されど・・・

家の建て替えの際に、業者の出入りが多かった。
次回の予定を打ち合わせる際に、我が家の電話番号を聞かれた。
ついでに「携帯電話の番号は?」も。

決まり文句でもあるかのように、いろいろな場面で問われることが多い。

「スミマセン、携帯電話は持っていませんので・・・」
(なんであやまらなくちゃならないの?)

ホント、なんであやまらなくちゃならないの? と思いつつ
なぜか自分が携帯電話を持っていないことを詫びているが、
悪いことでもしたかのような気分にさせられてしまうからなのか。

ある日の読売新聞の投書欄に<マイナス面のある携帯電話の利用>のタイトルで
37歳の主婦の方から意見が寄せられていた。
内容は<子供に携帯電話を持たせるのは是か非か>という
テレビ番組を見た結果<非>の立場をとり投稿されたのだ。
非の理由のひとつには、友人と会っているときやひとりの時間を楽しんでいるときに
電話に割り込まれたくないというもの。

そういえば我が家の業者との打ち合わせの最中も「あっ、ちょっとスミマセン」と
どこそこの現場からよく電話が入るようだった。
凝った着メロの携帯電話に打ち合わせを何度も中断された。

あちらは小さな携帯電話機を隠すように両手で覆って
コソコソと遠慮がちに打ち合わせをしているから、その間こちらは手持ちぶさたのまま
相手の電話は聞いていない素振りをしなければならない。
貴重な時間を無駄に消費させられたような気がする。

携帯電話は便利なものだが、とても失礼な武器でもあると感じた。

主婦の方の投書内容は続く。
家族が携帯電話を持っていないため夫にはあらかじめ外出先などを教え、
夫も必要に応じて連絡をよこす。そこに相手への思いやりがあるとしている。
子供に携帯電話を持たせるのは子供の安全を気遣ってのことが多いようですが
自分の子供は携帯電話に頼らず、自分の頭を使って
安全を確保する方法を考えられるようにさせたい、としている。

2人に1人が携帯電話を所有するご時世に、なんとも勇気のある賢い選択であると感心した。

我が家は夫と2人家族であるが、前述の通り携帯電話は所有していない。
賢い主婦の方のように確固たる信念のもとに・・・というのではなく
「もったいない」がその理由。

わたしはケチな性分であるが、携帯電話に関する限りは
ただのケチで「もったいない」と思っているわけではなく
<経済性に見合わない>から。

出不精の専業主婦ともなれば、根っこが生えたみたいに朝から晩まで家に居座っている。
その家には、昔ながらの電話機も居座っているから、
携帯電話で用件を受ける環境など入り込む余地などない。
年に数回の外出のために携帯電話を所有するほど気前のよい性分ではないのも
原因のひとつ。

携帯電話が普及し始めた初期のころであるが、
外国のテレビのトピックスが衝撃的だったので、
未だに記憶に残っている場面がある。
事故に遭ってどうにもならない状況の男性が
携帯電話を使ってのSOS発信で奇跡的に救助されたニュースの再現である。
その後日本でも、事件や事故、災害等の場面等で携帯電話は威力を発揮している。

ある日、携帯電話について「我が家の陥落も時間の問題ね」と言ったのは、
日本での普及率が50%を超えたニュースのときその数字に驚き、
従来の電話機がすでに片隅に追いやられつつあると感じた夫婦の会話である。

しかし、その後のニュースが伝えていた内容にも驚いた。
「台湾では携帯電話の普及率が100.7%になりました」

夫が頭のてっぺんから声をあげた。

「冗談だろ! 人口より携帯電話機が多いなんて! ハイハイの赤ん坊からじいさん
までってことだよな?」

台湾では1人で2台持っている人も少なくないようです。

中国旅行の際には、中年の男性が携帯電話を左右の手のそれぞれに持ち、
あたりを憚らない甲高い声で両手の携帯を巧みに操っているのを
一度ならず出会いました。

携帯電話は緊急時には威力を発揮しますよね。
誘惑に負けそう・・・

(なにを今ごろ言っているの? もうスマホ全盛の時代だよ、ホント、呆れた人。)

 世間からズレている人の、言いたい放題コラムではありますが、
 本年もお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

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