第176回 それ、みんな捨てちゃうの?

以前から気になってしかたがないことがある。

閉店間際の手づくりケーキ屋さんで、ショーウインドウをのぞくと、
中にはまだおいしそうなケーキがたくさん残っている。

(このケーキ、どうするのかしら?)

代金を支払いながら(すこしオマケしてくれたら、あと二、三個買ってもいいけれど)
などと、心の中で思う。

それにしても、残ったケーキはどうするのだろう。

スーパーも閉店まであと1時間というのに、鮮魚や精肉はお客の数よりも多く残っているし、
お惣菜のコロッケやテンプラも・・・。
スーパーでは鮮魚をタイムサービスしているけれど、それでも残ってしまったら・・・。

お店の台所事情をいちいちあれこれ心配しても仕方がないけれど、
実際、気になっている。
捨てるという噂も聞いているから、家計を預かる主婦の身からすると、
あまりにもったいない話で、未だに信じられないのであるが、
最近の新聞で「捨てられる食料13億トン」の記事を読み、
現実に打ちのめされる思いがした。

この数字は、世界の先進国を中心に捨てられる食料量であり、
実に生産量の3分の1というから、まさに脅威的数字です。

捨てる一方で、世界の飢餓人口は9億人を越えるから、胸中はますます複雑になる。

昔、マクドナルドが「作ってから〇〇分経ったハンバーガーはすべて廃棄しています」
という意味のCMを流し、新鮮なハンバーガーの提供を強調していたが、
食べ物を粗末にする行為を臆面もなくウリにする商法に、疑問を感じたことがある。

当時のマクドナルドのハンバーガーは作り置きだったが、
現在は注文を受けてから作るオーダーメイドを採用しているので、
ハンバーガーを無駄にすることはなくなったようですが、
ポテトは未だに揚げてから7分経つと廃棄しているという噂もある。

そんな中で、廃棄処分された食料の有効利用をしている心強い団体もある。

新聞記事によると「セカンドハーベスト・ジャパン」は、企業や個人から無償提供された
賞味期限前の食品を、児童福祉施設などに届けるフードバンク活動を行っている。
カップ麺、缶詰、お菓子等、工場で製造された余りや在庫整理などあらゆる食品がある。

昨年の無償提供は1600トン、9.9億円相当だが、団体代表の井出さんは
「全国では毎年、この1万倍以上の食品が捨てられています」と述べている。

廃棄が多い理由のひとつに、製造日から賞味期限までを
納入、販売、消費の3期に分ける「3分の1ルール」という商習慣が存在し、
賞味期限まで1年の商品なら、製造から8ケ月過ぎれば店は撤去する。

つまり、まだ消費期限を4ケ月も残していながら、
すでに不用食品ということになるようである。

商習慣についてはよくわからないが、食料自給率が39%の日本で、
捨てられる食品が年間約1850万トン(2008年度推計)と、
こちらは脅威的であることがよくわかる。

現在70億人の世界人口は、2050年には90億人に達すると予想されている。
世界の食料危機は時間の問題となっている今、このまま現在の食料廃棄を続けては
いけないと、誰もがよくわかっていると思っているが、
商習慣等の問題は、個人レベルではどうにもならない。
よい解決方法はないのでしょうか。

(簡単じゃん! 商習慣を変えたら?)


HOME  TOP  NEXT