第172回 美魔女はイタイ

ネットニュース項目に
<第2回国民的“美魔女”コンテスト」グランプリ決定!>とあった。
聞きなれない「美魔女」とは何ぞやと、クリックしてみた。

<外見の美しさと内面の美しさを兼ね備え、年齢を感じさせない美しさを持つ
35歳以上の女性を“美魔女”として発掘し、日本一を決定するもの>

光文社が主2010年から開催しているが今年が2回目とか。

(へぇ、そうだったの)

今年の最終選考には2000名を超える応募者から選ばれた21名が美を競い、
水着での自己紹介やパーティードレスでのウオーキング、
審査員からの質疑応答で自己アピール。

2000名!

今年のグランプリは、モデル事務所を経営する「CEO美魔女」45歳の女性。

「おっぱい美魔女賞」
「腸美魔女賞」
「すっぴん美魔女賞」

このようなぶっ飛びネーミングの各部門賞も設けられ、
年齢を超越した美しい女性たちに贈られたが、
日本の女性のスタイルも若々しさも、ここまで来たかと感想を持った。

美魔女たちは、水着やパーティードレスで多種多様な余技を披露し、
審査員の質問にも答え、プロ並の技を披露する人もいて才色兼備?

経歴に会社経営も多く、美容室経営など独立心がなかなか旺盛のようであるが、
質問の答えに二度離婚や、審査員が「結構いろいろあるのですね」とコメントするほど、
離婚経験者が多いのも特徴である。

「有名なカメラマンがヌードを撮りたいと言って、だんな様が反対したらどうしますか」

この質問には、ほとんどが「許可をもらいます」と答えた。

許可があればヌードでも撮る? 
そこまでやるの?
なんのために?

彼女らは外見上の美を保つために、すさまじい努力をしているようでもあるが、
20歳に見えると評判の43歳の女性は、
スキンケアとエクササイズに1日5時間(!)かける。

いやー、信じられません。
ところで、内面の磨きの方は?

20代に見えると噂の今年のグランプリの45歳の女性は、
前述の女性に比べたらあっさりのようです。
それでも毎晩フェイスケアとして、
レンジで熱した蒸しタオルで顔を蒸らし(ヤケドは大丈夫?)
直後に氷水につける。(魚の炙り料理と同じ!)
化粧水は1時間ぬりまくる。(お顔の皮膚は耐えられるかな)
そのため化粧水は月4本。
(わぉー! 普通の家庭の食費と同じ?)

わたし、手足に塗る尿素クリームを顔に塗ってるの!! 
肌がきれいっていつもほめられるけど、シワもないよ。
美容法は楽天的が一番?

※過去のエッセイ「馬鹿は四足」に詳細あり。

若く見せるには、それ相当の努力とお金をかけなければならないようですが、
「美魔女」なるおどろおどろしいネーミング、仕掛け人が出版社、
審査員に名を連ねるのはタレントの叶恭子さん、川島なおみさん、
女性言葉を話す男性ファッション評論家等
(彼がファッション評論家? 彼自身のファッションセンスを検証し疑っている)
それだけでわたしなどは引いてしまうが、
美魔女なる女性たちの信じられない若さやライフスタイルが、
また世の女性たちの羨望を集め、熱い支持を得るだろうと予想した。

つまり、仕掛け人の思惑通りということになるようですが、
実際、ネットではかなり話題になっているようでした。

ネットに、美魔女たちの実際の20代のころの写真が掲載されていたが、
もとより美人の彼女たちの青春時代の写真は光輝くように美しく、
最近のアイドルタレントとは比べようもないほどである。

しかし20代にも見られるという今、
無理して見ればなんとか見えないこともないけれど
「何かが違っている」と感ずる。

実際は人生の年輪を重ねているのに、
顔やスタイルだけが遊離している「不自然さ」が、
どのように若く見える外見にも存在する事実を感じとってしまった。

それぞれの考えがあり、若く見られたい強烈な願望があっても不思議ではないが、
それに熱中するあまり、肝心の「経年の美しさ」の大切な観点が
欠落しているような気がしてならない。

とくに日本社会には、外見的な美しさや若さに対する
マスメディアの異常な執着が見られる。
女性たちをより多くの消費行動に走らせるための経済策略であることは明白ですが、
このような風潮が誤って受け取られると
「年をとるのは惨め」とのメッセージに受け取られかねない。

わたしは、無理をしないで上手に年を取っている女性に魅力を感ずる。
年齢を超越した、内面から生じる人生の年輪の美しさを見るからです。

老いとは、神様が人生の経年とセットでこしらえた逆らえないものである。
今は努力で一時的な若さを保っていられる美魔女たちも、
どんなに努力をしても、やがては抗えない老いを実感する時が必ず来るはず。
若さや美を追求しすぎる彼女たちのその時を考えると、
お節介ながらとても気になる。

女性ならば、美に対するほどほどの努力や憧れは持っているものですが、
極端に度を越した美や若さの追求は老いの否定につながり、
老いというものに対して、恐れや蔑視を抱くことにもなるはず。

ついでにのぞいたネットに、男性たちのコメントがありましたので参考のため。

・年齢相応の皺があったほうがオレは好きだ

・身の程を知った女のほうがいい。
 生活頑張ってる!って感じのおばちゃんの方が良い。

・どっちにせよ、「45歳とは思えない若さ」は
 誉め言葉じゃないと思うがな、
 年齢なりの美しさを評価しなきゃ駄目だろう。
 どう抗っても時の流れに勝てはせんのにな。

・20代から見ると、こういうオバサンは痛くて仕方ないな。
 そこらで苦労しながらも、ニコニコ子育てしてる母ちゃん達の方が全然良いわ。

・年相応の色気とか美しさの魅力を出せば良いのに、
 ただ単に実年齢より若く見えますってのは、
 自ら女の価値は若さだって負け認めてるだけじゃん。

・奥様変身みたいなコーナーでも、ぶさいおばさんがプロの手にかかると
 モデルレベルになるからな。結局普通の容姿レベルなら、
 あとは髪型やファッションでどうとでもなるんだよ。
 若さや美なんて、金持ちか金持ちでないかだけ。
 ただこの人達みたくそれだけに執着してるのは幼稚で痛い。

・美魔女ねぇ・・相変わらずマスゴミは一般に定着しないフレーズ作るの大好きだな。

・年取ったら大事なのは中身(内臓・精神)だよ。健康第一だよ

・なんか違うな

・気持ち悪い。見た目じゃなくて精神的に気持ち悪い。
 若さは若い奴に任せとけばいいがな 。

最近、45歳の美魔女コンテストの優勝者が、ついにヌードになった。
彼女は知的美人に見えたので好感を覚え、他の人とは違うと思っていたが、
「ブルータス、お前もか」の心境で、がっかり。

彼女はモデル事務所を経営する社長でもあり、夫もいる。
モデル事務所の社長ともなれば、撮影現場もよく知っているはず。
カメラマンのおだてに乗るようなことはないだろうと思っていたが、
違っていたようです。

彼女は、今以上の何を望み、何を手に入れたかったのか。
彼女のヌード写真と聞いてそれなりに好奇心的興味はあったけれど、
オトコノコたちの言っていた通りだった!

想像していたより痛々しく、見なければよかったと思った。



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