第170回 離婚の正しい原因は? 

芸能人が離婚会見で涙ぐみながらその理由について
「性格の不一致」や「価値観の違い」を口にする。
統計では一般人の離婚の原因も性格の不一致と不倫が一位、二位を占めている。

芸能人も一般人も人間である以上、
離婚について同じ結果が出ても不思議ではないけれど、
理由が腑に落ちない。

そもそも「あなた(おまえ)と一秒も離れるなんて我慢できない」と
結婚に至った経緯を考えると、今さらながらの性格の不一致はおかしい。
離婚したいほどの価値観の違いならば付き合っている時に
すでになにかしら目についているはず。

もとより違う環境で育った別々の個性は不一致が当たり前のもの。
もし一心同体と思い込んでいたとしたら、
結婚前は片目でしか見なかったので勘違いしていただけ。
結婚後に両目を開けてみたら「それほど好きじゃなかった」と、
離婚したい本当の理由は当然すぎるものであるようです。

その昔、結婚生活の消費期限については
「おまえ百まで、わしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで」と言われていた。

ちなみに賞味期限は食料品と同様に、あっという間に切れるようであるから
甘い新婚生活の賞味期限が過ぎ、さあこれから本番の消費期限に突入という時期になり、
ある日突然、ご飯をクチャクチャ食べるのが気になったり、
あたしはこれが好きなのにあなたは嫌なのね、と価値観の違いに気がついたりする。

ご飯をクチャクチャ食べるのは癖である。
心から相手が好きならばその癖を直させる努力をすればよいわけで、
努力なしに即座に嫌悪感を抱くのは別の理由があるからでしょ?

伴侶への愛情が、価値観の違いや性格の不一致を認め合う姿勢だとしたら、
突然の嫌悪感は、もともと相手をそれほど好きではなかったということに尽きるようです。
世間には価値観の違いや性格の不一致などをたくさん抱え、
それでもお互いを認め合い、それなりに楽しく暮らしている夫婦もたくさんいるのでは。

我が家も不一致や価値観の違いはアンデス山脈のように目の前にそびえているから
小競り合いもそれなりに多いけれど「好きで一緒になったんだもの」で、一件落着。

今では小競り合いも面倒になり、それなりに口争いの数が減ると
すごく仲が良くなったような錯覚を受けて
年を経るごとに夫婦仲が良くなっていると
勝手に思い込むのも悪くはないと思っていますが、どうなのかしら。

昨今の世間の結婚生活の不満を聞くにつけ、自分の不都合だけを主張して
相手を思いやる気持ちと努力が希薄になっているような風潮は、
すこしばかり切ない気がします。

ちなみに日本の離婚の現行法は
協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚を規定していますが、
日本では離婚の大半が協議離婚であるようです。
真偽のほどはわからないけれど協議離婚は日本が発祥とか、
どこかで読んだ覚えがあります。



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