第152回  裸の写真売ります

これは、産経ネットのニュース記事のタイトルですが、
携帯電話で下半身を露出した画像を撮影し、
出会い系サイトで知り合った男にメールで送信した女子高生3人が、
児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で書類送検されたもの。
少女らは「遊ぶ金がほしかった」と、
制服姿で下半身を出した写真など100枚近くを送信していた。

女子高生3人はネットを通じて、
携帯電話の掲示板に「パンツを売る」という内容を書きこみ、
男が「写メ売って。1人10万円出します」とアクセス。
女子高生らは学校の制服とみられる姿のままスカートをまくり上げ、
下着を下ろした下半身を見せた写真など100枚を2回にわけて携帯で送信。
顔を隠すことなく笑顔の写真もあったが、
事件発覚は、男が別の児童ポルノ事件で警察に逮捕されたからであり、
この男は、女子中学生にも裸の写真など20枚以上を送らせていたこともあるようだ。

この記事を読んだとき、自分の女子高時代を思うと、
女子高生らの行為がどうしても理解できなくて、
彼女たちがさながら宇宙人のように思えた。

わたしが通学していたのは、県下では良妻賢母教育に熱心な女子高だった。
その学校の制服に県下の女子中学生は憧れていたけれど、
晴れて入学すると校則と規律でがんじがらめで窒息しそうになった。

週に一度の厳しい持ち物検査、制服のチエックはことのほか厳しく、
胸の開き具合、リボンの長さ、スカートの長さをメジャーで測り、
冬の黒いストッキングは肌の透け具合、
夏の白いソックスは二つ半折りで網目の太さまでチエックされ、
喫茶店は出入り禁止、映画は父母同伴が条件だった。

それらを思うとき、今どきの女子高生の姿には隔世の感があるけれど、
すでに時代は流れ風俗も生活習慣も激変し、
女子高生の姿が変わったとしても無理からぬこと。

しかし、何が変わっても女の子が自分の体を大切にする
「貞操観念」のモラルは普遍のはずでしょ(?)

「テイソウカンネン? それって、どこの国の言葉?」

そう問いそうな彼女たちにしてみれば、
そのようなモラルはすでに博物館の陳列棚に納まっている、
時代物の展示物と同じような感覚かもしれない。

しかし、この子どもたちに罪はないと思えるのは、
それを生み出した社会環境もさることながら、
学校での教育や家庭環境に考えが及ぶからである。

同じ社会環境でも、まっすぐに育っている子がたくさんいることを思えば、
やはり家庭に問題があるのか?

事件の子どもたちも、最初からそこまで突っ走ったとは思えない。
必ずその前に何かの兆候があるはず。
日ごろから注意深く我が子に接し、
より多く子どもたちと会話を交わしている親の目には
その変化は感じ取れるはずではないの。

子育てに手抜きをすれば、そのツケはいろいろな形で回ってくる。

それにしても、彼女たちは究極の愚か者だけれど、ずる賢いところもある。
一目で学校が判別できる制服姿で、下半身を晒すおバカぶりにもかかわらず、
制服姿の女子高生の価値をよく心得ているからである。

以前、盛り場でガングロと称される土色の化粧をした金髪娘が、
女子高の制服姿で闊歩しているのを見た。
その印象はどう見ても仮装行列の出し物か、お笑い芸人の扮装にしか見えなかったが、
それでも彼女たちが制服姿にこだわるのは、それが売りだから。

たとえガングロ金髪でも、制服さえ身に着けていれば女子高生で通り、
その制服を目当てに一儲けたくらむ者、
欲望を満たすために買うものがすり寄ってくる。
特に後者に中年が多いのは制服神話に酔っているからなの?

昔の女子高生の制服は確かに
「まだ大人の女になる前の無垢な体」の象徴のようなものであり、
ある種の征服欲を男性に感じさせる存在だった。

その中身は今や金銭目当てに投売りされているというのに、
それでも中年男が制服姿に昔の夢を追っているとしたら、
愚かな女の子に群がる愚かな男の構図が浮かび上がる。
愚かな男たちはより厳しく罰せられるよう願っています。

日本社会はなぜかポルノに甘く、
ポルノ発信世界一の不名誉な称号も与えられている。
表現の自由の御旗のもとに、野放し状態の裸体画像、
性関連事件や残虐事件を誘発するようなきわどい内容の描写が
コミック等で氾濫しているけれど、子どもたちの人権を守るためには、
表現の自由にもある種の制限が加えられてしかるべきであると思う。

権利と義務はいつもセットで考えられるものであるはず。
マスメディアは表現の自由の権利を主張するならば、
適切でない画像をタレ流しさせない義務や責任もあるはず。
そうでなければ表現の自由とは、名ばかりのご都合主義であり、
オショーバイを最優先させる「表現の野放し状態」に過ぎない。

人権問題に成熟した社会である欧米では、
アニメのドラエモンやアンパンマンの殴りあうシーンでさえも、
削除か放送中止の対象になっているという。
幼児に与える悪影響を考慮してとのことであるが、
権利問題にアレルギー症状の日本社会は、
表現の自由を隠れ蓑にした画像のタレ流しに手をこまねいてるように見える。

これらには毅然とした態度で、厳しく対処して欲しいと願っています。



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