第148回 結婚バブル崩壊?

夫の故郷で甥の結婚式が出席した。
夫には6人の甥姪がいてその比は3対3。
二人の姪は既に結婚し、残るひとりも今年中に結婚する予定なので、
女は全員が片付くことになるが、男はまだ二人残っている。

二人の甥は共に30歳代に入り、昔で言うところの適齢期は過ぎている.
現在は結婚適齢期の定義が曖昧になり死語になっている感があるが、
本来は<結婚したいと思ったとき>がその人の適齢期と言うべきでしょうか。

問題は男性側に<結婚をしたいと思ったときがない>としたらどうなるの?

今、巷から聞こえてくるのは、若い男性に結婚願望がなくなってきているらしいこと。
もちろん農村部や離島のように、男性に結婚願望があっても
お嫁さんの候補が少なすぎるという例もあるが、
若者の結婚したくない兆候はかなり顕著になってきているようである。

たとえば、最近はお見合いパーティーでも女性の数が圧倒的に多く、
主催者が頭を抱える場面もあるとか。
少し前までは、女性は複数のボーイフレンドを使いこなし、
送り迎え専門のボーイフレンドは「アッシー君」と命名し、
クリスマスは高級ホテルを予約させ、
バレンタインデーのお返しは、海老で鯛を釣るなんて生易しいものではなかった。
ささやかなチョコひと箱で、ブランド物のバッグやアクセサリーを釣りあげる。
女王様のごとく振舞っていた、あの立場は逆転したの?

女性の結婚バブルは崩壊したの?

不況のせいもあるのか、昨年のクリスマスも今年のバレンタインデーの盛り上がりも、
例年と違ってメディアの露出も少なく、精彩に欠けていた。

最近の若い男性は、女性のために高級ホテルを予約したり、
プレゼント用のブランド物をあれこれ選ぶことを「面倒くさい」と感じていて、
女性に気を遣うより、自分の好きなことにだけにお金と時間をかけた方が
心地よいと思っている傾向が強くなった、という声も聞こえる。

車メーカーが若者層の購買を掘り起こそうと躍起になっても、
笛吹けど踊らずの感があり、若者層の車離れには拍車がかかっていると聞いている。

かつて、車はデートの必需品のような存在で、
助手席に恋人やガールフレンドを乗せて疾走するのが若者の憧れであり夢であった。
今は運転することも「面倒臭い」の範疇になっているようだ。

もっとも、映画やドライブが娯楽の双璧のような時代と違い、
今はあらゆる娯楽の洪水状態でその選択肢は限りなく拡がっている。
さらに輪をかけて、ネットや携帯に熱中して楽しむ時代でもあり、
わざわざ難しい運転免許証を時間とお金をかけてまで取得する必要はない、
ということになるのでしょうか。

読売に<安定志向の「草食系男子」>の記事があり、30歳の男性会社員は語っている。

「終電車がなくなったら、女友達とラブホテルへ行き、一緒に眠ります。
 何もしません。ただ眠るだけ」

「草食系男子」とは、コラムニストの深澤真紀さんが
「最近の20〜30歳代の男性は異性にガツガツせず、
 男らしさにもこだわらない」とし、温和な男性を名づけたもの。
(日本人は呆れるほど、この手のネーミングが好きなのね)

昔ならば「隙あらばオオカミに変身」した男性は、
今や男性のために売られているブラジャーを着用し、すね毛を剃り、
女性顔負けのエステにも精を出す。
ビールもホップの利いた苦いものはダメと味覚も変わってきている。
居酒屋ではビールよりも甘いカクテル系やフルーツ飲料が人気であり、
ビールメーカーは若者好みの苦くないビールの開発に躍起になっている。

「男は男らしく、女は女らしく」の教育を受けて育った身には、
 男性が限りなく女性化していると映りますが、
 NHKスペシャル「男と女が消える? 人類滅亡?」のドキュメンタリーて納得。

以下はNHKのサイトから引用。
「性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7千万年前に獲得したこの性システムの
 おかげで、私たちは命を脈々と受け継いできた。ところが、この基本そのもので
 あるシステムは、大きく揺らいでいる。実は男をつくるY染色体は滅びつつある。
 専門家は「数百万年以内には消滅する」という。
「遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者がそろって初めて子孫をつくるという
 のは、私たちほ乳類が独自に獲得した方法だ。ほかの生物はメスだけで子孫を残せ
 る仕組みを持っている。そのほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を支えた一方
 いよいよその寿命が崩壊する」

男性を特定するY染色体が消える運命にあるのは、
人間の寿命からするとまだまだ先のことだけれど、
宇宙カレンダーではあっという間の出来事。

男性が女性化しているのもその前兆? と勝手に結びつけて想像してしまったが、
テレビドキュメンタリーで見た30歳代の男性にショックを受けた。

彼は生身の女性には全く興味が持てないと言い放ち、
パソコンを操る傍らには、極端に女性の肉体を誇張した
アニメの女の子の大きなフィギアがたくさん並んでいた。

「生身の女性は年を取って汚く変わるからいや。
 でもこれはいつまでもきれいで変わらないところがいい。
 これさえあれば女性はいらないし結婚も考えていない」と彼は言い切った。

人形はいつまでも若くて美しいが、
生身の自分が年を取って変わっていくことを彼はどう捉えているのか。

人間が経年で外観が変わるのは当たり前。
それゆえ年代ごとの美しさや人生の微妙な味わいを実感できると思っているが、
彼がそれに気がつかないのが残念だった。

男性が女性に「男性としての興味」を持てなくなっている事実に、
「結婚に対する危機感」を覚えた。

昔は適齢期になればなんとか結婚できた時代もあった。
男性が結婚に興味を示さなくなった現在は、
女性が結婚するには就職活動と同様の、戦略や努力を要する「婚活」とやらが必要
と言われているが、男と女がきちんと向き合ってお互いの存在を認め合う、
そんな当たり前のことが出来る世の中であって欲しいと願っています。



HOME TOP NEXT