第146回 現代の怖い婚活事情

<婚活>という言葉が流行っているようですが、
この流行語は社会学者山田昌弘さん、物書きの白河桃子さんの共同著書
「婚活時代」の「婚活」から始まったようです。
造語の流行に血道をあげているマスメディアの格好の材料となり、
たちまち全国区に認識される流行語となった。

恋愛の規制緩和とも言うべき自由恋愛や、女性の社会進出等の現代の社会的要因から、
男女ともに結婚したくてもできない人が増加し、現代社会では就職活動と同じように
結婚についても結婚活動(婚活)が必要なようです。
就職活動のように積極的な活動を行わないと、結婚も困難な時代ということなのでしょうか。

昔は男女を結婚に結びつけるのは、地域や親戚、知人のお節介さん、
あるいは職場に顔を出す保険勧誘のオバチャンたちが重要な役割を担っていたけれど、
人付き合いが疎遠になった現代社会では、会費制のパーティや合コン等の
集団お見合いとなるのでしょうか。

そのような場で、女性が男性に求める条件は、
まずは経済力のあるなしが筆頭に上げられるようですが、
これは男女同権以前の昔も、以後の今も変わっていないように思えます。

そういった気持ちは現代の女性の方がより強いような気がします。
あくなき消費生活で贅沢になれた身は、結婚後もその生活水準を維持したいと願い、
お金持ちのお坊ちゃんを掴んでセレブな生活をしたいと夢見る。
夢の実現のために、医師や弁護士といった職業の会員制のパーティーを選んでは、
着飾って出かける。

その婚活ドキュメンタリーをテレビで観たが、結婚の意味をあらためて考えさせられました。
彼女たちの意味するところの表現を言い変えるとするならば、
「夫の経済力に寄生してより贅沢をしたい」ということになるのでしょうか。

どこかおかしいと思わない?。

男女同権と声高に主張する一方で、
結局はお金持ちの経済力を自分の生活のアテにしようとする魂胆は、
ずっと不変のままだから、なんだかスッキリしない。

わたしは結婚に条件などつけなかったけれど、
望みとしては「自分が自分らしくいられる相手」しかなかったから、
ちょっと違うのではと思ってしまう。

一方の男性は、妻となる女性への希望として、
<優しい人>が断然多いようですが、これも昔から変わらないようです。

女性は<お金>を、男性は<心を>を求めるすれ違いの結婚観。

このようなことを思ったのは、最近たて続けに2件の「結婚詐欺事件」で
逮捕された女がいたからです。

ひとりの容疑者は、ブログでセレブ生活の様子を綴っていたが、
無職の容疑者の周囲で6人の男性が相次いで不審死しています。
女は、6人とそれ以外の男性に計1億円近くを貢がせ、
高級賃貸マンションに住み、高級外国車を手に入れていた。
3カ月で約70万円の受講料(バッカみたい!)とされる
高級料理教室にも通うなど、セレブ生活を送っていた女。

(それにしても、3ケ月70万円の受講料の料理教室ってどんなもの?)

まだ事件の全容は解明されていませんが、容疑者の年齢が34歳と35歳であり、
手口も睡眠導入剤を使っているなど酷似していたので、
当初は混同して一人の容疑者の事件と勘違いしていました。

新聞広告の週刊誌の見出しに両容疑者の印象を
「さすがのマスメディアも美人とは書けなかった」とありましたが、
女性が主役の記事のほとんどに「美人」と形容詞をつけたがるマスメディアが、
その言葉は使えないと躊躇したようであるから、
今回の結婚詐欺容疑者たちの美人度は推して知るべし。

それにもかかわらず、被害者となった男性たちは
驚愕するような大金を与え続けています。

これは何を意味するのでしょう。

男が女に多額のお金を貢ぐとしたら<美人>か<優しさ>が双璧のはず。
容疑者が美人とは言い難いとしたら、
類まれなる演技力で女の優しさを演出したとしか思えません。

昔は結婚詐欺の被害者は女性が当たり前でしたが、
現代では男性も油断できない世の中になったようです。

女性をターゲットにした結婚詐欺は、小説や映画の種になるような荒唐無稽のものがあり、
かつては純粋の日本人男性が米国人のパイロットになりすまし、
英国のエリザベス女王と縁戚関係と言いふらし、
荒唐無稽の限りを尽くした結婚詐欺師がいました。
その被害額も驚くべきものでした。
(第166回、クヒオ大佐に見る女性の結婚願望に詳細)

しかし、男性が女性をターゲットにした結婚詐欺では、
複数の殺人容疑事件に発展するような残酷なものはほとんど聞いたことはないけれど、
男性をターゲットにした女性による結婚詐欺は、
今回の状況を知ると、ひどく残酷であると感じました。

婚活に励む男性たちは、女性から<お金>を言い出されたり、
必要以上に<優しく>されたら、
まずは怪しむことも自衛手段のひとつとなるようですが、
いやな世の中になりました。



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