第103回  アナタの道徳観は?

テレビ番組で「あなたの世間での道徳観をチエック」と言う項目があった。
司会者の質問にゲストが回答を記入し、後でそれを分析するものである。
9問の設問に視聴者も参加きるようになっていたので、さっそくチエックを試みた。

結果は9点満点のうちの8点。

えっつー、そんなに高かったの? 
正直な感想である。

日ごろの自身の胸中(行動ではない)を検証すると、
いかにも高すぎるような気がする。

司会者は設問に対して「何も考えずに直感でチエックしてください」と、
繰り返し言った。
あれこれ考える余地を与えないことで、
その人物の深層心理を浮びあがらせる魂胆なのか。
素直なわたしはその通りにしたが、ある設問だけはすこし躊躇した。

「だれも見ていないときに1万円拾ったら、ネコババしますか」

1万円をネコババするのはかなりコワイ気が・・・
5千円では?・・・それもまだ・・・
千円は?・・・うーん、ちょっと・・・

でも500円玉なら「トクしちゃった!」と、思うかもしれない。
それでもチエックは「ネコババしない」のNOにつけた。
設問の額の1万円ではなかったから。

この場合は1万円の額を気にしたけれど、道徳観は額の多少に関係なく、
結果は1円でも1万円でも変わりがないはず。

番組で設問をなぜ1万円と設定したのかわからないが、
それなりの理由があるのだと思う。
あまり額が低すぎると面白くないから?
その観点からすると1万円は微妙なラインである。

当然のことながら分析結果はわたしの<真の道徳観>ではないと思っている。
500円ならネコババする可能性があるから。

世の中のリサーチ全般はどうなの。

調査方法にもよりますが、いろいろな調査結果を新聞やテレビで知るとき、
このような結果でもたらされた回答内容で世論が左右されるとしたら、
かなり怖い。

今日は日ごろの怒りや嘆きはさておき、
たまには柔らかい内容をと思うので話題を元に戻しましょう。

おサツは警察(サツ)に通じているようで躊躇するが、
玉となると<丸く納める>意識が働くためなのか、
わたしの道徳観では500円はネコババする可能性があるとわかった。
道徳観の云々よりも小心者と自己分析した。

お札をネコババできないのはその額ゆえに、
「誰かに見られていたら」「もし、後から遺失物横領(?)がバレたら」と
怖いからである。
度胸さえあれば・・・。

ちなみにわが友人知人に同様の設問をしたら、100%がネコババ!
わたしはこのような友人たちを「度胸がある!」とほめてしまったが、
これは道徳観からすると問題発言になるはず。

それはさておき、
この手の設問はかならず夫にもしたくなるのがわたしの趣味でもある。

「ねぇ、誰も見ていないところで1万円拾ったらどうする、届ける?
 それともネコババしちゃう?」
「くだらん質問だ!」

「くだらないけれど、どっちなの?」
「くだらん!」

「だからぁ・・・」

と、ここでいつものように諦めた。

なぜか夫は答えたくない質問はすべて「くだらん」か
「またぁ(そんな質問を)」で済ませ、
これまでにも数々の尋問をかわしてきた。

しかし、夫が「届ける」と言ったらどうなの。

「あらぁ、そんなに殊勝だった?」と、ツマはきっと声をあげて笑うかも。
「ネコババする」と答えたら「やっぱり、そういう人だったのね」

長年、一緒に暮らしていると、
大抵のことについてお互いに相手の胸中を読めるようになっているはず。
そのせいか、夫は絶対にこの手の質問の誘いには乗ってこない。
男性たるものはツマにからかわれたり見下されるのが、
そんなにイヤなものなの?

わたしは素直なので(?)質問されないうちから何でも答えて、
自分の胸の内をすっかり見せているから、
(大抵の女性はこれ? 通説ではオシャベリと称されるもの)
夫の態度はちょっと水臭いといつも感じてしまう。
その一方で、想像する楽しみやミステリアスな部分がちょっと気になり、
それはそれでいいかもと思う女心でもあります。

ところで、アナタは誰も見ていないときに1万円拾ったら
どうなさいますか?

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