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3月19日(土)
「ではもう、この状態をどうすることもできないということですか?」
「……ハイパーレスキューがいるわ」
「!?」
「ハイパーレスキューと放水車なら、核燃料プールに注水できるわ」
「そうよ! ハイパーレスキューなら放射線なんかに負けないわ!」

『ジュエルペット てぃんくる☆』を見ていて妙な妄想が浮かんだけれど、これは流石に不謹慎か。
まあ、不謹慎を承知で、東京に来ている福島県人として少しだけ。

良く勘違いしている人がいるけれど、首都圏で行われている計画停電は被災地の為じゃないんだよ。原発を含めた発電所が地震の影響で停止して、首都圏に供給できる電力が需要を下回っているのだから、計画停電しても被災地へ送る余剰電力なんて生まれない。電力に余裕があるなら、そもそも計画停電しませんからね。
もう一つ言うと、東北地方での電力不足と福島の原発は無関係。福島や新潟の原発は首都圏へ電力を送るための施設だから、福島の原発が停止しようが廃炉になろうが、東北地方の電力供給には影響が無い。福島の原発から送電が止まって困るのは首都圏だけ。
なので、今回の放射能漏れ騒動は首都圏の過大な電力需要のとばっちり、ということ。
これまで首都圏に電力を供給してきたのに、今後何年も放射能漏れの風評被害を受けることになるんだから、恩を仇で返される福島は堪ったもんじゃないな。原発が建てられた地元自治体には補助金が出ていたけれど、その周辺の自治体は何も恩恵がなく被害だけを受けるんだから尚更ですよ。

電力を安定して供給するために、火力や水力だけでなく原子力も組み合わせて多角的に発電を行うことは、個人的には間違っていないと思う。ただ、現実的に、これほどの大事故にされてしまった(原子炉そのものは正常に機能停止したのに、冷却に失敗し続けたのは明らかに人災)のだから、原発反対の声は以前に増して大きくなるはず。
そうなれば、電気料金は値上げするしかない。従量部分の料金を、できれば恒久的に。少なくとも、原油価格が上昇している状況で原発が止まったのだから、今の安い電気料金は早々に見直す必要がある。
どんなに安全性を高めても原発の新設は世論が許さないだろうから、四十年も前の古い(=安全性の低い)原発を廃炉にするには、電気代を上げて自主的に節電してもらうしかないと思う。今の時点で原発に反対する人がどんなに多くても、電力需要が減らない限り、電力供給は決して減らせないんだから。
将来的には、太陽光や風力、地熱などの利用が進むにしても、その設備を整えるには時間も費用もかかる。時間を短縮するのは政府の仕事でも、費用は電気の利用者も負担するのが筋。
まあ、費用は税金で補填する方式でも良いんだけれど、電気代上乗せ方式だったら、節電したり太陽光パネルを設置した人に恩恵があるからね。省エネ製品の開発を後押しすることにもなるし。

この先、いざ電気料金を値上げするという話になれば、必ず反対する人が出てくると思う。一部の政治家やマスコミも、庶民の味方を気取って、東京電力のミスをあげつらって、あるいは原発利権を殊更に騒ぎ立てて、値上げ反対をアピールしてくると思う。
でも、彼らに同調して原発も値上げも嫌だと叫ぶのは無責任だということは、皆に覚えていてほしいな。もっとも、仮に原発を維持することになったとしても、廃棄物の処理コストを考えれば、いずれにせよ値上げせざるを得ないんだけれどね。


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