実録!ヤミ金バトル40日〜その3〜 |
10月18日 というわけで、昨日からうちの職場にナンバーディスプレイが導入されました。そして、非通知で電話してくる相手は着信拒否、も セットでつけることにいたしまして、顔なじみのお客さんとか会社さんがいらっしゃるたびに 「いやーこれこれこういうわけでご迷惑をおかけしますが、通知してお電話くださいますようお願いいたしますねー。」 なんて、その都度ご説明。やれやれ、こっちが被害者なのになんでこんな手間をかけさせられなきゃならないのやら。でも、以前に 比べて明らかに電話の回数は減りました。それだけでもなんか幸せ。 そして、あたしはナンバーディスプレイ付の電話を使うのは今回が初めてのため、いろんな意味で新鮮気分を味わってます。RRRRR・・・・て 電話が鳴ってナンバーが表示されて、それがよく知ってる番号からだったりすると ”あ、これ××さんだ” とかってふっと顔がほころんだり、札幌じゃない市外局番の番号が表示されると ”何だろ。お客様かなぁ?” とかってわけもなくドキドキしたり。 そうして何日かは平和な業務を営んでいたのだが、数日後、あるできごとが起こった。 10月23日 RRRRR・・・・・ 久しぶりに朝一発目から電話がかかってきた。しかも相手は03−××××−××××と東京の番号。 そのディスプレイを見てあたしがのへらーっと 「あー、なんでしょう。東京から電話かかって来ましたー。」 と受話器も取らずに(取れよ)構えていたら、タカノ所長が 「おーう!それきっとヤミ金だわ。どれ、俺が出てやる。」 言うが早いか勇ましく手元にあった電話の子機を手にした。 すると ”・・・・・・・・!” 受話器の向こうから男の声でなにやらまくし立てているのが遠く離れたあたしにまで聞こえてきた。そこでタカノ所長が 「バーローなめてんじゃねえぞクソ坊主!こっちがおとなしくしてりゃ調子に乗りやがってコノヤロー。もうお前らなんか 袋のネズミだかんな。こっちはいろいろ手を打ってあるんだから、あとから泣きを見ることになっても知らねーぞ。」 お客さんが近くにいるのにでかい声でこんな事をしゃべるうちのタカノ所長。あああ、本職のチンピラよりガラが悪いですうぅ。 でもって数分の間タカノ所長とヤミ金でやり取りが続き、最後に一言、うちの所長が 「てめーら、あと数日の寿命だからな。覚悟しとけよ。」 ひときわ大きな声で駄目押しをして電話を切った。 「よし、言うことは言ったぞ。」 満足そうにほくそえむ所長。で、続けてミヤコシ次長が言った。 「しかも着信履歴に電話番号も残りましたから、これでもう完璧ですね。」 「おうよ。だけどこいつもバカだよなー。いくらこっちが非通知を着信拒否にしてるからって、番号通知して電話かけてくるかぁ?今頃こいつ、兄貴分に ”何やってんのよ”とかってボコられてんじゃねえの?」 ひゃっはっはと笑うタカノ所長。確かにこのヤミ金、やることが最後の最後でマヌケ過ぎ・・・・・ というわけで、ナンバーディスプレイに残った番号を警察に知らせ、それでやっと警察も重い腰を上げて捜査を始めてくれた。そして、このヤミ金業者がどうやら 捕まったらしいと聞かされたのはそれから約3週間後の11月中旬ごろのことだった。 11月18日 「かんぱーい。」 この日の業務が終わった午後5時過ぎ、奥の応接セットに缶ジュースとたい焼きを広げて、ささやかながら”ヤミ金一網打尽おめでとうパーティー”である。 そしてこの日は、ヤミ金から逃れるために一時実家に帰っていたモリタさんも来ていた。心配の種がなくなったからか、心なしかふっくらして見える。 「やーみなさんすいません。こんなことに巻き込んでしまって。」 申し訳なさそうに頭を下げるモリタさん。で、あたし達は 「いやいやー、モリタさんの息子さんとか実家のお母さんに何も害が及ばなくてよかったよ。」 「そうそう、モリタさんは何も悪くないんですしね。気にすることはないですよ。」 口々にモリタさんをなぐさめる。まあそれに、こういう貴重な経験をさせてもらうことである種の社会勉強にはなったしね(笑)。 その後のうちの職場− やがて、あたし達は何事もなかったかのようにまた今までどおりの普通の毎日に戻った。けど、ナンバーディスプレイは思いのほかに便利なので、ヤミ金攻撃がなくなった後も そのまんまにしておいた。そしたら、いろいろな珍現象がおきるようになっちゃって。 たとえば、あらかじめ電話帳コマンドに相手先の電話番号と名前を登録しておくと、その相手から電話がかかってきた時に ディスプレイ画面に電話番号だけでなく相手の名前も表示されるのだが、それがよく知ってる相手からの電話だったりすると RRRRR・・・・・ あたし心→(あ、○○さんからだ) 受話器を取って あたし「こんにちわーいつもお世話になっておりますー。」 相手「・・・・・あの、××(うちの職場の名前)さん・・・・なんですよね?」 あたし「(しまった←内心動揺)・・・・・あ、もーしわけございませーん、××のコジマですー。」 相手は当然、先方がナンバーディスプレイをつけてるなんて思いもしないから ”何で受話器を取る前からこっちのことわかってんの?” みたいな感じで怪訝な反応を示す。 おかげで、ナンバーディスプレイに番号が表示されて、親しい相手からの電話だとわかっていてもそ知らぬ顔をして 「ありがとうございます。××のコジマです。」 なんていうテクニックを身に着けました。いやーでも、知ってるのに知らないフリをするって結構大変よねえ。 まあでもこれは、かかってきてうれしい相手からの電話だからまだいいんだけど、これが今度かかってきて欲しくない相手からの電話だと、またややこしくなっちゃうのよねえ。 たとえば市外局番0134からかかってくる電話。 ここからかかって来る電話って、ほんとロクなのがないんだよね。だいたいが ”おたくが○月○日にやった処理に不備がありますから、お客さんに連絡を取ってやり直してください。” 系の電話。ディスプレイ部に ”0134〜” なんて表示されようものなら 「あ、なんかやだこの電話。コジマさん出て。」 「えー!?ここからかかってくる電話って、だいたいがあたし達ヒラだけじゃすまないようなこじれた話ばっかじゃないですかー。先輩出てくださいよー。」 とかって電話の押し付け合いになっちまいます。そういえばこの前もあったなー。 名前のフリガナが違うのでお客様に確認して訂正印もらってきてくださいっていう電話があり、おって届いた書類を見たら、書類に書いてある名前はカタカナで ”モヨ”さん(仮名)なんだけど、フリガナは”チヨ”さん(これも仮名)になってて、あたしは ”なにい〜?” と激しく脱力。というか自己嫌悪。 ”なんでこんな凡ミスをやらかすのよあたしってば。こんなんその場でお客さんに確認してはんこもらえばすぐ済むことじゃん。” ってね。 でもまあ、あたしが見落としてたのが悪いのには変わりないので、すぐさまお客様に電話をかけて連絡を取った。 だが− お客様「ああ、その名前?それでいいのよ。」 あたし「・・・・・え?」 お客様「え?じゃないわよ。だから、カタカナで”モヨ”って書いて”チヨ”って読むのが正しいのよ。」 あたし「!・・・・・・は、はあ。そうなんですか?」 お客様「そうなの!小学校もろくに行ってなくて字の読み書きができないうちの祖父が付けたんだからしょうがないじゃないのよ!何だったら戸籍も今手元にあるからウチに来て確認しなさいよ!」 というわけで、お客様の家にお邪魔しまして戸籍謄本を見ましたら、本当に ”モヨ” と書いて読みは ”チヨ” さんでした。なんでも、名前を書くたびにあたしのようなことを聞かれていちいちうさん臭い顔で見られるのがイヤなので、3ヶ月に1回戸籍謄本を取って 肌身離さず持ち歩いてるんだそうな。年に何回も戸籍取るって何かすごいぞ。 まあとりあえず、この件はその旨を市外局番0134の部署に電話をかけてお知らせして、これはこれでチョンになりました− だけど、カタカナで名前書いて読み方は表記と違うって、ふつーありえないじゃん!まあ確かに”モ”と”チ”は似てるっちゃあ似てるし、小学校行ってなくて字が読めない というのなら、混同しちゃったというのもアリかなっていう気もしなくはないけど・・・・・ でも、あまり奇抜な名前をつけるとその後の人生いろいろと大変になっちゃうね。 てゆうか、世の中ってほんと、奥が深い・・・・・ さらに激しく脱力しながらお客様宅から職場に戻る道を歩くあたしなのでありました。 ああ、あとかかってきたらイヤな電話ネタといえば、 ”011−211−(以下略)” からかかってくる電話もイヤだね。これもほんとロクなのがないの。 「お宅で△月△日に受付しました入院保険金のお支払いですが、このお客様、過去にご病気にかかっておられたのを隠して保険に加入している疑いがありますので 至急お客様にご連絡を取って調査をお願いいたします。」 ああああっ!やめてええええっ! 失礼。話があちこちに脱線してしまいました。 というわけでこれが、一連の騒動がおさまったあとも引き続き有形無形の影響をうちの職場に与え続けている ”ヤミ金体験記” の顛末なのです。みなさまここまでのご閲読まことにありがとうございました。それでは最後にあたしからひとこと。 ”みんなー、お金の貸し借りには十分注意しましょうねーっ” ↑今回の場合、なんかちょっと違うような気が(汗)。 |
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