ドラゴンフライ ミール宇宙ステーション・悪夢の真実

ブライアン・バロウ著

「フェイズ1」と呼ばれたミールにアメリカ人飛行士を乗せるミッション。
国際宇宙ステーション(ISS)ミッションのさきがけとして行われたこのミッションの真実を暴く本である。
「二酸化炭素分解装置が壊れ、船内の二酸化炭素濃度が上昇しているさなかでも日課のトレーニングを
やめないアメリカ人飛行士」「船内にキノコが生えた!!」「船内で火事を起こし、何とか消火」「毎日の日課は
壁の結露取り」「補給物資を積んだ無人宇宙船とのドッキングをコンピューター無し(距離の測定は窓から
見てレーザー測距計で測る)で行い、案の定無人宇宙船がミールに激突して壁に穴があく」
「船内の空調設備が壊れて気温は38度」「停電してしまいコンピューター停止、止まってしまった
ステーションの自転を窓から天測してマニュアルで復活させる」
こんな記述が目白押し。
どんなSFも「人間が宇宙で暮らす」ということのリアリティではこれにかなわないだろう。
そして火事が起ころうと壁に穴があこうとあんまりうろたえないロシアの地上管制官達も凄い。
危機感が無さすぎ。
火事を起こした酸素発生装置はISSにも積まれているので、また火事が起こったりしないかと
ちょっと心配。

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