僕らは星のかけら 〜原子を作った魔法の炉を探して〜

マーカス・チャウン著

我々の体、大地、空気、水・・・。
この宇宙において全ての物質の構成要素となっているのは様々な原子たちですが、ではいったいその原子たちは
どのようにして誕生したのでしょうか?

この本は物質の根源を探るというところから始まり、ついに原子を作った魔法の炉にたどり着くまでの科学者達の
紆余曲折を描いた本です。
といっても非常に平易な語り口で原子物理学に造詣の深くない人でも読みやすいのではないかと思います。

第13章でのベリリウム8、酸素16、炭素12の性質の絶妙なバランス(どれか一つの性質が少しでも違うと
この宇宙の原子の存在比は全く違うものになってしまう)といった話は驚きでした。

全ての原子は星が輝き、衰え、超新星となって爆発するまでの生涯にその星の中で生み出されます。
宇宙空間に広まったそれらが私達を構成する原子たちのルーツなのです。

「僕らは星のかけら」という題は本当に的を得ていると思いました。
科学啓蒙書だからといって常に無味乾燥なのではないとこれを読んで認識を改めさせられました。

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