秋庭 俊著
戦前の東京に開通していた地下鉄は銀座線のみだったというのが世の中一般の常識ですが、この本はそれに
真っ向から疑問を投げかけます。
地図によって食い違う地下鉄路線の位置、なぜか全く不明な国会議事堂の真の設計者、謎の階段が記載されている
憲政記念館の国会議員専用案内図、一つだけヤードで設計されている丸の内線のカーブ半径など数々の謎を提示し、
それを関係者の証言や地下鉄の図面、路線計画図などを漁ってたどり着いた結論は
「東京には戦前から現在同様の地下鉄網が存在していた」
これだけでは単なるトンデモ本のようですが読んでみると証拠のあまりの多さにそんな気もしてきます。
また、はっきり語られてはいないのですが
「この図面を出すと本が出せなくなると編集サイドから警告された」
(戦前の地下鉄4号線の計画ルートに沿って存在する地図に載っていない政府専用?地下駐車場についての項)
なんて台詞もあり、いかにもな感じです。
残念な点としては一つ一つ証拠を丹念に検証していくといったスタイルではなく、勢いに任せて突っ走っているため
いかんせん我田引水に感じられてしまうところでしょうか。
また後半の”地図の暗号”についての項はさすがにちょっとついていけませんでした。