宇宙のゴミ問題

八坂 哲雄著
(非常に平易で読みやすくまさに”入門書”といった感じです)

「宇宙でゴミ問題?そんなもの宇宙船の外に捨てればいいだけじゃないの?」なんて思ってしまいますが、
そううまくはいきません。
宇宙船から外に捨てたゴミはそこに静止しているわけではなくそれもまた地球の衛星軌道を回り続けるの
です。
衛星軌道にはこういったもの以外にも機能を停止した衛星やロケットの最終段、衝突によってばらばらになった
人工物体の破片などの”デブリ”が大量に漂っているそうです。
ゴミといっても衛星軌道上なもんで速度は秒速数キロ。ほんの小さなものでもその運動エネルギーは馬鹿にはなりません。
NORAD(北米防空局)が軌道上のあらゆる物体のカタログ作成(当然デブリも含まれる)を行っているそうなのですが
観測機器の限界から直径1〜10cmのものは捉えることが出来ないので衝突の予測も不可能とか、現在衛星軌上
にある物体のうち役に立っている衛星はたったの6%(!!)で残りはみんなデブリだとか、軌道上のデブリの密度がある値を超えるとデブリの自己増殖(衝突しあってまた新たなデブリを生み出していく)が起こる可能性があるとか
なかなか衝撃的なことも書いてあります。
デブリの自己増殖(ケスラー・シンドローム)については昔とある漫画で読んだ事があったのですが、そのときは
作者の勝手な考えだろうと思っていたことがきちんと科学的に証明された事だったのが驚きでした。

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