「きみたち、もう大丈夫だよ。今のうちに
早く逃げなよ」

 ふとんをめくると、トン吉とジンベイが
出てきました。ふたりは涙顔です。それを
見たひろしはフフフと笑いました。

「ねえ、ぼくたちが怖くないの?」
 トン吉はひろしに聞きました。
「壁からにょろっと出てきたときはびっくり
したけど、怖くはないよ」

「トイレに行くときビクビクしていたろ?」
 ジンベイも聞きます。
「それはビクビクしていたんじゃなくて
もれそうだったからモジモジしてたんだよ」

「なんだあ!」
 三人は顔を見合わせて笑いました。

「あのう、おいらたちのこと誰にも話さないで
ほしいんだ。人間に姿を見せてるってほかの
おばけに知られちゃいけないんだよ」

 トン吉が心配顔でひろしに言いました。
「わかった。そのかわりまた遊びに来てよ」
「いいの?」
「だってぼくたち友達じゃないか!」
 トン吉とジンベイは幸せな顔をして、窓から
優しい風が吹く空へと飛んでいきました。

おしまい

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