「うーん困ったねえ。どちらを代表に選ぼうかあ…
こうなったら仕方がない、ジャンケンポンだ!」
えー!?とそのとき僕は思ったよ。最後の代表が
ジャンケンで決まるなんて…しかも僕はジャンケンに
弱い、大切なことを決めるときは特にだ。
それでも運を天にまかせるしかない、覚悟を決めたよ。
「ジャンケンポン!」
負けちゃった、やっぱり負けちゃった。
悔しい、とっても。
悲しい、とっても。
だれもいなかったら大声出して泣きたいよ!
僕は一瞬うんと言いかけて、あわててその言葉を
かみ殺したんだ。それからすごく恥ずかしくなった。
だって中田君だって代表になりたかったはずだ。
だからこそ僕の気持ちも痛いほどわかってくれて
いて、そんなことを言ってくれたんだ。なのに僕は
自分のことしか考えていなかった。もし僕が代表に
なっていたら中田君のことなんか考えもせずに、
思いっきり喜んでいただろう。そんな自分がとても
恥ずかしかったんだ。
「ありがとう、でも中田君がんばってよ。僕一生懸命
応援するよ」
心から言えたんだ。代表になれなかったのは
悲しいけど、負けた相手が中田君でよかった。
中田君だから僕の分までがんばってねって
本気で言えるんだ。 これで男子も代表の3人が
すべて決まった。次の日代表に選ばれた男女
各3人が教室の前に並びみんなに拍手を受けていた。
僕は補欠に選ばれ代表の人たちと一緒に、
毎日放課後練習に汗を流していた。
そんな僕の気持ちに気づいてか、中田君が
言ったんだ。
「君が代表になりなよ、だってすごくがんばってたもの」