リレー代表
 もうすぐ運動会。今日はその日のメイン競技、
リレーの代表選手を決める日だ。僕は足には
ちょっと自身があるんだ。2時間目の体育の時間が
待ち遠しいよ!


「いちについて、よーいドン!」
  僕は一生懸命かけたんだ。これといってほかに
とりえのない自分、アピールするとしたらこれしか
ないもんね。走って走って50メートルを駆け抜けた
ときは足はもうぐらぐらだった。砂場におしりをついて
座り、結果を待つことにした。すでに走り終わっている
周りの友達は終わったという安心感からか、楽しそうに
ペチャクチャおしゃべりをしているけど僕はそれどころ
ではなかった。ああ神様、どうか僕が選ばれますよう
にと、心の中でずっとお祈りをしていたんだ。
代表になれるのは男女各3人ずつ。女子はすんなり
決まったんだけど、男子は最後の一人が決まらな
かった。なぜなら3番目に速かったのは僕と中田君の
二人だったからさ。同タイムの7秒8。それで放課後
、最後の座をめぐって中田君と一騎打ちすることに
なったんだ。2本勝負、2本とも勝てばうれしい代表入り
が決まる。いつもは楽しい給食の時間、でもさすがに
この日だけはなかなか食べ物がのどを通らず、
左の胸に手を当て速まる鼓動をひとり静かに感じていた。

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